組織人の弱点「失敗を恐れる」

組織人の弱点は、失敗を恐れることだ。特に、日本は転職が増えたとはいえ、まだまだアメリカほどではない。アメリカの場合は、失敗しても、幹部などの有名人でなければ、転職してリセットできる。日本の場合、転職回数が3回以上になると非常に転職が難しくなるため、許されるリセットは3回が限度だ。アメリカの場合は、リセットは11回ほど可能だ。これはデータでも証明されている(日本経済新聞)。

そのため、日本の組織人は、どうしても失敗を恐れるのだ。成功しても、日本は年功序列なので、いきなり課長にはなれない。しかし、失敗を重ねるとその会社では昇進できない。それならば、下手に動かず、平穏無事に過ごすことだけ考えるようになる。

もちろん、職種によっても違う。チャレンジ精神が問われる営業や研究プロジェクト、商品開発では、積極的にリスクをおかして大成功を狙う人も多い。しかし、ほとんどの職種では、失敗によるマイナス評価を恐れるのだ。そのため、真面目で頭脳も良くても、官僚的な事務屋のような社員が増えるのが日本なのだ。

アメリカの強さは、積極的にチャレンジする人が多いことだろう。転職回数も平均11回だ。高度経済成長の頃の日本はなぜ上手くいったか?それは、マクロの経済が毎年10パーセント近く伸びていたので、失敗しても利益が出せたのだろう。しかし、今はそうではない。そして、高度経済成長が10年前まで続いていた中国で手っ取り早く成功する企業が増えた。昔の中国は技術が低かったので、最先端の日本の技術をもっていくだけで成功できたのだ。もちろん、今はそうではないが。

結局、利益至上主義では、「確実に利益が出せる」経済成長率の高い新興国へと設備投資が流れてしまい、日本国内で投資が行われない。日本国内で無理して設備投資しても、シャープのような失敗のリスクがある。シャープは亀山工場などで液晶技術が世界一だったが、すぐに中国・韓国に追いつかれて、鴻海に救済的な買収をされた。

ただ、風向きは変わりつつある。米中対立や中国の過剰生産で、中国ビジネスは雲行きが怪しくなった。TSMCやラピダスで日本の半導体復活の流れもある。日本の人件費が円安や低成長で先進国でも下から数えたほうが早い低水準なので、日本国内での設備投資で利益が出しやすくなった。これから、反撃だ。多くの日本人がリスクをとってチャレンジしてほしいと思う。

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