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君が恋をしたなら vol.21「初デート」

今日は待ちに待ったクリスマスイブ。

道行く恋人たちがとても楽しそう。

私も今日は楽しまなくちゃ。

今日は車でユウタを迎えにいって、クリスマスディナーを食べる予定。

プレゼントも用意したし、抜かりなし!

職場のトイレで化粧直し。念入りに念入りにまつげを伸ばす。

口紅もこの日のために買ったクリスマスコフレのものをつける。

実はお昼にも化粧直しをした。

先輩からは、今日は気合い入ってるねと声をかけられ、失笑。

だって今日はクリスマスイブ!

恋人たちの大事な大事な日。

今日はワンピースで決めてきた。

職場じゃちょっと浮いたけれど、終わりよければ問題なし!

職場から借りてる駐車場までの道のりが、今日は近く感じる。

クリスマスがこんなに素敵なものだったなんて、歴代彼氏のときは感じなかった気がする。

出発前にユウタに電話しておく。ユウタはまだ仕事中なのか、携帯には出なかった。

でもいいんだ。

今から約二時間後には楽しいディナーが待っている。

今日はユウタの職場まで直接迎えに行く。

ユウタの知り合いにたくさん会うかもしれないので、背筋を伸ばして、精一杯の会釈の練習。

よし!

と私は言い、出発した。

ユウタの職場まで、ラジオを聞きながら道を走らせる。今日はやっぱりクリスマス特集だ。

クリスマスソングに合わせて、いろんな人たちのメッセージが放送される。

彼氏に向けたラブレターのようなメッセージから、告白メッセージまで。

私もどこかに投稿しておけばよかったな、と思う。

中にはクリスマスイブに告白します!なんて宣言メッセージもあったりして微笑ましい。

ずいぶんゆっくりと車が進む。これもクリスマスのせいかな?と思いつつ車を走らせる。

次の角を曲がると市役所の駐車場だ。

私は着いたよ、とメールを送る。

返事はまだない。残業かなと思い、オーディオをまたラジオに合わせる。

クリスマスソングが染み渡る。

プレゼントはわからないようにトランクに隠してある。

♪明日今日より素直にな〜れる〜♪

ユウタからだ。

『残業もう少しかかりそう。ディナー間に合っかな』

『大丈夫。予約のいらないお店にしたから。終わりそうなときまたメールして』

今日のお店は、花岡山という、山の中腹にあるレストラン。

予約の電話をしたら、予約はなくてOKですよという。

山の中腹から市内が一望できるらしい。

夜景がきれいだと、有名なスポットだ。

私もまだ、一回も行ったことがないので、携帯でもう一度場所を確認しておく。

よし、大丈夫。道は一本だし、入り口の道さえ間違えなければつけるはずだ。

それにしても、遅い、ユウタ。

お腹も空いてきちゃったし、早く会いたい。

オーディオをとめると、エンジンを止めた。

エンジンを止めると、すーっと冷気が入ってくる。

私は一旦外へ出てみた。

これがユウタの勤め先かぁ…。

年季が入った建物を見上げる。

すでに暗くなった空に、建物が大きく見えた。

こんなところで働いてるんだな…。と、ちょっと親近感がわく。

それにしても、遅い、ユウタ。

そのとき、メールが鳴った。

『今終わった!どこにいる?』

『駐車場にいるよー』

かくして、私たちの初デートは始まった。

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