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レ・ミゼラブルとフランスの歴史

2019年、ミュージカル「レ・ミゼラブル」のキャストが発表されました。1985年ロンドン初演以来、ロングランを続ける作品ですが、同じくロングランヒットを続けているミュージカル「キャッツ」との共通点があります。

それは

あらゆるタイプの人生を見せることで、観客は絶対に登場人物の誰かしらの人生と自分を重ねることができる

という点です。

「キャッツ」は働き者の猫や女好きのハンサム猫、長老猫や政治家猫などなど…個性あふれる猫たちが自分の苦労話や武勇伝、人生の悲喜こもごもを美しいメロディとキレッキレのダンスで観客を魅了します。

レミゼは圧倒的に悲惨

個性あふれる登場人物たちが出てくる点は共通しているのですが、圧倒的に貧しい…。
フランス革命の時代背景と絡ませているので深く複雑な構成になっています。

ざっとストーリーをおさらい。

主役ジャン・バルジャンはパンを一つ盗んだ罪で19年間投獄され、
不条理な境遇を強いられ、脱獄。ジャベール警部に追われながら聖人のような生き方を送ります。
ジャン・バルジャンが経営していた工場で働いていた女工ファンティーヌは娘を守るために売春婦になり
病に倒れ、その娘コゼットをジャンバルジャンが育てることになり、やがて美しく清らかに成長した彼女を革命家の若者が好きになり…云々と人間関係がかなり入り組んでいます。

レミゼにハマる理由

観客は登場人物たちの生きざまとなにかしら重なる瞬間がある、あるいはそうありたいという理想を舞台に投影する瞬間がある。その瞬間の積み重ねが感動を呼ぶのではないでしょうか。

まずしさのゆえに犯したこと、
生きるために信念を貫くこと、
時代に合わせてずる賢く生きること、
世の中を変えたくて戦うこと、
職務にまっとうなこと。

何が悪で善なのか、
誰が正しくて間違っているのか、
そんな単純にはっきり分けられないところが
この作品の魅力の一つかもしれません。

【時代背景】

1862年、作家ヴィクトル・ユーゴーがフランスで発表した小説。
話の中では、1815年~33年の18年間を描いていて、フランスの歴史背景が色濃く反映されています。

1789年 フランス革命
1792年 王政廃止。ルイ16世、王妃マリー・アントワネットが処刑
1804年 ナポレオン1世が皇帝に即位
1814年 ライプツィヒの戦い。ナポレオンが敗れ退位。ウィーン会議でブルボン家が王として復位

↓↓レミゼの舞台はこの年から始まります↓

1815年 ナポレオンがエルバ島から脱出、皇帝に復位。ワーテルローの戦いで敗戦し失脚 

フランス革命時に処刑されたルイ16世の弟、ルイ18世が王に復位

1824年 ルイ18世死去
    シャルル10世が王に即位。亡命貴族への補償を行い反発を買う
1830年 アルジェリア出兵
    7月革命。自由主義を唱える学生・労働階級がアンシャン・レジーム(絶対王政の政治体制)に対抗し、三色旗を翻してパリにバリケードを築く。

↑↑クライマックスの名シーンと重なりますね!!↑↑

反政府派がルーブル宮殿を襲撃
シャルル10世が失脚
ルイ・フィリップが「フランスの王」ではなく「フランス人の王」となり
自由主義と立憲君主制を採用する


時代背景がわかると見方も変わってより作品を楽しめますよね^^
ちなみに、ドラクロワの名画「民衆を導く自由の女神」(ルーブル美術館所蔵)はフランス革命ではなく
この7月革命をテーマに描かれています。

初めて帝国劇場で観た時、
「あれ、こんな話だっけ?」と早くもはじまって10分で号泣、最後まで泣きっぱなしでした…。

全編を流れる抑揚の激しい歌は実力派俳優さんたちが歌うのでよけい胸に迫るものがあります。
ジャンバルジャン役の福井晶一さんは劇団四季「キャッツ」のマンカスストラップ役でしたし、吉原光夫さんは「ライオンキング」のシンバ役でした。さらに、マリウス役の海宝直人さんは子役時代に「美女と野獣」のかわいらしいチップ役を演じていました。魅力的なキャストが揃って楽しみ!!2019年、日本で上演されるミュージカルも見たくなりました。

日本版キャスト
「レミゼラブル」

映画版
【キャスト・スタッフ】
製作 キャメロン・マッキントッシュ
監督 トム・フーパー
製作総指揮 ライザ・チェイシン 、アンジェラ・モリソン 、ニコラス・アロット 、リチャード・パパス
原作 ヴィクトル・ユゴー 、アラン・ブーブリル 、クロード=ミシェル・シェーンベルク
脚本 ウィリアム・ニコルソン 、アラン・ブーブリル 、クロード=ミシェル・シェーンベルク 、ハーバート・クレッツマー
作曲 クロード=ミッシェル・シェーンベルク
作詞 ハーバート・クレッツマー
ジャン・バルジャン:ヒュー・ジャックマン
司教:コルム・ウィルキンソン
ジャベール:ラッセル・クロウ
ファンティーヌ:アン・ハサウェイ
コゼット:アマンダ・サイフリッド(幼少期:イザベル・アレン)
マリウス・ポンメルシー:エディ・レッドメイン
テナルディエ一家 テナルディエ:サシャ・バロン・コーエン
テナルディエ夫人:ヘレナ・ボナム=カーター
エポニーヌ:サマンサ・バークス(幼少期:ナタリア・エンジェル・ウォレス)
アゼルマ:キャサリン・ウルストン
ガブローシュ:ダニエル・ハトルストーン

#帝国劇場 #ミュージカル #レミゼラブル #フランス #フランス革命 #演劇 #舞台

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