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会社経営を最高のフライトにする計器の見方 #Timbers


会社経営は飛行機の操縦にたとえられる。

京セラ創業者の稲盛和夫は京セラのHPにこう書いてある。

もし、飛行機の“計器盤”が狂っていたら、正しく飛行することができないように、会計数字がいい加減であれば、会社は誤った方向へ進んでいくことになります。したがって、会計とは、企業経営において“羅針盤”の役割を果たすものであり、「経営の中枢」です。

参照: https://www.kyocera.co.jp/inamori/management/accounting/


でも、具体的に飛行機に例えるとどういう例えになるのか。
そこのところを掘り下げてみた。


飛行機を飛ばす上で最も大事な数字。


それは速度でも、飛行距離でも、角度でもない。





高度だ。


ハドソン川の奇跡のように、
十分な高度さえあれば、
たとえすべてのエンジンがストップしても
飛行機は着陸できる。


では、高度は会社経営の何に当たるのか。

それは、会社に残っている現金等だ。

例えば1人で会社をやっているとする。
経費は家賃と自分の報酬で1ヶ月50万円
そんなあなたの会社の口座には、コツコツためてきた
500万円の貯金があるとする。


すると、もし明日から急に売上が0になったとしても、
10ヶ月は生きていくことができる
10ヶ月もあれば、
新しい仕事をみつけてまた売上を増やすことができるだろう。


でももし会社の口座に50万円しかなかったらどうだろう。
あなたの会社は1ヶ月後にはお金がなくなってしまう
1ヶ月で仕事を見つけて
口座に入金してもらうのは至難の業だ。


でも、ここで気になることがある。
1人の会社の貯金が500万というのは悪くない。

ただ、10人の会社の貯金が
500万というのは十分なのだろうか。


次に大事な数字は?


これも速度でも、飛行距離でも、角度でもない。

これが当てられたらすごい。


それは、機体の大きさである。


何を言ってるんだ。
機体の大きさのどこが重要なのか。


例えば体長1mのワシが100m上空を飛んでいるとしよう。

そのワシ、急に筋肉がツッてしまった。

それでも100mもあれば、
地面に落ちるまで10秒ぐらいの時間がある。
その間に体勢を立て直せるだろう。

でも、もしそれが全長100mの飛行機だったらどうだろう。

地面まで100mしかないのであれば、
今にも墜落してしまう。

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画像で見てみよう。
左の飛行機は離陸して安定しているように見えるが、

左の飛行機を5倍に拡大した、
右の飛行機は離陸したばかりのように見える。


つまり、機体の大きさが大きくなればなるほど、
高い高度を飛ぶ必要がある。


それでは、機体の大きさとは会社でいう何に当たるのか。
それは会社の固定費である。


固定費とは、来月から簡単に下げることが出来ない費用のことだ。

例えば、人件費や家賃が挙げられる。

もし預金が500万円あって、
会社の固定費が50万円なら、10ヶ月は飛べる。
でも、会社の固定費が500万円なら1ヶ月しか飛べない。


この会社に残っている現金を固定費で割ったもの

無収入寿命という。

ちなみにこの言葉を知ったのは、
北の達人コーポレーションの
「売上最小化、利益最大化の法則」という本だ。


この無収入寿命がながければ長いほど、
会社は安心してリーマンショックや
コロナショックといった危機に備えることができるのだ。

それでは理想の無収入寿命はどれくらいか。
これは諸説あるが、2年分、24ヶ月あると理想とされる。


リーマンショックやコロナショックといった危機にも、
2年分の貯金があれば十分持ちこたえられるだろう。


「じゃあ黒字経営をすればいいってことだね!」

実はもう一つ落とし穴があった。



毎年売上2倍、
20%利益率の会社が
4ヶ月で貯金0になる理由


ここまで無事ついてこれただろうか。
実は、ここからが先ほど紹介した本にも
書かれていない本題だ。

この無収入寿命を24ヶ月にすると聞いて、

「ずっと黒字なら安心だな」と早合点しないでほしい。

売上2倍、利益率20%の会社があるとする。

一般的に利益率20%といえば、
かなり優秀な会社だ。

さらに毎年売上が2倍といえば、
どんどん会社の規模が大きくなっていることになる。

しかし実は、
何回計算しても、
売上2倍、利益率20%の会社の無収入寿命は
4ヶ月以上にはならないことがわかった。

画像3

つまり4ヶ月売上が0になると倒産しかねない。

なぜか。

1時間ぐらい数学と奮闘してようやくわかった。

画像2

無収入寿命が4ヶ月より増えない理由は、
簡単に言うと、
利益率に対して、売上の成長率が大きすぎることにある。

つまり現金が4ヶ月分以上貯まるよりも先に、
オフィスを大きくしたり人を雇ってしまっているのだ。

これを定式化したのがこの式だ。

無収入寿命 = 利益 ÷ 固定費 ÷ 理想の売上成長率
つまり
理想の売上成長率 = 利益 ÷ 固定費 ÷ 無収入寿命


なぜこうなるのかは、
漸化式や無限級数といった
高校数学の知識を用いて説明できるが、
割愛する。

例えば、利益が500万円、固定費が 1500万円、 無収入寿命を2年にしたいなら、

利益500万円 ÷ 固定費1500万円 ÷ 2年 = 1/6 = 13% が、
会社の理想の売上成長率だ。

利益が500万円、固定費が 1500万円 ということは、
その他の経費が0円なら、売上は2000万円、
利益は25%も出ていることになる。

それでも、会社の無収入寿命を2年間に伸ばしたいのであれば、
年間売上は13%以上あげてはいけないのだ。

つまり、
無収入寿命をのばしながら、
利益率も上げながら、
会社も成長させる。

そしてそこには、機体のバランスともいえる関係式がある。

それが先ほどの式だ。

無収入寿命 = 利益 ÷ 固定費 ÷ 理想の売上成長率
つまり
理想の売上成長率 = 利益 ÷ 固定費 ÷ 無収入寿命


会社をもっと大きくしたい?
なら、このペースを守るといい。

利益1割→5.5%/年の売上成長、12年11ヶ月で売上2倍に
利益2割→13%/年の売上成長、5年8ヶ月で売上2倍に
利益3割→21%/年の売上成長、  3年7ヶ月で売上2倍に
利益4割→33%/年の売上成長、2年5ヶ月で売上2倍に
利益5割→50%/年の売上成長、1年8ヶ月で売上2倍に
利益6割→75%/年の売上成長、1年2ヶ月で売上2倍に

もし会社の売上を
1年で2倍にしたいなら、利益を6割だす。
2年で2倍にしたいなら、利益は5割だす。

これぐらい利益がもし出ないなら、
会社の成長ペースは少し慎重に考えたほうが良いということだ。

ただ、会社のフェーズによって、
急速な拡大は組織の崩壊を招くこともあるそうなので、
そういうときはあえて
成長スピードを抑え、無収入寿命を伸ばすことが重要だろう。


まとめ: 無収入寿命をのばすには、
成長率と利益率のバランスが大事。


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Retoolというツールと管理会計手法を組み合わせた
コックピットダッシュボードを提供しています。
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理想の売上成長率 = 利益 ÷ 固定費 ÷ 無収入寿命

ティンバーズ第1公式(仮)、
ダサッ