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自動運転とMaaSによる社会課題解決について考えてみる(2)

前回、高齢化する地方都市の諸問題への対策として、

・オンデマンドで利用できる「自動運転の電動ローカルビークル」を活用して、高齢者が自分で運転せずにアクティブに活動できる社会環境を構築する
・さらに、「都市中心部や他の地域とつなぐ自動運転バス」とローカルビークルを連携する拠点となる「ローカルハブ」を設置、更に広がりのあるトランスポーテーション・ネットワークを構築し、地方都市全体のモビリティを高める

という、構想(妄想)をしてみました。
前回記事へのリンク
今回は、この「ローカルハブ」について、もう少し考えてみたいと思います。

2.発展するローカルハブの姿
■ローカルハブのイメージ
ローカルハブが発展していくと、いったいどんな機能を果たし、どんな姿になるのでしょうか?「なぜ、どのように」をいったん置いておいて、出来上がりを妄想してみると、以下のような可能性があります。

<基本機能>
・居住地近隣をカバーする自動運転ローカルビークルが待機する「カーポート」兼充電スポット
・ローカルビークルと、都市中心部等への自動運転バスの乗り換えポイント(当然ながら「バスの停留所」でもある)
<付加的機能・設備>
・ローカルビークルを活用した宅配・出前の配送拠点、また配送する料理などを調理するキッチン機能、ローカルビークルを活用した宅配・出前の配送拠点
・地域住民の動線・交通の結節点であることを活かした商業施設(コンビニ、スーパー、ドラッグストア、クリーニング店など)、公共施設(保育園、病院、また市役所の出張所やコミュニティセンターなど)の集積
・ローカルビークルへの充電、また各施設・機能に電力供給するための太陽光発電設備・水素発電設備と蓄電設備

自動運転とMaaSが本格展開してくると、このように新たな街が出来てくることになるでしょう。
では、なぜこのような発展が期待されるのでしょうか?

■ローカルハブの成り立ち
電動・自動運転車であるローカルビークルは、個々人が保有せずとも、スマホの配車サービスでいつでも呼びつけて(あるいは予約して)、目的地まで乗っていって、そこで乗り捨てることのできる、とても便利な乗り物です。タイプによっては、宅配・出前を無人で実現することもできます。
でも、このローカルビークルは、顧客を降ろした後はいったいどうするのでしょう?また、待機している時間や、夜中などはいったいどこに居るのでしょうか?

<カーポート>
ローカルビークルはクリーンエネルギーとすべく、電動自動車を想定しています。すると、当然のことながら充電が必要となります。
また、ある事業者がそれなりの数のローカルビークルを運営する場合には、点検やメンテナンスを行う必要があります。
そこで、ローカルビークルを充電できる設備が並び、またメンテナンスもできる「カーポート」を考えてみましょう。ローカルビークルは、お掃除ロボットの「ルンバ」のように、顧客を降ろしたら「カーポート」に自動で帰ってきて自分の「ポート」に駐車して充電します。そして、次の配車指示が入ってきたら出動するのです。

顧客からのオンデマンドの配車リクエストに迅速に応えるため、こうした「カーポート」を半径1~3キロに一箇所設置していきます(実際の設置間隔は、地域地域のニーズに応じて決めます)。典型的には、その地域の幹線道路沿いに、一定の間隔で設置するモデルとなるでしょう。
そして、この「カーポート」と隣接して(基本的には同じ敷地に)、都市中心部と結ぶ自動運転バスとローカルビークルを接続する「ローカルハブ」を設置することにより、ネットワークを構築するのです。

このとおり、「ローカルハブ」は都市中心部と周辺部を連結する、ローカル・トランスポーテーション・ネットワークのハブであり、同時にローカルビークルの配車基地・充電基地(カーポート)を担うのです。

■ローカルハブの発展
やや唐突ですが、スマホやPCによるネット販売(eコマース)の発展は著しく、ありとあらゆるものがワンクリック・ワンタップで購入され、自宅まで配送されます。食品についてもピザなどの宅配のみならず、生鮮食品や飲料その他の宅配・配送のニーズは益々高まっています。こうした「出前」的なニーズでは「即時配達」が求められる一方、人手不足も顕在化しています。
ここでも、自動運転・電動自動車の出番ですね。ローカルビークルは大きさや形などいくつかのタイプが考えられますが、人だけでなく荷物を積むことができるタイプは、無人宅配用のビークルとしても活躍するでしょう。

ローカルハブは自動運転・電動自動車のカーポートでもあり、常時何台かのローカルビークルが待機していることになりますから、このローカルハブの近隣に拠点を設けることにより、顧客への「迅速」な宅配・配送が実現できるのです。
したがって、カーポートがあり道路の便もよいローカルハブの近隣に、宅配便の拠点、郵便局、出前専門(ピザや寿司など)業者の拠点、〇〇ヤスのような酒類・飲料の配送拠点などが出来てくるでしょう。宅配に力を入れ始めているコンビニチェーンなども例外ではありません。宅配用のドローン発着拠点も兼ねることも考えられます。

こうして、宅配・配送関連の拠点が集積してくるわけですが、ローカルハブのもう一つの特徴「地域と都市中心部の結節点」、地域の人々の動線という観点に目を向けると更なる展開が見えてきます。
バスからローカルビークルへの結節点となるローカルハブは、日常生活において多数の人々のリアルな動線ともなります。この人々への利便性提供のために、あるいは商売の機会を逃さないために、コンビニを始め、ありとあらゆる地域商業施設や公共施設の出店候補場所となることでしょう。
コンビニ、スーパー、ドラッグストアは当然ながら、クリーニング店、保育園、病院・薬局、また市役所の出張所やコミュニティセンター、デイケアなどが候補となります。自家保有の電動自動車が使用できる充電拠点ともなりえます。
施設の組み合わせや建物の造りによっては、高齢者と幼児の交流や、保育園・デイケアと病院・薬局の連携、リモートでの診断・処方から薬の宅配とリモートでの説明の仕組みなど、更なる付加価値が展開できます。

このように、ローカルハブの発展による、地域への利便性提供、活力の維持・増進、一方でビジネスの商圏確保・収益性増強が期待できるのです。

■まとめ
地域の足であるローカルビークルの充電・配車基地でもあり、都市中心部を結ぶバスとの結節点でもあるローカルハブは、
・宅配・配送の拠点が集積し、
・また、人々の新たな動線として、リアルの店舗が集積する、
地域の商業・公共拠点として発展することになるのではないでしょうか。

前回記事の冒頭で触れた「高齢化・人口減少によるバス便減少・店舗閉鎖といったネガティブスパイラル」が懸念される状況に対して、自動運転・電動ローカルビークルと、ローカルハブの設置・発展により、商業面でも活き活きと復活する展望が拓けてきます。

ここまで、バラ色の妄想を展開してきましたが、一方で、既存の商業施設や商店街、鉄道の駅などもあるなかで、このように簡単にことが運ぶとは限りません。
次回、このようなローカルハブが、いったいどこに発達してくるのか、そもそも自動運転などのテクノロジー進化によって生活がどのように変わってくるのか、考えてみたいと思います。

なお、見る人から見ればつっこみどころ満載の妄想だと思います。こんな問題があるぞ、こうしたらもっと良くなるのに、などご意見ございましたら、是非コメントくださいませ。


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