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『もの忘れ顛末記 #39』お風呂は気持ちいい 唯一笑って過ごす場所だから

おじい78歳    怒って怒って怒ってなみだこぼしてちょっと笑う 今日も元気        


【39話  お風呂は気持ちいい 】


本日のおじい

お風呂の時間
1日のなかで一度限定の笑い顔が出る瞬間

椅子にちょこんと座っている  「寒い 寒い」と怒って大声をあげていた
そんな季節も終わり 次の季節に  心地よくなってきた  「お湯かけますよ」「足に流しますよ」「背中に流しますよ」「頭から流しますよ」「背中洗いますよ」「頭洗いますよ」不自然な他人のような口の利き方  一言 宣言してからにしてください

季節が変わった今現在のルーティン

服を脱がせてもらうと ひょこひょこと自分で風呂場へ向かいます  頭を洗い体を洗い 湯船にたたずむ頃に「気持ちいいね」1日1回お決まりのスマイル

背中を流す相方(妻)さんに
ある日は「ありがとうございます  気持ちいいです」
ある日は「おまえ だれ?」「この女の人 だれ?」「ここから出ていけ」

頭の中にいくつかのチャンネルがあるようだ

おじいの名誉のためにひとこと  相方さんの記憶はありません  あしからず

それでもおふろは「気持ちいい」・・・・・みたい


食事の時間(特に夕食)

近ごろ お箸の使い方がわからない  フォークとスプーン  しばらくして使い分けができなくなってフォーク付きスプーンで

テーブルには 淡い赤や黄の花柄が描かれているテーブルクロスがかかっています

この花柄をスプーンで何度もすくっている  食べ物に見えるの? ご飯 みそ汁 そのほかお皿にのる料理に見向きもせずに ひたすら花をすくい取ろうとし続ける  全くお腹がふくれない  何度も何度も説明してみても聞き入れることはなし  本人にとってそこに食べ物があるのだから

おじいそのうち怒りだし 最後にいつも通り 涙をぽろり
78歳  顔を真っ赤に赤らめて 思い通りにいかない毎日  顔の記憶がなくなってから その目に映る妻も 子供も 孫も 知人も 友人もまったく知らない赤の他人に  一人ぼっちの世界で生きる


ストレス全開  だれが?

相方(妻)さんのご様子が・・・・
おじいの相方さん  30代の頃に義理の母を 50代の頃に義理の父を 60代の頃に実の母を 80歳を前に夫を

それよりなにより ここまで子育て 孫育てをふくめて主婦歴50年を超えてきて つちかわれてきたその目でその手で商品を選べない時間がはじまった
おじいが相方さんの顔をわすれて目が離せなくなって数ヶ月  自分の最優先事項である買い出しに行けない初めての期間

まわりの人間がお手伝いと かわるがわるに買い出しに

力を出すところが違うみたい  相方さん徐々に短気になってきた 怒ったり 怒鳴ったりストレス全開だ   SOSがでています

おじいストレスMAX   相方さんストレスMAX


PS (追伸)
最近 おじいが転ぶ回数が増えてきた (38話)  原因をもうひとつお風呂でみつけた気がする  足首とその下の指先までの部分がロボットのようにむくんでいる? はれあがっていてまったく足首が動かない


夕食の時間  花柄ばかり食べようとするので これまたまったく夕食が終わらない

小さな小さな世界の出来事  関係する人だけでストレスMAX  これぞ負のスパイラル

忙しそうな人 手のあいている人 知ってる人 だれでも巻き込んじゃえば


いいんじゃないですか ほんとうに

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