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僕は過去を忘れたくない

この世に生を受けた全ての人間に共通するたった1つの事は「必ず死ぬ事」くらいなんじゃないかと思う。

僕も、よく話す友人も、かつて恋をしたあの人も、居酒屋で注文を取ってくれたお姉さんも、駅ですれ違ったおじさんも、みんな死ぬ。

今この瞬間地球で生きてる人間全員が死ぬなんて信じがたい気もするけど、どうやら紛れもない事実らしい。

BUMP OF CHICKENの藤原基央が過去に「終わりや限界があるものが1番信用できる」なんて話していた。

人は生まれた瞬間から死に向かって生きている。

絶対に死んでしまうからこそそれまでの人生を良いものにしようと一生懸命になれるし、何かを大切にしたくなる。

何かを大切に思うのはいつか絶対に手放してしまうからだと思う。
もしかしたら生きてくその先に死がなければ何かに感動したり、笑ったり、感情が揺れ動かされることもないのかもしれない。

人間は当然「今」しか生きていないわけで、それまでの人生は全て過去ということになる。
僕はそんな自分の過去を忘れたくない。

僕は未熟ながらにも二十数年生きてきていろんな経験をした。

SNSで知り合った人たちと渋谷のセンター街に集まって終電までカラオケに夢中になった事、高校1年の頃人生で初めて告白して振られて落ち込んだ事、柳原可奈子のラジオ番組で親子揃ってメールを読まれて飛び上がって喜んだ事。

これらはぜんぶ僕だけの思い出だ。
もちろんその時同じ時間を共有した人もいるけど、その時間の感じ方は人それぞれで「思い出」としてはみんな違うと思う。
自分の中の思い出は自分の中にしか存在しない。

人はいつか死んで全てのものを手放す。
手放すことを分かってるから、せめて自分が生きている短い時間の中だけでも大切に失くさずに持っていたい。

僕はそんな掛け替えのない思い出を、自分の頭にしか存在しない過去を自分が忘れてしまったら、その過去がなかったものになってしまうような気がして怖くなる。

ただ残酷なことに人は忘れていく生き物だ。
確かに自分が経験した時間なのに、自分だけのものなのにそれを思い出せなくなった時ひどくなるせない気持ちになる。

過去ばかりに執着してる人間と言われたらそうなのかもしれない。
でも自分が経験したことだけが本物で、同じものは誰にも作れないし、誰かにもらった時間でもあるから、僕は思い出を忘れたくない。


そして僕自身も誰かにとって忘れたくない思い出の一部になれているなら、生まれた意味みたいなものを少し見出せる気がする。





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