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コーヒー業界でのビジネスと持続可能性の両立C.A.F.E. プラクティス

C.A.F.E. プラクティスという取り組みを聞いたことありますか?

スターバックスがコーヒー業界で農家とのWIN WINの関係構築のために取り組んでいる活動です。

コーヒーやカカオなどの原料産地と消費地の利益相反が生まれやすい業界で、最も成功している取り組みの一つだと思い文章にしました。

「C.A.F.E.プラクティスの目的」

C.A.F.E. プラクティスはスターバックスが行っているコーヒーの持続可能な調達をリードすることを目的とした取り組みです。

この取り組みは生産者のためになるのか、地球環境のためになることか、消費者のためになることかということを考えながら制度が構築されています。

この制度の中では独自の基準を作り、基準が守られているかを第三者機関により評価し、現地でのアグロノミストによる生産者との協業、生産者コミュニティーへの投資、パートナーシップによって「倫理的な調達」を目指しています。

C.A.F.E. プラクティスのC.A.F.E.は(Coffee and Farmer Equity)の略です。
この制度には倫理的な調達を実現するために、大きく4つの項目があります。
このうち2つは自社検査項目、そして、残りの二つが外部機関の検査項目です。

「自社での確認項目」

このうち「品質基準」「経済的な透明性」に関してはスターバックス自身で判断します。
自社基準に関してはなかなか見つけられなかったのでお近くのスターバックスで確認してみると丁寧に教えてくれるかもしれません。

品質基準:購買担当による品質検査(カッピングや目視検査による欠点豆の混入率などでしょうか)

経済的な透明性:流通の各段階での価格の確認、適切な価格での取引が行われているかを精査(きちんと末端の農家まで適切に収入が得られているかを確認)

「外部機関での確認項目」

これらの項目がチェックされた後、
「品質」、「経済的な透明性」の評価基準にのっとった農園は、続いて第三者機関(SCS社)と協力して「社会的責任」「環境面でのリーダーシップ」の項目に関して、現地で確認と改善指導をしています。

これらの項目は30基準、150の指標が設定され、必須項目とそうでないものがあります。これはインターネットでも内容の詳細を確認することができます。

項目だけ眺めているとなかなか頭に入ってきにくいと思いますが、関連項目に興味がある方は過去の私のNOTEを見返していただければ嬉しいです。
今まで見てきた農園の風景や現地の暮らしに各項目がどのように貢献しているのかが感じやすいかと思います。(黒字の部分は記事の本文でもC.A.F.E.プラクティスについて触れています)

社会的責任教育へのアクセス、団体交渉の自由、賃金と収益、労働時間、児童労働、強制労働、衛生的な生活、医療へのアクセス、労働者の安全性

環境面でのリーダーシップ水質保全、灌漑、土壌流出、土壌生産性の保持、シェード樹の保持野生動物の保護保護地域、病害虫の制御、農園のモニタリングと管理、長期的な生産性、気候変動、水の使用量水使用による環境への影響の最小化ゴミの管理、エネルギー消費量、ドライミル使用時の資源利用管理

こういった基準をすべて守ることは難しいですが、スターバックスが生産地域に要するファーマサポートセンターと、そこで活躍するアグロノミストを通じて基準を守り、生産性と持続性を高めた農園運営を目指しています。

これらの基準を一定以上守ったコーヒー農園は、購買時の価格を上乗せするなどのインセンティブが与えられます。

「ファーマーサポートセンターとアグロノミスト」

これらの取り組みを現地で実現しているのが、ファーマーサポートセンターというコーヒー産地にある拠点です。

これらの拠点を中心にアグロノミストと呼ばれる農学者が活躍し、農業技術の啓蒙やC.A.F.E. プラクティスに沿ったコーヒー栽培の指導を行っています。

またアグロノミストはサプライヤーの技術指導員に技術提供を行うことで間接的に啓蒙活動の輪を広げています。

これからも随時拠点を増やし、影響の範囲を広げていく計画との事です。

「まとめ(伝道者の育成)」

通常、持続可能性と収益性は相反する活動になってしまうことが多いように思います。

そんな中でもスターバックスがこれらの活動が継続できているのは倫理的調達を行うことが意義のあることだと顧客にアピールし、間接的に収益への貢献ができるからだと思います。

そんなスターバックスの一番の資産は、コーヒーや倫理的調達に対するパッションを持った社員を、大勢有することなのではないかと思います。

誇りとやりがいをもって、コーヒー生産をする生産者、コーヒーを楽しみながら社会的にも満足感を感じることができる顧客、ビジネスを通して社会貢献ができる従業員、コーヒー業界の長大なサプライチェーンを川上から川下までコントロールするスターバックスのビジネスは偉大だなと改めて思います。

そんなことを感じながら、時にはスターバックスでコーヒーを楽しんでいただき豊かな時間を過ごしていただければ幸いです。

個人的な目標としてはC.A.F.E.プラクティスのような取り組みをカカオでも実現できればより経済的な不均衡が解消されるのではないかと思っています。

今日はチョコレート共に豊かな時間を。

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