反対意見に耳を傾ける感覚は、一つの曲を楽器別で聴く感覚に似ている【「夜に駆ける」を例に】
新しい感覚、新しい認識で世界を見つめるー。
これは簡単ように思えて意外と難しいです。なぜなら、人は自分が正しいと思いたいですし、他者の意見に耳を傾けることは面倒だからからです。
しかし、自分と異なる意見を受け入れる感覚が楽しくなる方法を思いつきました。
それは、一つの曲をいろいろな「音」に着目して、何度も聴くことです。
この感覚を味わえれば、自分と異なる立場に立って考えることへのハードルが下がる気がしました。
今日はそんなことを書きます。
具体例として、YOASOBIの「夜に駆ける」を題材にしてみました。
総体としての認識
物事に対立する意見はつきものです。
簡単な例では「賛成」と「反対」意見が分かりやすいでしょう。またはAとBの二元論です。
・オリンピックに中止に「賛成」か「反対」か
・住む家は「購入すべき」か「賃貸にすべき」か
etc
このような対立する意見がある場合。自分がどちらかの意見に肩入れしてしまうと、別の立場で意見を考えるのは難しいでしょう。
しかも、反対意見に耳を傾けるって分かりにくいですよね。どういう感覚なのでしょうか。
その感覚は、音楽で実感できるのではないかと思います。具体的には、同じ曲を楽器別に何度も聴くことです。
というのも、同じ曲を別々の音に着目して聴くことで、新しい感覚でその曲を感じることができるからです。
人は一つの総体として世界を認識しています。ルビンの壺を例にして説明します。
ルビンの壺は、心理学者エドガー・ルビンが考案した多義図形です。見方によっては、壺にも見えたり、向かい合う2人の横顔にも見えます。
John smithson 2007 at English Wikipedia, Public domain, via Wikimedia Commons
このように、自分が興味を示す見方で認識すると、他を自覚できなくなります。これはゲシュタルト心理学の分野の一つです。
これを曲を聴くことに使ってみます。
一つの曲を歌・楽器別で何度も聴いてみると
例えば、以下のように着目する箇所を決めて、同じ曲を何度も聴いてみます。
・声だけに集中して聴いてみる
・メロディだけに集中して聴いてみる
・ギターだけ集中して聴いてみる
・ベースだけ集中して聞いてみる
・ドラムだけ集中して聞いてみる
そして最後にもう一度、曲全体として聴いてみましょう。
すると、新しい感覚を曲に対して感じるはずです。
このように、同じ曲を音別に何度も聴く感覚や過程は、対立する意見を考えたり、意見を統合する過程に似ているのではないでしょうか。
意見の場合、「別の意見に耳を傾ける」「統合した感覚で世界を禁色する」ことになると思います。
大人気曲「夜に駆ける」を事例に何度も聴いてみる
その感覚を感じるための具体例として、昨年大ブレイクしたYOASOBIの「夜に駆ける」を取りあげてみます。
YOASOBIは2020年の紅白歌合戦にも登場しましたよね。僕も大好きな曲です。
YOASOBI「夜に駆ける」 Official Music Video
手順は例えばこんな感じです。
1. 何も考えずに曲を聴いてみる
2. ピアノに集中して聴いてみる
3. ギターに集中して聴いてみる
4. ドラムに集中して聴いてみる
5. 最後に曲全体を聴いてみる
*他にも楽器や音はあるかもしれませんが、多くなりすぎると大変なので5つに絞りました。もちろん、別の音に集中して聴いてみても良いです。
1. 何も考えずに曲を聴いてみる
まず何も意識せずに曲を聴いてみましょう。
できればその時の感覚などを覚えておくといいと思います。「良い曲だな」「おもしろいメロディーだな」など、何でもいいです。メモに書いておくのも良いですね。
おそらく、ボーカルのikuraさんの歌声が耳に残る方が多いのではないでしょうか。
2. ピアノに集中して聴いてみる
2回目は以降は楽器の音に着目します。まずはピアノの音を集中して聴いてみてください。
・意外なところでピアノの音が鳴っていたな
・最初の方のピアノの音と最後の方の音では違う感覚だな
など、いろいろなことに気付くはずです。
3. ギターに集中して聴いてみる
3回目はギターの音です。
ギターが中心になるメロディーもありますが、そうではない箇所もあるので、意識してはじめて気付くこともあるでしょう。
4. ドラムに集中して聴いてみる
4回目はドラムの音を意識してみましょう。
ドン、ドン、という音だけに集中して聴いてみることで、この曲に対して違った印象を持つかもしれません。
5. 最後に曲全体を聴いてみる
最後にもう一度、一つの曲として聴いてみます。
具体的には、先ほど意識した楽器の音をそれぞれ意識しつつ、一つの曲として味わうということです。
どうでしたか。なんだか最初に聴いた時の感覚と違っていないでしょうか?
ぜひその時の感覚を書き出してみてください。
そして、1~4回目の時の感覚と比べてみましょう。
1回目の時の感覚も思い出せるとは思いますが、最後は1回目の時とは異なる感覚を感じるはずです。
聴き方の参考
例えば、Youtuber「FANNIX」さんは「それぞれの音」に着目して聴いています。
以下の動画は、「夜に駆ける」を初めた聴いたFANNIXさんのリアクションです。彼は1回しか聴いていませんが、その1回のみで、様々な楽器や音を認識して聴いている様子が分かります。
YOASOBI「夜に駆ける」 Official Music Video • リアクション動画 • Reaction Video | FANNIX
まとめ
別の「音」に着目して曲を何度も聴いてみる。そして最後にもう一度曲を全体として聴いてみる。
そうすると、新しい感覚で曲を感じることができます。
この感覚が楽しめれば、同じように「賛成反対意見をそれぞれ考えて、最後に物事を俯瞰して認識してみる」ことも楽しくなると思います。
なぜなら、新しい認識で物事を捉えることができるからです。
このように、あるテーマに対して、自分と異なる意見をあえて考えてみてください。新しい認識で世界を見つめることができるでしょう。
異なる「音」を聴くように、反対意見にも耳をすませて。
P.S
今回紹介した「夜に駆ける」は他にもたくさんの楽しみ方ができます。
音だけではなく、MVの「アニメーション」に着目して聴いたり、元ネタの小説を意識して聴いてみても新しい感覚が味わえるはずです。
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