人間の3つの苦悩
今日は旧暦「水無月」の大晦日だそうです。
水無月の大晦日ということは、上半期の最後であり大祓の日。
旧暦今年の1月1日からの半年間の厄災を祓い清める「夏越の祓」の日です。
そして、明日は新月。
今日はお掃除をしたり、身の回りや心の整理をして、明日からまたスタート!というタイミングの日。
思考の整理を、と今日は「3つの苦悩」について書いてみます。
今、色々な変化が、生活サイクル、仕事、体調などに起こっている方が多いですよね。新しい環境で楽しみを見つけてる人、今とても大変な状況の人、何も変わらない人。
国さえも問わず、世界中が緊急事態になることは、滅多にあることではなく、大変な事態が続いています。
日本は、課題はあったとしても、国民は適切な医療技術を享受し、それぞれが新しい生活スタイル確立へも向かい始めている人たちもいます。
世界では、まだまだ心の落ち着きも訪れない人たちもたくさんいる中で、多少の不自由はそれすらも恩恵だと思うこの頃です。
そういった大きな流れの中で、新しい生活環境を模索しながらの日々。
良くも悪くも「新しい自分」を発見をしている人も多いかと思います。
ああ、私これが好きだったんだ、こうするとホッとするんだ、これが苦痛なんだ、と改めて感じている人は多いのではないでしょうか。
そして、そんな認識や感覚にフォーカスを当ててみると・・・
これって、シンプルに考えると、
何かからの影響で自分自身に変化が起こっているって思いませんか?
環境が変わったから、自分の反応が変わったのでは?ということです。
同じ環境下でも、大変でどうしようもない、と思ってしまう人と、淡々としている人、いろんな反応をする人っていると思います。
(ここで、インド的には自分自身ってなんだ?って話になってしまうのですが、そこはちょっと置いといて・・・)
人間はそういった何かに反応して、感情や思考の変化が起こっています。
それはもう誰しもが、多かれ少なかれ、自然に受け入れているシステム。
イライラしたり、ほっこりしたり、優しい気持ちになったり、悲しくなったり。感情の変化も何かが働いて起こっている反応。
ストレスマネジメントの観点からみると、インドの考え方はとても合理的です。ヨガしかり、ヴェーダンタしかり、アーユルヴェーダしかり。
インドの哲学的思想が入っている分野では、そういったことがなぜ起こるのか、そもそもその要因ってなんなのか、細かく分解して捉えていきます。解釈はそれぞれ違えども、根本のそこは一緒です。
そういった解釈で分解していくと、
人間には3つの苦しみがあると言われています。
① Ādhyātmika(アーディアートミカ):私、真我に関することが原因
② Ādhibhautika(アーディバウティカ):環境、他に関することが原因
③ Ādhidaivika(アーディダイヴィカ):自然現象、神性に関することが原因
① アーディアートミカ「私」に起因する障害
これは、私という「個人」が原因で生まれる苦しみ、です。
感情や思考から生まれる苦しみ、自己に起因する苦しみです。
人間は瞬時に状況を察知して、判断→選択をしています。
ランチ食べることにしてもそう、どの道を通って行こうか、今から何をしようか。などなど。朝起き上がるところから選択の連続!
これはもう無意識ですが、選択→行動ってことです。
これは大きなストレス。
目が覚めてから一つづつの行動を振り返ってみてください。
腕を曲げて何かを取ったり、座ったり立ったりだってそうです。
まあ、大変。ほんとうに、選択の連続!
ビル・ゲイツが、いつも同じファッションをしていたことは有名ですよね。
それは、洋服の選択を行動の中から外したかったから。
そのエネルギーを他に使いたかったから、とも言われています。
選択して行動に移す、には、大きなエネルギーを使い、そこでストレスが発生します。それすらも苦の原因となるということです。
② アーディバウティカ「環境」に起因する障害
これは、私以外の周りが原因の障害です。創造物が起因となる障害。
ここでいう環境とは、自分とそれ以外の「それ以外」の部分と考えるとわかりやすいかもしれません。
生き物、人間、住環境など、全てです。
なので、人間関係でもあったり、置かれている環境や状況、食べ物であったり、空気でもあったり。
それらが原因で生まれる苦しみです。
③ アーディダイヴィカ「自然現象」に起因する障害
これは、天災、災害など、人間のコントロールを超えたどうにもならないことが原因で起こることによる障害です。
これらは誰が望んで引き起こしたというわけでもなく、神様の力で起こっていること。
普段、神様とか信じてない〜、という人でも、自然災害などは、何か大きな力が働いている・・と思う人も多いと思います。
そういったことが原因で生まれる苦しみです。
これら3つが、人間の苦悩の原因と言われています。
もちろん、私が原因だから良いとか悪いとかって話ではありません。
分解をしてみるとこうなります。というだけです。
「私」をどう捉えていくのかということは大きなテーマ。
そのテーマを考えていくにあたって「苦悩」についても分解して考えていきます。(流派によって「個」や「自己」「環境」など、線をひくところはそれぞれですが・・)インドでは、顕現の世界を細かく分けて考えていくことが多く、分解が必要なのです。
ほら、そう考えてみると、感情や思考から創りあげられている「自分」というものから、少し離れてきて、苦しい感情から開放されませんか?
思考は言語があることで生み出されてると言われています。自分から離れることで、言語化が薄まり、思考も休まっていきます。
そうやって世界を見ていくことで、この心と体には休息が得られ、本来の動きが生まれてくるのです。
ヨガも、ヴェーダンタも、アーユルヴェーダも、テーマとしているものが違いますが、いろんなことを細分化して観ていくという部分は共通かな、と思います。
そして、なんと、この3つは・・・
Om Shanti Shanti Shantih
(オーム・シャンティ・シャンティ・シャンティヒ)
と大きな関係があります。
ヨガのクラスやサットサンガ、インド関係では一番よく出てくるマントラ。
クラスの前後に唱えたり、耳にする機会が多いかな、と思います。
この3つの「shanti」は、この3つの苦悩を鎮めるための願いなのです。
これについては、また次回!
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