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モノサシよりコンパス、コンパスよりガソリン
(最終更新:2021.8.15)
長年の無明と迷いの果てに、私がようやく見出した人生訓が
「モノサシよりコンパス、コンパスよりガソリン」
である。
モノサシ=価値基準
コンパス=目標や指針
ガソリン=活力
のことで、つまり
「価値基準に囚われるのではなく、それを指針としていく」
「指針以前に大切なのは、自らの奥底にあり、また自らを支え動かす活力」
ということだ。
私自身にとどまらず多くの方々にも何らかの参考や示唆となるやもしれないと思うので、ここに書き記しておく。
モノサシよりコンパス
多くの人は、無意識のうちに価値基準を求め、何らかの価値基準に惹かれ、そしてそこに囚われてしまう。
自分の中の価値基準、常識や社会通念に属する価値基準で人や物事を判断することは必要だし、それ自体は別に問題にはならない。
それが理性的な判断で留まっているうちはいいが、私達人間は感情の生き物であり、ふとしたきっかけで感情が理性を押しのけて暴走し始めれば「判断」はたやすく「(攻撃的な)裁き」になる。
感情が支配的になった結果、無意識・無自覚のうちに「自分が正しいと思う価値基準」で自分や他人を裁き、そのせいで自らを責め苛んで生きづらくなったり、世の中にトラブルをもたらしたりするのである。
では、価値基準に囚われないためにはどうすればいいか?
私達が「価値基準」としているものを「目標・指針」として捉えればいい。
ある価値基準を以て「こうあるべきだ」とする考え方一辺倒ではなく「こうあることを目標にして努める」という考え方を取り入れていけばいいのだ。
具体的な例を挙げて話をしよう。
例えば「人の話はよく聞くべきだ」という価値基準(=モノサシ)がある。
モノサシに囚われると、こんな風になってしまう。
「人の話を聞かないのはいけない! そんなことではダメだ!」
「人の話を聞こうとしてるつもりなのに聞けない自分は、なんてダメなんだ…」
では「人の話をよく聞くべきだ」というモノサシを、コンパスとして捉えてみるとどうなるか。
「人の話をよく聞くべきだ」を目標や指針として言い換えれば
「人の話をよく聞こう」
となる。
「人の話を聞こう」という目標や指針というニュアンスを帯びた意味合いであれば、そのようにできない自分や他人を責めることもない。
さらに、考え方が具体的かつ建設的になる。
例えばこの場合は「人の話をよく聞くためにはどうすればいいか?」などの問いが生まれ
「相手の話が終わるまで口を開かないようにしよう」といった答えが導き出される。
モノサシで斬りつけたり斬り合ったりすることに終始するのではなく、目標の達成や問題の解決にフォーカスするようになるのである。
価値観のパワーゲームに終始するよりも、それらを目標や指針と捉えて「そこを目指す」ようにすることのほうが、余程重要で意味があるのではないかと思う。
コンパスよりガソリン
と、ここまで「価値基準に囚われずに、それらを目標や指針として捉えよう」という話をしてきたが、さらに重要なものがある。
私達の価値観や価値基準、目標や指針よりもなお大切なものは、私達の日々の生活や人生に通底する「エネルギー・活力」である。
うつから回復する過程で、私はこのことに気付いた。
延々と「死にたい」という思いが湧き出てきてどうにもならなかったときに、食事を見直した結果、そんな思いのさらに奥から「理屈とも感情とも違うエネルギー」が湧き上がってきたのである。
日々湧き上がる思考や感情の奥にあって、時としてそれらを凌駕する活力。
それは言葉になるようなものではなく、ときには私達を支え、ときには私達を突き動かす。
活力がなくなると、私達は
●足を踏み出す勇気を失い
●悩みや迷いから抜けられなくなり
●心身の元気が失われて思考や行動が硬直化し
●忍耐力や他者への寛容さが失われ
●自他の感情に振り回されてしまう。
活力があるからこそ、人は歩んでいけるし、苦しいときも耐えていけるし、その体験を糧に成長していける。
活力を意識し、大切に活用することこそ、人生において最も必要なことであり、見失ってはいけないことなのだ。
(※活力を大切にするための具体的な方法は、別稿に記します)
モノサシよりコンパス。コンパスよりガソリン。
自らの価値観を価値基準とするあまりそこに囚われ、自他を責め裁くことに終始するよりも、それらを「目標や指針」と捉えて努め励めば良い。
そしてそれ以上に、自身の奥底にあって、時に思考や感情を凌駕する「活力」を意識し、大切に活用していくことが大切なのだと、私は考えている。
そして私の得たこの教訓が、ひとりでも多くの方の助けや知恵となることを願ってやまない。
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