企業内起業家(イントレプレナー)育成方法 第1回

私は企業に勤めながら、社内外でスタートアップや起業法に関して学び、それを自社の国内外の拠点、組織に持ち帰り、普及させる活動に取り組んできました。企業の中で起業する人のことをイントレプレナーといいますが、今回からは複数の連載において、イントレプレナーの創出および新規事業創出のノウハウを組織に浸透させていく上で発生する課題や乗り越え方について紹介していきたいと思います。

まず、このコラムが想定している読者について説明します。対象者についての立場を図示すると以下のようなポジションになります。

対象者

つまり、提案者でも承認者でもなく、推進する立場の人を対象とした内容です。ちなみに、イントレプレナーを作るうえでこのような形態が教育をする上で最適である、というようなことではなく、今後経験を語る私がどのような立場で経験を積み重ねてきたかを示しただけです。上記の立場に置かれた私が、どのように新規事業を生み出すための支援を組織に行ってきたかについて、今後のコラムでは記載したいと思います。
また、社内でアイデアを公募して優秀なものを育てるようなアイデアコンテストを主催する立場の人にも通じるものがありますので、そのような方もチェックして頂けると幸いです。

また、私が言う「教育」についての定義についてもここで明確にしておきましょう。それは以下になります。

教育の対象者:新規事業の提案者、および提案者の活動を管理する管理者

教育後の状態:提案者が、有識者の監督外で新規事業創出に向けた論理的な活動・経験を積み重ねることが出来る。

教育のプロセス:以下の図参照

教育期間

今回のコラムは上記の1~4のプロセスで進めることとします。(※2~4は定着度に応じて繰り返して実施します)

この流れは、組織に対して教育をする上で最適な手順だと考えております。
基本的な知識を得る「2.座学期間」、演習で確認する「3.演習期間」、一人で実践する「5.実践期間」の3つについてはご理解いただけると思います。
やみくもに動く前に基本的なことを学び、例題を通じて学び、独り立ちしていく、というのはどのような学びでも必要な要素です。
ただ、この3つのプロセスだけではイントレプレナーは育ちません。それを補うのが「1.教育準備期間」「4.有識者付き実践期間」になります。
「1.教育準備期間」とは教育開始可能な状態に抱える期間です。後のコラムで詳細は記載しますが、いくら知識や教科書、講師を用意していても、授業を開くことはできないのです。このプロセスを学校で例えるのであれば、学生を学校に登校させ、席に着かせるためのプロセスです。非常に初歩的なことかもしれませんが、イントレプレナーとしての教育は、無理やり提案者を席につかせて座学を始めたとしても、生徒が登校していない状態と等しいことが多いのです。
「4.有識者付き実践期間」とは有識者の指導を受けながら実践する期間です。自動車教習に例えるのであれば、指導教官を乗せて路上を走る演習です。教習所内での訓練で仮免が取れたからと言って、一人で街中を走れますか?と聞けば、このプロセスの重要性についてご理解いただけると思います。
このプロセスのイメージにまとめると以下になります。

教育イメージ00

ちなみに「5.実践期間」(緑の矢印)については、教育期間外としています。理由としては、その段階になっていれば、新規事業の創出を本気で狙う状態であり、教育という形での支援では不十分だと考えているからです。

このような前提で、今後しばらくコラムを記載したいと思いますので、お付き合いよろしくお願いいたします。

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