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遠距離恋愛関係はうまくいく?【マイナー恋愛の心理学#001】

大学時代の研究テーマは「遠距離恋愛」。
今思えば、片道500kmの遠距離恋愛をしていた自分を"正当化"するためにスタートした研究でした。
しんどい思いをしながらも遠距離恋愛を続けていた自分の認知バイアスの証明ですね。

ただし、研究自体はいたって真剣。
カップル100組以上の面接調査・質問紙(アンケート)調査をもとにした私の卒業論文「遠距離恋愛関係の関係良好性を促進する要因の検討」を嚙み砕いて紹介します。


<遠距離恋愛ってどんな特徴?>

遠距離恋愛の特徴はざっとこんな感じ。

  • 対面コミュニケーション(直接会うこと)が少ない

  • 恋人と一緒にいる時間が短い

  • 住まいの距離が離れていて、頻繁に会うことが難しい

  • 自分たちのことを「遠距離恋愛だ」と思っている

「物理的距離が原因で、恋人と対面コミュニケーションが取りづらいと感じているカップル」が遠距離恋愛の関係にあるといえます。


<カップルの関係を良くするものは?面接調査から分かったこと>

遠距離恋愛に限らずカップルの関係性を良くする要因が、さまざまな先行研究で提唱されています。
お互いへの愛情や興味、コミュニケーションの頻度など…。
これらをもとに遠距離恋愛の恋人がいる人と、近場に恋人がいる人たちへ面接を行った結果、遠距離恋愛カップルの関係を良くする要因は次の4つではないか?と考えられました。
一見すると「え、そっち?」という意外なものもあります。

  1. 「恋人と一緒にいない時間」をポジティブに捉えている

  2. 恋人とのコミュニケーションでは電話を控え、ビデオ通話を使う

  3. 遠距離恋愛へポジティブな信念(イメージ)を持つこと

  4. 恋人との将来をポジティブに予想すること

遠距離恋愛だからこそ享受できる良さ(自分の時間を持つなど)をしっかり味わい、長期的な視点で関係を考えるという点が大切では?ということですね。

<結論:遠距離恋愛の関係を良くするには?>

いよいよアンケート調査をとおして、仮説を立証していきます。
この調査には200名以上の協力をいただきました。
ややこしい過程を省略して、統計データをもとにした結論は以下のとおりです。

【遠距離恋愛の関係を良くする方法】
恋人とのコミュニケーションには「ビデオ通話」を使う


ビデオ通話を使う遠距離恋愛カップルは50%でした。
遠距離恋愛ではないカップルのビデオ通話使用率は約13.8%です。ビデオ通話は、遠距離恋愛カップルの必需品といえますね。
ビデオ通話を行うことで、恋人と「直接会っている」感覚を持つことができ、その結果として関係への満足度が高まることが示されました。

残念ながら、その他の仮説は立証できませんでした。

<補足:遠距離恋愛は難しい関係なのか?>

「遠距離恋愛は別れやすい」
「遠距離恋愛を続けるのは大変」
一般にはそういったイメージがあるとされています。

今回の研究では、遠距離恋愛の当事者たちはこのようなイメージに対してどう思っているのかを知ることができました。
データをもとに得られた結論は次のとおりです。

遠距離恋愛カップルもそうでないカップルも…
①同じくらい将来をポジティブに予測している
②同じくらい関係に満足している
③同じくらい関係が良好である


「遠距離恋愛だから難しい」というのは、勝手なイメージだったのです。
↑これが卒論の最大の成果かも。

卒論の内容を紹介しました。
結構がんばって研究したな~と感じました。
次回は「年の差婚」について考えてみたいと思っています。
「マイナー恋愛の心理学」シリーズ化する予定なので、ぜひご覧ください!!

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