ベンダーロックインへの油断
最近、BaaS(ないしPaaS)を選定するときに、「これはどれほどアプリと疎なプラットフォームか」を強く意識するようになってきた。
Dockerによる各アプリケーション動作環境のポータビリティ向上と、k8sによるコンポーネント連携の記述性向上が原因してると思う。
副次的な話でいうと、よりマイクロサービス化が容易になったことで、環境セットアップやスケーリングをGUIからぽちぽち設定する作業を省略したい気持ちが強く、なお一層基盤の記述性を大事にし始めたことも理由として挙げられる。あとは、ベンダーロックインの風情漂うコードに煮え湯を飲まされた個人的なトラウマもある。
で、そういった背景から、アレルギー体質のように、ベンダーロックインが強いプラットフォームを忌避してしまうようになった。
前は別にいいかなと思っていたのだけど、プラットフォーム特有の設定が必要だったり、せっかく設定したスキーマを再利用できないとかに手間を感じるようになった。ましてやそれがマルチクラウド環境を利用する可能性もある、とかのケースになったら歯牙にもかけない。
基盤特有の設定をする代わりに、どれそれの機能を作らなくて済みますよ、みたいなプラットフォームがあっても、選ぶモチベーションが薄くなってしまった。FirebaseはAnalyticsとかGCPのプロジェクトとの連携とかがあるので、活用させてもらうものの、フルで載っけようとは思わない。
もちろん、「k8sは覚える概念も多いしサーバーサイド知ってる人間でも時間かけないといけないんだから手間だろ」って言われたらそれまでなのだけど、より良いプラットフォームがでた時に乗り換えられるかというのと、果たしてトラフィックが増えた時にスケールするのはどっちかっていうのを気にすると、全然学習した方が楽だわ、と思う。
何が言いたいかというと、いざという時に容易に乗り換えられないプラットフォームでないとダメだ。ロックイン上等、後から変えればいいんだっていう意見は、組織と資金が十分にスケールすることに確証が持てるとき以外は発してはいけない言葉だ。こんなにポータビリティが向上した今の時代、その言葉を発するとき、恐る恐る言ってないのだとしたら、単にインフラへの関心度が低いか、ただ油断してるだけだ。
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