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短期間でもドイツ語を学ぶことで、英語を少しだけより使えるようにする。

日本に住んでてドイツ語を話す機会など皆無であるし、ドイツ人はそもそも英語を話せるので、果たしてドイツ語を学ぶ意味があるのかと大抵の人は思う。ただ

・ドイツ駐在が決まったり、
・大学で第2外国語としてドイツ語を学ぶ必要があったり、
・仕事先にドイツ人が勤務していたりするなど

ドイツ語と関わりを持つようになることも生きててあると思う。僕もそうであった。そんな中半ば強制的にドイツ語の勉強を始めたのだが、結果的には、英語の能力向上に役に立った(気がする)。英語の瞬発力が上がった(気がする)。だから何らかのきっかけで、ドイツ語を始めなくてはいけなくなった場合、そんなに悲観的にならずに、英語のためと思って、1年位の短期間でも勉強してみるのはありだと思う。この投稿が、そのような皆様の役に立てば*。

*英語を話せると思ってる人にとってドイツ語学習が役に立つかはわからないので注意。ある程度書ける読めるけど、英語を喋るのには自信がない人向け。


メリット1つ目

さて僕の場合、知識ゼロからドイツに来て1年間語学学校に通った。週2回×13週を春・秋二セット。一コマ1.5時間。計78時間程度。これにより、ドイツ語レベルA1を修了した。レベルA1=独検4級、英検で考えるとレベルA1=英検3級。すなわち、中学ドイツ語を獲得した。

中学ドイツ語獲得になんの意味があるのか。中学英語を経験した皆様ならおわかりだろう。ドイツ人同僚とドイツ語でぺらぺら喋れるわけがない。ドイツ語で話しかけることは何とかできるが、その返事は1ミリも理解できない。そんな程度である。

ただドイツ語の授業中にふと気づくのである。ドイツ語の文法はほぼ英語と同じだということに。だからドイツ語を日本語で理解するのではなく、ドイツ語を一度英語に変換してから日本語で理解するようになる。その方が遥かにわかりやすいからだ。すなわち授業では中学ドイツ語をひたすら中学英語に変換することになる。さらにその上、語学学校でドイツ語を学んでいると、話す時間もある程度確保される。だから、中学英語を考えてからドイツ語を話す、という機会に恵まれる。感覚的には最早、ドイツ語の授業と言いつつ、英語の授業の復習をしていることになる。これが自身のスピーキング能力向上に一役買ったと思う。

コミュニケーションにおいては中学英語で十分だという意見を聞いたことがあるだろう。そして、相手の英語を聞いて中学英語をノータイムで作り出すことは訓練がいるということも頭では理解できるであろう。ただ、ある程度英語を理解している人が、その訓練をできるかというとなかなか難しい。例えば英会話教室に通い始めたとしても、なまじ読み書きができるせいで上の方クラスにぶち込まれるので、難しい表現を学ばされる。また、自分で勉強を頑張ろうと思っても、中学英語のテキストなんてもう知ってる内容なので、復習しようと思ってもつまらないし、やる気なんておきない。そんな訓練がもし過去に出来てるのであれば、もう英語喋れてるよって話ですよ。そんな中、ドイツ語学習はある程度新鮮な気持ちで勉強することができ、自動的に英作文の訓練を繰り返すことができる。これがドイツ語学習を短期間(1年程度)でも始めるメリットである。


メリット2つ目

ドイツ語の雰囲気が掴めてくると、単語を覚える必要が徐々に出てくるのだが、ドイツ語単語の習得は初心者にはそこまで苦にはならない。なぜなら英語と似通った語彙を目にする機会が多いからだ。

例えば、

・同じ単語ですこし違う発音になるもの -> Informationは独ではInformation(インフォマチオン)
・似たような発音を有する異なる単語 -> Fatherは独ではVater(ファーター)
・一つ一つは違うものだが、組み合わせ方は英語と一緒パターン ->
独aufgebenはgive upの意味だが、独のaufとgebenはそれぞれupとgiveの意、同じ組合せでどちらも諦めるの意味。

などなど結構ある。実際に英語とその他の言語の類似度を語彙ベースで検討した調査(*1)なんかもあるみたいで、それによるとドイツ語と英語は客観的にもかなり近いらしい。

勿論英単語と全然違うものもたくさんある。例えば、hiking はドイツ語ではwandern である。ただその単語を覚えていなくても平気だ。ドイツ語の中にhikingとしてそのまま突っ込んでも、問題なく理解してもらえる。Ich mag "Hiking" = I like hiking のように。だから、初学者のうちからそもそも使える語彙が多いのだ。

そうすると何が起こるかというと、ドイツ語を考える際は、単語をある程度知っているにも関わらず、簡単な文法しか使えないというアンバランスな状態になる。つまり、言いたいことを表現する際は、それが一種の拘束条件として働くため、簡単な言い回しで表現する練習を積むことになる。英語だとついつい頭でっかちになってしまう文章も、ドイツ語で作文する際は、使える手駒(文法)が限られているため、簡潔な表現しか逆にできないのだ。


メリット3つ目

最後は英文法関連。英語を始めてから結構初めの方でThere is ~ 構文とかを習った。当時はあまり気にもとめていなかったが、勉強を進めていくと、Here comes ~. There exist ~. からのSo am I. とか倒置構文が出現し、何だこれはと思った事があった。あのときはでてくる度、「あーまたか」と若干嫌気が差していたが、ドイツ語を学び始めるとこの倒置を少しだけ理解できるようになる。

というのも初心者が習うドイツ語の原則はまず第一に「動詞は文の2番目に来ること」である。逆に2番目に動詞があれば語順は何でも良い。S+V+OでもO+V+Sのどちらでもよいのだ。だから、ドイツ文はいわゆる倒置のオンパレードになる。

また、thenとかhoweverがたまに、It is, however, difficult. 的な感じで文中にある文章を目に入ることもあるだろう。これもドイツ語では上記と似たようなものでよくある話である。このようにドイツ語文法の勉強を進めると、英文法がすっきりしてくる事が多々起こる。言うならば英文法の理解を少しだけ深められる気がするのだ。(もちろんすっきりしたようにみえているだけなのかもしれないが。)


以上、ドイツ語を学ぶメリットについて英語を使えるようにするという観点から自身の経験をもとに考えてみた。駐在でドイツに1-2年来る人がすぐ日本に戻るのと英語が中途半端なのでドイツ語はやらないことにした、という話をよく聞く。その度に、日本で働いてるときより確実に自由時間が増えるので、ドイツ語やればいいのにと思っていた。もちろん、英語だけで話をしていたとしても、英語の能力は上がると思うので、わざわざドイツ語という遠回りをしなくてもよいのかもしれない。が、どちらの道でも英語能力が上がるのであれば、たとえ帰国後に忘れてしまうドイツ語であっても、勉強することに意味があろう。仕事は英語、プライベートはドイツ語でドイツ人は喜んでくれるのだから。

参考文献
1) 例えば、https://bigthink.com/strange-maps/a-map-of-lexical-distances-between-europes-languages/

https://www.youtube.com/watch?v=2OynrY8JCDM

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