Z世代はプロフィールサイトをこんなに自由に利用する……運営して気付いた“意外な価値観”「推しの布教」「ページ自体が作品」
プロフィールサイト「lit.link」、コミュニティSNS「WeClip」の開発・運営をするTieUps株式会社。
「lit.link」はZ世代を中心に支持され、正式リリースから1年1ヶ月で月間アクセス4,500万pvを超える伸長ぶりだという。
代表取締役の小原史啓(おはら・ふみひろ)は、その背景に「Z世代は、お金など将来に対する不安を解消するために、まず“影響力”を求める」という価値観があると分析する。
「lit.link」を運営するなかで見えてきた、Z世代に固有の価値観や行動様式を解説してもらった。
「18歳になったら……」Z世代の価値観は“お金よりもフォロワー数、影響力”
――「lit.link」は正式リリースから1年1ヶ月でユーザー数70万人、月間アクセス4,500万pvを突破したとのことですが、小原さん自身は、伸びている要因をどう分析していますか?
コロナ禍の影響はあると考えています。たとえば、緊急事態宣言や“まん防”が発令されると、lit.linkの登録者は増える傾向にある。
若い世代の“オンラインのソーシャルキャピタルを取らなければ”という意図を感じますね。
――ソーシャルキャピタルというと「人脈」という印象の言葉ですが、ビジネス世代だけでなくZ世代でもそういう意識は強いのでしょうか?
明確に言語化しているわけではないと思いますが、感覚として根強いのだと思います。
たとえば、僕らの世代が中高生のころに“お金持ちになりたい!”と思ったら、「社長になって、○○を売る」といった「リアルなものをつくる、売る」という発想がほとんどだったと思うんです。
今のZ世代はそこがまず「フォロワーを稼ぐ」になっている。お金などを含めた将来の不安を解消するために「影響力を持つ」という。
――これまでの価値観で言うと「いい学校に進学する」「いい会社に就職する」というような……。
“お金の価値と影響力の価値が溶け合っている”という感覚ですよね。
lit.linkのユーザー構成を見ても、18歳が突出して多い。これはちょうど大学生になり、スマホやSNSを本当に自由に扱えるようになる、つまり「フォロワーを稼げるようになる年齢」です。
そういった年齢ぐらいから、本格的に自らの“影響力”に向き合うというのが、今のZ世代の実情なのだと思います。
「“推す”という行為の一般化が進んでいる」プロフィールサイトの意外な使われ方
――lit.linkはZ世代に強く支持されているということですが、リリースしてから、意外な反応などはありましたか?
Z世代のなかでは、予想以上に“オタク化”が進んでいるなと感じました。lit.linkも、「推し活」の一環として使われることが多くて。
――推し活?
オタクというほどではなくても、基本的に“アニメが好き”という人が多いんですね。自分が10代のころ、『エヴァンゲリオン』をリアルタイムで観ているという同世代は、せいぜいクラスの2割程度だったと思うんです。ところが、今は9割近くが親しんでいる。
そういう世代の特徴として、特定のアニメキャラや、リアルのアイドルでの“推し”を持っているんです。
“推す”という行為の一般化が進んでいて、その活動のなかでlit.linkを選んでいただけるケースが非常に多くなっているんです。
――具体的にどのように利用されているのでしょうか?
自分のプロフィールを作成するだけではなく、“推し”のためのファンサイトとしてlit.linkを利用いただいている。たとえば、昔だったら「○○くんの新曲が出る」とか「イベントがある」というときに、熱心なファンがチラシをつくって、秋葉原や新宿の路上で配っている……ということがあったと思うんです。
それを、lit.link上で行っている。“推し”の非公式なファンサイトとして、「今度、こんな新曲が出ます」と告知して、布教活動の一環としているんです。
――なるほど……。以前でいう「ファンのホームページ」のような。
さらに驚いたのは、もはやプロフィールとしてではなく、ゲームのような「作品」として使ってくださっているユーザーがいることです。
――作品?
こちらで想定していないような表現をして、遊んでくれているというか。昔のインターネットで個人がゲームをつくっているような現象なのかなと……。
たとえばこういったページです。一見するとなんだかわからないページだけど、よく探すとどこかにリンクが潜んでいるという……。
https://lit.link/litlinksample
――懐かしいというか……インターネット的なものを感じますね。
90年代、00年代っていうこういう“勝手に何かつくって遊んでしまう”という感覚が強かったですよね。森をさまよっている野生の感覚。
今って、すごく悪い表現ですけどユーザーが家畜化のように扱われている感覚もあるじゃないですか……「こういうものが好きなんだろ?」みたいな。
そこへのアンチテーゼというか、かつてのインターネットに回帰するような動きがあるのは非常に面白い現象だと捉えています。
――小原さんは以前の記事で、自身のデザインの原点は『RPGツクール』を改造していたことにあるとお話しされていましたよね。
そうですね。それと同じような現象が、今の「lit.link」でも起きているというのは、とてもうれしい現象だと思います。
――lit.linkのサービス思想として、そんな「インターネット的」なものを残そうという感覚もあるのでしょうか?
そうですね。ある種の“許容度”をわざと残しているところはあります。
個人的にも、「裏技」みたいなものがあるかどうかって、サービスが好きになるかどうかのポイントかなと思いますね。
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TieUps株式会社:https://tieups.com/
採用情報:https://www.wantedly.com/companies/company_3327605
小原史啓 lit.link:https://lit.link/ohara
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