メーカー志望の就活生がCAの選考に潜入した結果、最終面接までいけた話①

私はCAという仕事に憧れがあった。しかし、就活時には選択肢に入れず、メーカーを第一志望とし、一般的な会社員になろうと思っていた。大学時代のアルバイトを結構頑張っていたため、サービス業はやり切った感じがあり、大学での学びを活かして、頭を使って普通の仕事がしたかったのだ。
また、幼少期にあまり飛行機に乗る機会がなく、その仕事内容を知らなかったこともある。CAに本気でなりたい子たちの熱意はものすごくて、私にはにはかなわないと思い、選択肢から外してしまった。

なぜCAの選考を受けようと思ったのか

メーカー志望にしたとはいえ、CAへの憧れや興味はまだ大きかった。CAとはどんな仕事なのか、どういう選考を行うのか、どんな人たちが来ているのか、本気を出したら自分はどこまでいけるのか、とても知りたくなったのである。きっと就活でしか見れないこと、知れないことがあると思った。

私はCAに対して、美しくて賢くて仕事ができてグローバルなイメージを持っていた。だからもし受かったら周りに自慢できると思ったのだ。学生時代のアルバイトではブライダルのフロントスタッフをやっていたため、サービス、立ち振る舞い、おもてなしには自信があった。また、身長170センチという長身が優遇される環境なのではないかと思った。要するに自分の能力や素養が認めてもらえるかを試したかったのだ。

受けてみてどうだったか

それまで多数受けていたメーカーの選考と全然違った。メーカーは機会部品や半導体など技術系の企業中心だったため、理系の男子が多かったのだが、一方でCAの選考は、キラキラした素敵女子がほとんどだった。中には女優並みに美しい子もあちらこちらにいた。外見だけでなく性格も、とても良く魅力的な子たちだった。集団面接やグループディスカッション(GD)を通して、すっかり仲良くなれた。また、リクルーターとして応援に来てくださったCAさんたちもすごく素敵で、純粋に憧れた。待ち時間などに、経験談やお仕事紹介など話してくださり、選考自体がわくわくして夢のある楽しいものだった。選考の終盤では本気でCAになりたいと思っている自分がいた。

GD メーカーとの違い

メーカーのGDの目的は、議論して答えを出すことであり、考え方やアプローチ方法、協調性が評価されるのだが、CAは協調性やおもてなしが重要視されていると感じた。話し方、振る舞い、表情などが大切のようだ。驚いたのは、グループのメンバーが意見を言うと、周りのメンバーは「え〜素敵〜❤️」とお上品に小さく拍手をして肯定していたのだ。
メーカーの場合は意見に対してすぐに否定はしないものの、冷静に判断して指摘したり提案したりするのが普通だった。私はすぐに周りを見て、同じように振る舞った。

一次選考ではGDの後集団面接へと移り、2つが同じ日に行われる。入室の方法から異なっていたが、運良く私の入室は3番目だったので、前の人に習って真似することができ、最初の入りは突破できたと思った。

潜入がバレた?ハラハラの一次選考

CAの選考に通るための訓練を行うエアラインスクールというものがあり、本気で目指している人はそこに通って準備してから選考を受ける。スクールに通っていた子たちは、外見からすぐに分かる。本気度が高く、雑誌やドラマ、ネットなどでも調査し尽くしている子たちだ。それに比べてスクールにも行かず、あまり仕事内容も知らず、ふんわりとした憧れだけで来てしまった何も知らない私である。他の子と明らかに雰囲気が違ったと思う。よく分かっていない子が紛れ込んでると、バレたかもしれない。案の定かなりやらかしていたと思う。

髪型

ブライダル時代は夜会巻きという、髪をまとめて後ろでねじってピンで止める髪型をしていた。何度もこの髪型をしていたので綺麗にまとまり、自信を持って出かけたが、当日この髪型は私だけで、周りはほとんどポニーテールか、ネットで覆ったお団子頭だった。選考が終わった後調べると、夜会巻きは、CAになって数年経った先輩に許される髪型であり、新人がやると少し生意気に映るようなのだ。私は終わった後で、しまったと思った。

服装

私はいつものようにワイシャツにジャケット、スカートで臨んだが、ワイシャツの形が自分だけ違った。メーカーは襟がボタンで閉じているのだが、サービス業や商社など華やかな業界では襟がV次に開いているものが良いとされ、ここでは、みんなそれを着ていた。もしくはワイシャツではなく丸い襟のカットソーを中に着ていた。
何か問題というわけではないが、外見を見比べても周りと違うことで浮いていそうだった。

サブバッグ

私はこの日に限って就活バッグのほかにサブバッグを持って行っていた。この日はもう一つ面接があり、お弁当が中に入り切らなかったのだ。母が頑張る私のことを思って作ってくれたお弁当である。丁寧に保冷剤までつけてくれた。私はサブバッグとして、他社のロゴが大きく入った紙袋にお弁当と保冷剤を入れて面接会場に行ったのだった。しかし面接が始まる頃には保冷剤が溶けて水分を発し、それが袋に移って濡れて破けてきていた。
面接会場では部屋の隅の机の上に荷物を並べておく。集団面接なので、複数人がバッグを並べるのだが、私のサブバッグはかなり目を引いていた。
サブバッグを面接に持って行くことは、基本的にNGなのだ。それも他社のロゴが入っているものなどもってのほかだ。それに加えて濡れて破けているのである。ただでさえ身だしなみや外見には気をつけなければいけない仕事柄なのに、これは流石に酷いと、思い出して笑ってしまう。私は面接開始時にいたたまれない気持ちになった。

ほこり

面接直前に洗面所で何度も身だしなみチェックを行った。周りの子達ともお互いをチェックし合った。しかし面接会場に入り、椅子に座った際、私は自分のスカートを見て凍りつく。そこには普段あまり見かけないほどの大きなほこりの塊がついていたのだ。いつどこで、なぜほこりがついたのかは想像できない。入室時からついていたのに気づかずに面接官の前に立ち、お辞儀をしたり自己紹介をしたりしていたのだ。

ボロボロのサブバッグにほこりのついたスーツの私。第一印象は最悪である笑 正直めちゃくちゃ焦った。一次で帰ることになるかと思った。しかし、第一志望じゃなかったために謎に余裕があったのだ。私はこういう時こそ試されていると自分を奮い立たせ、ピンチをチャンスに変えるべく気持ちを切り替えた。かなり極限の状態だが、こういう状況が人を強くするのだ。

どのように取り組んだか

私はそれまでのいろいろなことを全く気にせずに何事もなかったかのように振る舞った。周りを見渡して真似をして、できるだけすぐに馴染むように努めた。高めの声で一人称は、わたくしと言って、ゆっくり丁寧に話すようにした。特にアルバイトの経験から学んだことや身につけたことには自信があったし、アピールポイントだと思っていたので、堂々と自信を持って、ブライダルの経験やお客様目線、おもてなしについて言いたいことをちゃんと全部言った。面接での受け答えに関しては悔いのないように全てを出し切ることができたのだった。

結果

やらかしまくりで次に進めずに終わったとばかり思っていたが、その後まさかの一次選考に通過し、二次選考に進むこととなったのだ。

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