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すべてのクリエイターにオススメ【映画】DRIES|ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男

こんにちは、WebデザイナーのTikoです。

一人で映画をゆっくり観る時間は、娯楽というよりも、とても大切なインプットのための時間となっていて、

昨日はまた、とても素晴らしい映画に出会えたので、感動が冷めないうちに感想を書いておこうと思います。

この記事を読みに来てくれている方は、デザインやアートが好きだったり、何かのデザイナーやアーティストとして生きている方も多いと思うので、おそらく共感いただける部分があるだろうと信じて書いてみます。
Webデザインとは直接関係のない記事ですがお付き合いいただけたら嬉しいです。

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映画のタイトルは、
 「ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男」

天才デザイナードリス・ヴァン・ノッテンの人生を通して、クリエイティブであることの原点を描いた、気持ちの良い作品でした。

すべてをあらわすドリスの言葉

この言葉を紹介したら、もう感想は要らないかな
というくらい、この言葉にはすべてがふくまれ過ぎていました。

すべてのデザイナーは
公私の両面で
思った経験があるはずだ

“もういい、やる価値はない”

だがその一方で
至福の瞬間も知ってる

そしてハマってしまうんだ

その手で創り出した美と

その美が生み出す
感動に酔う

これは共感される方も多いのではないでしょうか。

というより、この感覚のために生きているっていう人もいるのではというくらい、本質的な言葉だと思います。

少なくとも私にとっては、デザインすることは仕事であり愛であり、ただの仕事でもなくただの愛でもない、生きることそのもの。
こんな言葉をさらっと言ってのけたドリスのかっこよさに、快感が走りました。笑

究極の完璧主義の上にある、美しきリラックス

ドリスの、コレクションという自己表現の場に向かう、どこまでもストイックで完璧主義であり続ける姿勢。
それを支えている日々の丁寧な生活。

それが美しい色彩とともに、ドキュメンタリータッチで記録されているこの映画は、観ているだけで「今この瞬間」にあり続けることの大切さを思い出させてくれます。

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出典:https://www.thewomensroomblog.com

生まれてきた意味なんて、考えすぎると分からなくなる。
夢という言葉も、年を重ねるごとにぼやけてくる。
走り過ぎて止まれなくなったり、停滞しすぎて何も創れなくなったり。

そんな中で、今、どうあるか、今幸せかどうか、その責任は全て自分にあるのかもしれないと、肌で感じるようになってくる。

その責任を負う、という意味で、生活の一瞬一瞬に気を配り、目に見えるものすべてに気を配り、丁寧に食べ、眠り、丁寧に生きて、丁寧に創り続けることで幸せを感じる人々がいる。

自分もその中の一人だと感じたら、ぜひこの映画を観てほしい。
ドリスのマインドフルネスな人間としてのあり方に、何か響くものがあるかと思います。

まさに、究極の完璧主義の上にある美しきリラックス。

目指すべきところです。

私にとってのドリス・ヴァン・ノッテン

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出典:https://www.driesvannoten.com/(Official Website)

大学在学中、フランスの片田舎にあるグルノーブル大学に短期留学をしていて、そこからお隣のベルギーにある街・アントワープへの小さなひとり旅をしたことがあります。
当時テキスタイルデザイナーを目指していた私は、大学でフランス語を身につけたら(受験がフランス語だった!)、絶対にここで勉強するんだ!と燃えていた学校、それがアントワープ王立学院でした。

その小旅行で、すっごくドキドキしながら学校を訪ねた時、すぐ近くにドリスのブティックを見つけて、「ああ、ついに”あの”アントワープに来たんだ!」と、ものすごく感動したことを思い出します。

ドリスはアントワープ出身、そしてアントワープ王立学院卒業生。マルタンマルジェラやウォルターヴァンベイレンドンク(当時のW&LT)もアントワープ王立学院出身で、当時の自分に大きな影響を与えていました。

中でもドリスの作り出すテキスタイルの繊細さや色使いにはいつも新しい感動がありました。
この映画の中で、彼のテキスタイルと色使いに対するこだわり方を直に見ることができ、なぜ、当時自分がそれに感動したのかを理解できました。

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出典:https://www.thewomensroomblog.com

ファッションという言葉は好きじゃないといったドリス


ファッションは使い古されるもの。
半年後には古くなるもの。
10代の時の私はその儚さに疑問を持ち、タトゥーの世界に入りました(それでも疑問は残り続けたけれど)。

ドリスは言っています。

ファストファッションは一度着ただけで飽きてしまう

そういうのは嫌だ

私はじっくり味わえる服をつくりたい
数ヶ月後に違うテイストで着られる服

持ち主と一緒に成長できる服だ

トレンドや時代の流れは確かにあって、その流れは日に日に早くなっているけれど、時間が経っても色褪せないものは必ずある。

ファストデザインは簡単で、誰でもアプリで作れる時代。

でも、やっぱり本当に命を使って創り上げたものは、そこに生命が宿っていると思います。

それを忘れずに、簡単に量産できる時代だからこそ、原点に立ち返って、命をかけてつくり続けていけたら、人生が楽しいんじゃないかなと思った、そんな映画でした。

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現在U-NEXTとiTunesで視聴可能なようです。
デザインやアートに行き詰まった時、自分の中のクリエイティビティを見つめ直したいときに、オススメの映画です!

公式Webサイト


それでは今日も、心地よいデザインとともにある、心地よい一日を!


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