見出し画像

エルサレムに向かう

窓の外は乾燥した土や岩で蜂蜜色したその中ではオリーブの緑色が際立つ。

エルサレムに1時間もせずに着くのだ!と思うだけで胸が高まる。興奮と幸福、不安なんて全くなかった。今からわたしはエルサレムの地に足を踏み入れるのだ、と思うと絶叫して叫び走り回りたくなるくらい言葉では言い表せない何とも言い難い思いが溢れて胸が高まる。そのドキドキ胸の高まりは恋人に会う以上のものだった。パレスチナの地に恋しているのかもしれない。それを顔にださないように歯をくいしばるが口元はほころび、にやけ顏だったのは間違いないだろう。

満席、通路に座る乗客もいる。乗降口の階段に座る人までも。ここまでいっぱいになってやっとバスが出発する。バスの揺れとともに抱きかかえているシーシャやらの大物荷物の体勢も崩れていく。

わたし・大きな荷物でごめんなさい、邪魔になってるでしょ?

隣の女性・大丈夫よ。何か買ったの?

わたし・アンマンでシーシャを買ったんです。思ったより大きくて。

隣の女性・そう。ところでエルサレムは初めて?

わたし・はい。初めてです。もうわくわくしちゃって。自分の目でパレスチナを見たいんです。理由はわからないけど前から興味があって、そしたら何年か前にガザ出身のパレスチナ人とお友達になって。ますますパレスチナが好きになって、その人もすっごくいい人で色々助けてもらって、ガザには行けないけど。

隣の女性・それはいいことね。

彼女はわたしに1枚のカードを見せてくれた。

彼女のIDだ。彼女はパレスチナ人だった。緑色のカード。現在イスラエルに住むパレスチナ人はIDカードで識別され、車のナンバープレートも識別されている。彼らは自国を自由に移動できないのだ。各地にあるイスラエルのセキュリティポイントで尋問を受ける。それ以前に自国であるにも関わらず移動するのにイスラエルにビザを申請しなければならない、申請ししばらく待ちビザが下りてやっとチェックポイントでの尋問となるのだ。

隣の女性・わたしはね、パレスチナ人なのよ。よかったらエルサレムを少し案内しましょうか?連絡くださいね。

そう言って一枚の名刺をくれた。

Activist Dylaとの出会いは、そうこのイスラエル国境からエルサレムに向かうバスの中だった。彼女は金色がかった白髪は肩よりも短くふんわりとしており、肌の色はとても白く力強い目をした女性で英語も堪能に話した。

エルサレムオールドシティへ向かう途中で彼女は下車する。翌日電話することを約束しこの日は別れた。

わたしは現地の人に、パレスチナ人に話を聞きたい、今の現状やどういう思いで世の中を見ているのか知りたいと思っていたのでこんな早くにそういった機会に出会えたのは本当にラッキーだと思っていた。

エルサレムオールドシティ終点までバスで行く。

あなたがサポートしてくれた分を同じだけ上乗せしてパレスチナのジェニン難民キャンプで使います!!もしジェニンをサポートしたいと思ってくださった方はこちらへ< https://thefreedomtheatre.org/donate/ >