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寛大さん、「探究学習」ってなんですか? vol.2 探究学習を成功させる3つのポイント

来年度からの学習指導要領に組み込まれた「総合的な探究学習」。今、どのようにして授業に取り入れていけばいいか悩んでいる先生方も多いのではないかと思います。いち早く教育機関向けの探究学習プログラムを提供してきたタイモブCOO・中村寛大(なかむら・かんだい)の視点から、探究学習とは何か、授業を成功させるために必要なことは何かを考えていきたいと思います。

前回の記事はこちら

寛大(かんだい)さん、「探究学習」ってなんですか?vol.1 探究学習の本質は「好き」を「知恵」に変えていくこと


ー寛大さん、こんにちは。前回は「そもそも探究学習って何なの?」というお話を聞きました。いよいよ来年度から学習指導要領にも盛り込まれる「総合的な探究の時間」。授業を成功させるために必要なことは何でしょうか?

中村:僕は、次の3つを「探究学習を成功させるためのポイント」だと考えています。

①学習者が取り組みたいテーマを選ぶこと

1つ目は「学習者が取り組みたいテーマを選ぶこと」。先ほどの話に関連しますが、心から取り組んでみたいと思えるものが望ましいです。単純に「面白そう」だと感じるテーマでも良いのですが、「もっと知りたい」「どうしてこうなっているんだろう?」といった知的好奇心がくすぐられる内容ならベターです。
でもテーマ設定ってすごく難しいんですよね。特に中高生だと自分の力では見つけられないことも多い。ですからある程度、先生方が準備をしてその中から選ぶかたちになってしまうのは仕方がないかもしれません。それでも、最低限自分が興味を持って、一定期間を投資したいと思えるテーマを見つけることが大切です。

②学習者がなぜそのテーマに取り組みたいのか語れること

2つ目は「なぜそのテーマに取り組みたいか、情熱を持って語れるようになるまで学習者自身が咀嚼すること」
探究学習には、内発的なモチベーションが不可欠です。だからこそ、なぜ自分がこれに取り組むのかを最初に意味付ける必要があります。自分の過去の経験に紐づけることも一つのやり方ですし、将来の自分の姿を想像してそこから振り返る形でもOK。要は自分の人生を一本の線に表したときに、そこにきちんと位置付けられていることが大切なのです。

③「ハマっている」状態を作り出すこと

3つ目は「学習者が『ハマっている』状態を作り出すこと」。毎回の授業や一つ一つのプロセスの中で学習者がある種のフロー状態に入れると、やりきった感や心地よい達成感を体験できます。僕たちが提供する探究学習のプログラムでは「Learning by doing」をスローガンとして掲げ、実践的な学びを重視しています。でも実践的な学びって、結構大変なんです。アイデアを具現化していくには難しい局面もでてくる。そういうときにスッとフロー状態に入れると、やり遂げるための原動力が自然と湧いてくるんです。

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ファシリテーション力がこれからの授業運営に欠かせないスキル

ーその3つがポイントとなると、授業の中ではファシリテーション力が求められますね。

中村:一般的な授業のスタイルとは違うスキルが求められるので戸惑う先生も多いかもしれませんね。ほとんどの公立学校の先生は、ファシリテーション力を身につける機会を持たないと思います。
一方で、ユネスコは教職養成及びカリキュラム開発に対し、文科省を通じて助成金を出すなど、この領域の課題を解決するための施策を打っています。ファシリテーション力は「総合的な探究の時間」だけでなく、これからの授業運営に欠かせないスキルになっていくと考えられています。

ーファシリテーション力をはじめとして、これからの新しい学びに対応していくスキルを国内で学ぼうとしても、情報が少ないのが実態ではないかと感じます。

中村:書籍や文科省からの資料など、少しずつ情報は出てきていますが、まだまだ不足しているのが正直なところですね。

ー他校の事例などがあるとだいぶ参考になると思うのですが。

中村:そうですよね。海外だとプロジェクトベースラーニング(PBL)を中心に事例も多数あるんですが、国内の事例はまだ少ないですね。文科省指定のスーパーグローバルハイスクール(SGH)やワールドワイドラーニング(WWL)の認定を受けているような学校、あるいは国際バカロレアのカリキュラムに準拠した学校などでは3〜4年くらい前からこうした取り組みが強化されてきている印象がありますので、そういった学校に注目してみるのも一つの手かもしれません。
僕たちは2020年から、立命館宇治高等学校様や長野日大高等学校様など、複数の学校・教育機関さまとのお取り組みを通じて事例を積み重ねてきました。もしお困りの先生や学校長様がいたら、ぜひ一度ご相談いただけたらと思います。

ーありがとうございました。次回は、そのようにお悩みの先生方に向けて、タイモブが現場で実施している探究学習の授業の進め方について聞いていきたいと思います。

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タイモブ探究Laboからのお知らせ


探究的な学びを共に探究していく先生たちを募集中!

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これからの教育を担う先生や教育関係者とともに探究学習を共に考え、実践していく「タイガーモブ Teacher’s Community」を立ち上げました。

タイガーモブ Teacher’s Communityとは
中学・高校を始め各種教育機関にグローバル探究プログラムを提供するタイガーモブが運営する、自分らしく生きていく社会と教育の実現のために、探究的な学びの実践機会を提供することを目的に立ち上げられたコミュニティです。
教育の未来について語りあうイベントやオンラインでの情報共有、実践を通じて探究学習をアップデートする勉強会などを実施予定です。

参加資格:
・新しい教育や学びの形を模索している先生
・イキガイを発見する原体験や自分らしさを見つける探究的な学びを実践したい先生
・先生ではないけれど教育分野で何かチャレンジしたい人
・学校や教育を通して100年先のより良い未来や社会、地球を共につくっていきたい人

参加方法:

コミュニティ参加をご希望の方はこちらよりお申し込みください。後日メールにて参加のご案内をお送りさせていただきます。(参加無料)


【終了】オンラインイベント「探究学習の最前線」第一段 「「High Tech High」に学ぶ探究学習の理論と実践」開催決定!

※アーカイブ動画は、タイガーモブTeacher’s Communityに参加していただくと、ご覧いただけます。

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「タイガーモブ Teacher’s Community」の立ち上げを記念してキックオフイベントを開催します。初回は、一般社団法人「こたえのない学校」代表藤原さとさんにご登壇いただき、探究学習の理論と実践について学び、今後のあり方について考えます。

本連載でインタビューを受けている中村寛大とのトークセッションもあります。

開催日時:2022年2月4日金曜日 19:30-21:00
開催場所:オンライン(ZOOMを使用します)
参加費:無料
参加対象:
・小学校、中学校、高等学校に勤務されている先生
・そのほか教育機関において探究学習の実践に関わる方

イベント参加へのお申し込み、詳細はこちら
URL:https://www.tigermov.com/info/detail/809

Peatixでお申し込みの場合はこちら
URL:https://tigermov-edu-0204.peatix.com/view

今後も随時イベントを開催していきます。
イベント開催情報は、タイガーモブサイト、及び各種SNS上で告知していきます。


タイガーモブがご提供する教育機関向けサービスについて

ティーチャーズコミュニティ (4)

タイガーモブでは、中学、高等学校をはじめ各種教育機関向けに、地球規模で実践するグローバル探究カリキュラムをご提供させていただいております。

探究学習への注目の高まりとともに、各種教育機関の皆様と提携させていただく機会も増え、これまで50以上の教育機関、延べ3,000名以上の生徒の皆様に、数日〜1年間のカリキュラム、講義を行ってきました。また、大学の単位認定プログラムとしても採用されています。

タイガーモブは、海外インターンシップや海外研修で培ってきたネットワークや企画力、ファシリテーション力をベースに、世界を舞台にした探究学習をサポートします。

詳しくはこちらをご覧ください。


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