【小説】大桟橋に吹く風 #2 怪しい小瓶
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#2 怪しい小瓶船がソ連のナホトカ港に到着したのは、大桟橋から船に乗ってから3日目の夕方だった。
この日本海に面したナホトカの街には、日本国総領事館があった。もともと、このナホトカにあったわけではない。引越してきたのだ。
このナホトカから北東へ約100㎞ほど離れた場所に、ウラジオストックという軍港都市がある。
ウラジオストックは日本海に向かって突き出た半島の先端に位置し、男がソ連にやって来たこの時期は閉鎖都市と化していた。外国人はむろ