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灘、おでっせい。

GW後半戦初日、灘の文化祭に行ってきた。目当ては国語科井上志音先生の模擬授業を受けることだったが、実際に足を運んだことで思わぬ副産物があった。


・灘に入った前と後
中1を中心として灘の生徒たちが、中1を対象としたアンケートをもとに「灘に入った前と後」について語る企画であった。灘に入りたい児童やその保護者の方々にとってこれ以上ない企画だと思われる。学校説明会でパクっても面白そうだった。
以下、2つの思わぬ収穫。
①灘の生徒の中には「日本一の学校」と自称して憚らない生徒がいる。
→勤務校の中で「日本一の学校」であると自称して憚らない生徒はどれだけいるのだろうと思った。勤務校の実態としてはまだ届いていない「日本一の学校」になるうえで生徒や教職員に誇れるものが増えるといい。
②理想とする保護者像として「適度な距離感で接すること」をあげる灘生がいた。
→彼の個人的な意見だが、これは本当に重要なことだと思う。
「保護者像」として提示された「適度な距離感で接すること」だが、生徒と教職員との間でこれを意識できる人がもっと増えてほしい。
色々な意見があると思うが、私は生徒と教職員とは「友だち」ではないと考えているため、馴れ馴れしく接してくる生徒に対しては意図的に冷たく接している。
単純に不愉快だからというのもあるが、「適度な距離感で接すること」を学校で学ぶべきだと思っているためである。
この学びが成立するためには「なぜ冷たく接されたのか?」と生徒の方で内省できる姿勢が必要だが。
例えば、気安く奢れと言ってくる場合には貴方に奢った場合に他の生徒にも奢る必要が出てくるので、一切奢るつもりがないと伝えている。生徒にしてみれば冗談のつもりかもしれないがシンプルに冗談として面白くない。
同様の理由で逆に生徒が物をくれようとする場合にも、等価交換になるものを渡せない場合には断っている。
今までされたことがなかったので、生徒に髪を触られた時は衝撃だった。教職員が生徒に触った場合は事案になるのに、逆の行為が許されていると考えている生徒の認識の甘さに恐怖すら覚えた。
「適度な距離感で接すること」と良好な関係を築くことは両立するし、逆にどちらかの距離感が不適切な場合、良好な関係はあり得ないと考えている。


・灘校一受けたい授業(井上志音先生の模擬授業「それってあなたの感想なの?」)

先述の通りこれを目当てに灘に行った。
井上志音先生はIB教育のエッセンスをうまく非IB校である灘での実践に活かしている。
私自身今はIB校でIBの授業を担当しているが、いずれは非IB校で井上先生のような実践をやっていきたい。
今回の授業はIBのコア科目であるTOK(Theory of knowledge、知の理論)のようなものであり、楽しみながら自身の感想という自明視されているものをさまざまなアクティビティから問い直す内容であった。
お客様である子どもたちの発言を手放しでいいね〜と言わず、いわゆる思いつきの発言については論理的な欠点を指摘したうえでサクッと切り捨てていたのが印象的だった。


・N-1グランプリ2024
灘校滞在時間の半分以上をこの企画とともに過ごした。M-1グランプリのオマージュでいわば灘における漫才コンビNo.1を決める企画だった。
これが本当に面白くて驚いた。
文化祭の漫才にありがちな内輪ネタで内輪を笑わすようなチャチなものではなく、伏線や天丼と言った構成の妙が感じられる本格的なお笑いであった。プロフェッショナル顔負けの矜持すら感じさせられた。隣に座っていた高校生が思わずつぶやいた「頭が良いと本当になんでもできるんだな…」は本当にその通りだと思った。また漫才がしたくなった。
最近またライブがあるから漫才をしてほしいなーという旨のことをある生徒に言われたが、感想ではなくコンビに対しての正式なオファーであったらやっても良いと思った。
相手が「良いよ」と言ってくるのを期待した強い意志の見えない曖昧な言葉に対しては今後も断っていきたい。


本当に灘へ行ってよかった。
内省する機会としても色々と収穫があった。六甲山系や住吉川、おしゃれな住宅によって形成された街並みも非常に美しかった。今度は酒蔵巡りで訪れたい。
できればたくさん稼いで定年退職後にこの街に住みたい。

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