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【連載小説】ガンズグロウ vol.6「告白」

タツキのことをもっと知りたい。

気がつくとそう思ってる自分がいた。

そんな自分をあるわけない、と否定しながら毎日は過ぎていった。


チャットでも相変わらず紳士なタツキ。

ゆらぎの言葉がきついせいか、余計にそう感じてしまう。

今はまだ攻撃力が低いため、一緒に攻撃に回ってくれるタツキに、不思議な感情が芽生えていた。



今日は新しいチームメイトが増えた。

珍しく女の子のプレイヤーのようだ。

名前はみなも。

キャラは姫キャラで、かわいくデコっていた。

ガンズ歴は割りと長いらしく、チャットもスムーズだった。


みなもはタツキによく絡んだ。

なにかと言うたびにタツキ、タツキと言っていた。

私もゆらぎすらもそれが気にさわった。

私はなんで気に入らないんだろう……

ゆらぎが言うに、媚を売っているように見える……

それもあったが、私には別の感情があった。


それは、嫉妬だった。


タツキは優しいから、みなもが何か言うたびにきちんと絡んであげていた。

それが媚を売っているような内容でも、だ。


未だにチャットのスピードについていけない私は完全に置いてきぼりになった。


経験値だけが増えていく。

チャット以外の機能は、攻略本のおかげでかなりスムーズだ。

でも、チャットができない……会話ができない……



大学へは、相変わらずノートパソコンを持ってのぞんだ。

最近はずいぶんキーボード操作にもなれてきて、人並み以下程度にはうてるようになってきた。

それでもみんなのスピードにはついていけない。

攻撃準備を一生懸命している間にチャットはどんどんすすんでいく。


やる気が極端に落ちていく。


そんな私に気づいたのもタツキだった。


『最近調子悪いね、大丈夫?』

久しぶりのメールだ。

『あんまり調子よくない……』

『どうしたの?相談なら乗るよ』

結局、次の日に会うことに決まってしまった。


翌日。

朝から学校へ行き、タツキのバイトが終わるのを待って、と約束した。

待ち合わせは大学の門の前。


先日と同じように走ってくるタツキ。

私はまた、

「走ってこなくても大丈夫なのに……」

「いや、待たせてるから」

会話まで前と同じ。

今日は横に並んで歩き出した。


「最近、どうしたの?チャットでもあんまり話さないし……」

「話したくてもついていけないんだもん」

「どうして?」

「みんなのチャットが早すぎて」

「あぁ、それじゃあゆっくりうつようにみんなに言ってみようか」

「それに、みなもはタツキくんべったりだし」

思わず言ってからしまったと思ったが、遅かった。

「それ、ゆらぎにも言われた(笑)」

「別に焼きもちとかそういうんじゃないよ?!」

「焼きもちじゃないの?ガックリだなぁ」

え?今なんておっしゃいました?

「さやかちゃんなら焼きもち焼いてくれるかなと思ってたんだけど」

「……」

「ゆらぎにも言ったんだけど」

タツキは一呼吸おいてから言った。

「みなも、実は男の子なんだよね」

「えっ?えぇーっ?」

「キャラ設定上、あんなしゃべり方してるけど、バイトの後輩の弟なんだ。今度会ってみる?」

私は頭を振った。

「そっか、じゃあこの件も解決でいいんだよね?」

私は頷く。

「それより、さっき言った言葉って……」

「あぁ、あれは本心」

さらっと言ってのけた。

「それって、つまり……」

「さやかちゃんのこと、俺気になってる。迷惑かな?」

私は頭をぶんぶん振って言った。

「私もタツキくんのこと、すごく気になる!!たくさん、いろんなこと知りたい!」

タツキは頭をポリポリと掻くと言った。

「それなら、付き合ってもらえちゃったり……する?」

「うん、もちろん!」

私はタツキの彼女になった。

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