【連載小説】ガンズグロウ vol.2「ガンズグロウ」
二次会へはいかなかった。
行っても話が合うとは思えなかったから、レナに話して一次会だけで帰った。
帰ってしばらくして、彼のメアドも電話番号もゲットしていないことに気づいた。
まあ、でも二度と会うことはないかなと思い、そのままにした。
翌日。
レナからメールが届いた。
「上坂くんがメアド知りたいって言ってるけど、教えてもいい?」
上坂くん?誰それおいしいの?
「上坂くんって誰だっけ?」
「昨日、さやかが最後まで話していた人だよー」
あぁ、彼か。
ならば教えてもよし。
「いいよ」
10分ほどしてメールが届いた。
「evil-eye……」思い切り廚二病臭いメアド。
上坂くんだ。
『こんにちは!上坂タツキです。アドレスありがとうございます。』
短い文章。
『こちらこそ、よろしくお願いします。』
上坂くんはなんで私のアドレスを知りたがったのだろう……
答えはすぐにわかった。
『ガンズグロウ、初心者同士でチーム組みませんか?』
またガンズグロウ……
これはやるっきゃないのかな、レナもはまってるし、友達として少しはその世界も知っておいたほうがいいのだろう……
私は結局ガンズグロウをやることにした。
といっても、ゲーム自体が初心者中の初心者だから、キーボードの扱いから、まじでヤバかった。
レナにガンズグロウを始めるとメールしたら、すぐに飛んで来た。
「あー、そのボタンは発射ボタン」
「で、これが……なんだっけ?」
「それがロックオン」
「ややこしいな、もう!」
大学でのレポート以外にパソコンを使うことがなかった私に与えられた試練。
試練は簡単には乗り切れなさそうだ。
上坂くんにメールする。
『今操作覚え中だから、ログインまでは少しかかりそうです』
『大丈夫ですよ。のんびり待ってます』
待ってますと言われてはいはい、と待たせることができない私。
無理矢理内容を頭に入れ込む。
トライモードで何回も練習する。
一通りできるようになるまでに、夜になってしまった。
急いでメールをする。
『大変お待たせしました。ログイン、できます』
何時間待たせてるんだよって話。
『そうですか、ではログインしてしばらく待ってください。こちらからチームのお誘いをします。ログイン名を教えてください』
ログインしてログイン名を教えると、しばらくしてメッセージが届いた。
『チームの依頼が来ています』
返事はもちろんyes!
これでプレイする準備は整った。
チャットが送られてくる。
私はそれに返信するだけで、とても時間がかかった。
キーボード操作になれていないからだ。
上坂くんからの返事はすぐに届く。
私は上坂くんから譲ってもらった防具を身につけた。
レナは
「これであとは大丈夫だよね!」
と言い、帰り支度を始めた。
「えーっ、帰っちゃうの?」
「うん。一通り教えることは教えたし、あとのわからないことは上坂くんに聞けばいいでしょ?」
「いや、誰かついてないと不安というか……」
「私も帰ってプレイしないと、みんなが待ってるし」
「そ、そうか。そうだよね。長い時間ごめんね」
「ううん、うまくなったらチーム組もうね!」
「ありがと……」
レナは玄関で敬礼すると、帰っていった。
さ、て。
ちょっと見てない間にチャットが溜まっていた。
まずはキーボードから慣れないと……
その日は三時間くらいプレイして終わった。
といっても、うち七割はチャットに時間を取られていたんだけど。
私のキャラはちょっとロリ系の女の子キャラだ。
髪の毛の色や服装に至るまで、好きなように組み合わせることができるようになっている。
私はあとの時間をキャラいじりに使うと、そのまま眠りに落ちていった。
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