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Client's Voice #2 外資系資産運用会社の組織作りと人材採用|元PGIMジャパン株式会社代表取締役社長 / 元イーストスプリング・インベストメンツ株式会社 代表取締役兼CEO 新田恭久氏

Tiglon PartnersのClient's Voiceシリーズ。本インタビューシリーズでは、採用ご支援実績のあるTiglon Partnersのクライアント企業のご担当者様にお話をお伺いしてまいります。

昨今ますます激しさを増す人材獲得競争の中、Tiglon Partnersがお付き合いしているクライアント企業様のビジネスのご状況と採用活動、Tiglon Partnersがご支援をさせていただいた事例についてもお話をお伺いしております。

Client's Voiceシリーズ第3回となる今回は、PGIMジャパンで13年間、そしてイーストスプリング・インベストメンツで約3年間、代表を務められた新田恭久さんにお話をお伺いしました。外資系資産運用会社の代表として計16年間、経営者としてビジネスの牽引はもちろんのこと、それぞれの組織作り、組織の立て直しを主導されてきたプロ経営者である新田様。
Tiglon Partnersでは、両組織で合計8名のプロフェッショナル人材の採用をご支援させていただいています。


新田様のバックグラウンド

ーはじめに新田様のこれまでのご経歴についてお聞かせいただけますか。

社会人になったのは1985年、新卒で第一勧業銀行(現在のみずほファイナンシャルグループ)に入行しました。資産運用業界でのキャリアがスタートしたのは1989年から、その後ロンドンやチューリッヒで海外の資産運用現地法人での仕事を経て日本に戻り、第一勧業アセットマネジメント(現アセットマネジメントONE)で年金運用部長と外貨建て資産の投信運用チームのヘッドを務めました。その後、みずほ銀行本体のファンド投資部門の立ち上げ等に従事したのち、2007年から外資系資産運用会社でのキャリアがスタートしました。自身が45歳になったタイミングで、プルデンシャル・インベストメント・マネジメント・ジャパン(2017年にPGIMジャパンへ商号変更)の代表に就任し、そこから13年間代表を務めたのち、直近約3年はイーストスプリング・インベストメンツでも同じく代表をつとめ、(両社ともに、退社直前は会長職)ちょうど今年の春に退任したところです。

ー外資系資産運用業界で新田様ほど長く経営経験をお持ちの方は他にいらっしゃらないのではないかと思います。2007年に日系銀行から外資系資産運用会社の代表になられたのはどんな経緯だったのでしょうか。

海外の駐在経験を経たあたりから転職をすることを視野にいれはじめていたものの、積極的にポジションを探しているというほどではありませんでした。そんな中、偶然とある外資系資産運用会社の代表が本社から日本に来るタイミングで情報交換のミーティングをしてもらえないか、という話を以前から縁のあったエグゼクティブサーチのエージェントの方からもらいました。転職はするつもりもなく、業界の話をざっくばらんにしようとミーティングに臨んだところ、結果的に先方から良い印象を持たれ、その会社の日本法人の代表にならないかという話をもらいました。それが、PGIMジャパンとの出会いでした。

当時の私は銀行の次長クラス。そこからいきなり外資系資産運用会社の代表になるというキャリアの選択は、迷いなくすぐに決められるものではありませんでした。一方で、「このお話をお断りしたら一生後悔するのではないか?」との思いは当初からありました。
結果的にここで新しいキャリアにチャレンジすることを選んだことが、その後16年間外資系運用会社での経営者としてのキャリアのスタートとなりました。

経営、組織作りと人材採用

ー16年間の外資系資産運用会社の経営者としてのキャリアの中で、新田様にとって経営の中での「人材採用」はどんな位置付けにありましたか?

組織作りは経営者にとって最も大事なミッションです。16年間の社長としての仕事の中で『人材採用』は自分にとって一番大切な仕事でした。
もちろん業績、ビジネスを伸ばしていくということは組織の代表者の責任ではありますが、良い採用ができ、良い組織が出来ていくことで、ビジネスが伸びていくという順番で事業が拡大していきます。そういう意味で、人材採用はビジネスの要であると考えています。

『チームのタレントポートフォリオを戦略的に考える』ということを常に意識してきましたね。ビジネスの目標や目的に対して、今のタレントポートフォリオで実現が可能なのか、ということを常に考えてほしいということは、当時の部下であったメンバーにも常に強いメッセージとして伝えていました。

ーPGIMジャパンでは30名規模から100名規模への組織拡大、そしてイーストスプリング・インベストメンツでは行政処分後の組織の立て直しを行われたと伺っています。組織拡大や組織の立て直しの中で人材採用をされる際、新田さんが候補者のスキル以外で重要視されていたのはどんな点でしたでしょうか。

私自身がつくりたい組織の『企業文化』を共有できるかどうか、という点は、候補者の方が持つスキルや経験と並んで非常に重要視していたポイントですね。
ビジネスがうまくいかなくなる時、組織に不具合が起きる時、掘り下げてみるとその要因は『企業文化』にあるということが往々にしてあります。
企業のコアとなる価値観を共有できる人、つくりたい企業文化を一緒につくることができる人物であるかどうか。特にリーダー的な役割を担っていただくポジションでは、そうした素地を持っているかどうかの見極めを大切にしていました。

ー外資系運用会社の新田さんが実行された採用戦略で有効だった事例があればぜひ教えてください

5、6年前からはじめたアプローチですが、『50代にフォーカスして採用をする』という戦略です。
日本の資産運用業界のどの会社でも、組織の人口構成的に足りない30代・40代の人材を探そうとする傾向にあると思います。当時採用活動をしていた際、私たちも同じ考えで採用をしていましたが、なかなか良い人が採用できない状況が続いていました。

そんな状況を打開する策として、一旦年齢的な条件を取り払い、『とにかく優秀な人を採用する』ということにプライオリティを置き人材のサーチをしました。実はそうしたご提案をくださったのは、Tiglon Partnersの野尻さんだったんです。
当時探していたプロダクトマネージャーのポジションで、結果的に57歳の方を採用することになりました。年齢や経験年次としてシニアな人材であるため基礎知識や経験レベルが高いのはもちろんですが、ご本人が
新しいことを自ら進んで学んでいく柔軟性や積極性、そして仕事への情熱も非常に高くお持ちだったこともあり、結果的に期待を上回る活躍をしてくれた事例となりました。

年齢が高い人材を採用することについて、当初は本社を説得するのに苦労をしましたが、この方の採用が成功事例となって本社の承認も得やすくなり、その後複数名、私よりも年齢がシニアの方を採用し活躍されるするという成功事例にも繋がりました。
50代後半で採用をしたとしても、65歳まで現場で活躍いただけると想定すれば、5年以上組織に貢献してもらえることになります。もちろん若い世代で優秀な人材が採用できれば、それに越したことはないのですが、構造的に40代前半までの年代が少ない日本の資産運用業界において、まずはright personの採用にプライオリティーを置くべきと考えています。

Tiglon Partnersからの採用ご支援について

ー今お話しに挙げていただいた事例以外で、Tiglon Partnersからのご紹介で印象に残っている採用はありますか

金融法人向けのセールスの採用案件では、業務知識が豊富で、プロダクトにも詳しく、英語も堪能で、人柄も温厚な非常に優秀でバランスが取れた人材を採用できました。前職ではプロダクトスペシャリストのポジションにあった人ですが、野尻さんのご推薦でセールスにも十分対応できると判断し、実際にその通りの方でした。

また、機関投資家営業のヘッドや社外取締役等の採用も支援していただきました。いずれも入社後期待通りの活躍をされており、これからも組織の中で長く活躍いただける方だと感じています。採用した人物について、他のエージェントからもお褒めの言葉を頂くぐらい非常に良い人材をベストなタイミングでご紹介頂きました。

ー他の紹介会社と比較をして、Tiglon Partnersの人材紹介サービスに違いを感じられている部分はありますか

Tiglon Partnersは、資産運用業界の人材サーチにおいてコンティンジェント型(成功報酬型)のエージェントではありながら、リテーナー型のエージェントが行うようなサーチのスタイルをベースにされていると感じています。業界全体の対象となる人材をマッピングしながら、誰がどんなスキルを持っていて、どんな状況かを細かに把握されており、各ポジションにおいて誰が候補になり得るのか、非常にクオリティの高い人材のご紹介をいただけるという点が挙げられるかと思います。

また、Tiglon Partnersの代表である野尻さんとの信頼関係も非常に大きいですね。
実は野尻さんとは、私自身が日系金融機関にいたころからのお付き合いで、私が株式のファンドマネジャーだった時代に営業に来られていたのが、当時リーマンブラザーズの株式のセールスをされていた野尻さんでした。

何の偶然か、私が2007年に現PGIMジャパンに代表として入社したタイミングが、野尻さんがTiglon Partnersをおひとりで立ち上げられたタイミングと重なり、リテーナーの人材サーチをお願いしました。私から依頼させて頂いた案件が、Tiglon Partnersが創業後の最初のリテーナーの人材紹介案件だったと聞いています。
私と野尻さんの長年のお付き合い中で育まれた信頼関係の中で、野尻さんが私が求める人材のスキルセットや人物像のイメージの解像度を他のエージェントの方々よりもかなり高く持ちながら採用支援をしてくださっていたことも、様々な優秀な人材の採用につながった大きな要因だと感じています。

Tiglon Partnersへのメッセージ

ーTiglon Partnersを創業当初から応援くださっている大切なクライアントである新田様に、ぜひ今後のTiglon Partnersへのメッセージをお願いします

Tiglon Partnersは、最近では金融以外の領域にも人材支援事業を拡大されていると伺っていますが、金融業界での採用支援の歴史が一番長く、たくさんの実績を残されているかと思います。非常にクオリティの高い人材紹介をしてくださるエージェントとして、長年厚い信頼をおいてきました。

岸田内閣の骨太方針で「資産運用業の抜本改革」が盛り込まれましたが、その実現のためには業界内で日系・外資系を問わず経営層も含めた人材の流動化が進み、適材適所の人材配置が進んでいくことが必要不可欠であると考えています。今後の資産運用業をはじめとする金融業界の発展にTiglon Partnersが人材支援の側面から貢献していただけることを期待しています。これからもますますのご活躍をお祈りしています。

インタビュー実施:2023年6月













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