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8割を見る彼が2割を気にする私にプロポーズするまでの話

「ぐみといるとさぁ、たまにイラっとすることもあるけど、8割は楽しい気がするんよな」

これは彼が私にプロポーズしてくれた後、結婚を決意した理由を尋ねたときの彼の返答。
残りの人生の8割も私と一緒なら楽しいと思う、ということらしい。
私は『え…残りの2割は…??そんなんで結婚決めちゃっていいの??』と思いつつ、プロポーズを受け入れた。

結婚について考えながら、この言葉を反芻しているうちに気づいたことがある。
それは彼はいつでも「8割のいいこと」を見ていて、私は「2割の心配なこと」についてネチネチ考えるタイプだということ。

物事の見方が違い、共通点もほとんどない私たちが、ようやく結婚に向けて動き始めたので、記念に二人のこれまでのことを書いておこうと思う。めちゃくちゃ長いです。
(性格や趣味嗜好の違いに多少心配はあったのですが、スイスイさんの記事にタイミングよく背中を押してもらいました。最高だからみんな読んで)

2割を見る私の恋愛失敗遍歴

彼と付き合うまでの私の恋愛は、しんどいことの連続だった。
私の「2割を見る癖」は幸せ:不幸せのバランスがどう傾いているかに関わらず発現するらしく、8割の不安や悲しみから目を背けて、2割の楽しいことにしがみついていた気がする。

1つ前に付き合っていた男性は「重い女は嫌いだ」という言葉で距離を取る典型的なモラハラで、別れる時には「お前の嫌な所ベスト10!」みたいな発表までされた。(私から別れを切り出したのに…)

(当時のツイートを探したらこの時は2割どころか0.5割だった…なぜ我慢していたのか)

そんなわけで、本当に自分を尊重してくれる男性とは付き合ったことがなかったし、そんな付き合いは想像もできなかった。

彼との出会い

前の彼氏と別れた直後、友達から勧められてマッチングアプリを入れた。
「もう28歳だし、まともに人と付き合う練習しよ…とにかく色んな人と会って話を聞く練習だ」と思って、複数人連絡していたうち最初に会ったのが彼だった。

会う約束をした日、あろうことか彼は待ち合わせ場所に現れず、連絡も取れなかった。
後から聞けば、激務の夜勤を終えた後でうっかり寝過ごしてしまったらしい。
私はもう連絡を取る気はなかったのだが、散々謝ってくれたのとお酒を奢ってくれるというので、翌日改めて会うことになった。

カウンターに並んで座った彼を見て、
「なんか親戚にいそうな顔っていうか…作画スタッフが私と一緒って感じの顔だな」
と思った。

彼の話は正直あんまり面白いものではなかったが、私は傾聴1000本ノックのつもりで来ていたので、めちゃくちゃ興味深そうに話を聞いてあげられていたと思う。
前の彼氏と別れて2週間後、初めて会った日に私たちはなんとなく付き合うことになった。

最初は
「私と付き合う男のことだからヤバいやつに違いない…」
と恐る恐る付き合っていたのだが、予想に反して彼は極めて普通のいい奴だった。

やっぱりヤバい奴かもしれない

付き合って半年くらい経った頃、彼から唐突にお金を貸してほしいという相談があった。詳細は省くけれども、トラブルに巻き込まれて急いでまとまった金が必要だと言う。

露骨に絶対ヤバいやつじゃん…
やっぱり今回もダメだったか……

ここまで聞いたら誰でもそう思うと思う。
私もそう思ったし、他に借りる当てはないのかなど色々聞いてみたが、ダメそうだった。

東京生まれが関係しているのかどうか、私は薄給のくせに妙にきっぷがいいところがあり、
「仕方ねえ、返さなかったら手切金としてくれてやらぁ」
と(心の中で思いながら)勢いで十数万を貸した。
今思えば、それまでまともな恋愛をしたことがなかったので、半年でも優しくしてくれた彼に恩義のようなものを感じていたのかもしれない。
誰かに相談すれば「絶対やばい」と言われそうだったので、誰にも言わなかった。
(本当に金銭はトラブルの元なので、真似しないでほしい)

少しずつお金を返してもらったが、奨学金の返済などもある彼は、返済のスピードがめちゃくちゃ遅かった。

それでも返してくれるので、
たまに
「人と真面目に付き合うってやっぱりなんか面倒だな…彼に特別不満はないけど別れちゃおっかな…」
などとぼんやり思って、
「でもまあ、完済までは付き合うか…」
と思いとどまるということが何度かあった。

思考の癖の弊害

恋愛に関して、人生でロクなことがなかったためか、私は「基本不幸な中から良い点を見つけ出す」という思考パターンが癖になっており、恐ろしいことに「完璧に幸せだとどこか不安」という精神状態になっていた。

そのため、付き合った当初は浮気を疑ってみたり、彼の趣味や仕事に文句をつけてみたり、何かにつけて別れる理由を探していた気がする。

「男にいつも裏切られるかわいそうな自分」でいる方が心地よいというのは、本当に厄介なもので、事実を悪い方向にどんどん歪めてしまう。
(いわゆる「認知の歪み」というやつ)

自分の考え方の癖によって自分だけでなく相手を傷つけることもあるんだということを、心理学の本を読んだり、すきだよラボや前身のスキ活サロンに参加したりしながら理解していった。

彼と私の生活

付き合って1年半後、部屋の更新のタイミングなどが重なって、私たちは一緒に暮らし始めた。
基本夜勤の多い彼は、これまで寝不足を推して会いに来てくれていたので、お互いの体力的・精神的・金銭的負担を軽減できるというのが一番魅力だった。

私は部屋を片付けられない人間なので、どうなることかと思ったが、彼も同じくらい怠惰だったので同居生活は意外にもめちゃくちゃ楽しかった。
私たちカップルは、お互い新鮮味やドキドキよりも安心感がある方が心地よく感じるタイプだということが分かった。

会社まで30分の通勤が1時間半になったけれども、彼が家にいるのが嬉しくて、いつも大急ぎで帰った。
くだらないことで毎日のようにゲラゲラ笑った。
ふたりの間で生活の決まりが少しずつできてきた。

一緒に住み始めて1年半、
彼にお金を貸してから2年ほどが経っていた。
彼はついに私への借金を完済し、
その3日後、私の誕生日にプロポーズした。

これから

どんなに素敵に見えることでも、私は隅をつついて心配事を見つけ出す。
彼はなんとなく楽観的に全体を眺める。

そんなめんどくさい私の横に彼はいてくれる。
彼は私の考えを
「いや、ネガティブすぎ〜〜!!」
と笑い飛ばしてくれる。
たまに私の心配が当たり、彼を助けることもある。

そんな感じでこれからも生きていけたら、彼の言う通りまぁ8割はいい感じに笑っていられるのかもしれない。

結婚についての心配事は山ほどあって、本当にまだどうなるか分からないけど、一緒にいるという選択をこれからも1回ずつ重ねていって、何十年後かに「いい判断だったなぁ」とお互い思えていればいいなと思う。

プロポーズしてくれてありがとう。

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