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それは呪いか潜在意識か

24歳の時に、海外出張でシンガポールに行ったときのこと。
行きの便で私の左に座った、たぶん当時50代後半の女性との会話が、今でも頭に刻まれ、忘れられません。

飛行機に乗り込むと、先に着席していた女性。お一人のよう。私もお一人。
隣が感じの良い女性で良かった、なんて思いながら荷物を上にあげ、着席。
夜の便だったので、「あの、もしお手洗いとか行かれるとき、私寝てても良いので気にせず声かけてくださいね。どけますから~。」などと言ってみたのが会話のきっかけだったような。

機内食を食べている間に、なぜシンガポールに行くのかに始まり、その時も転職しようかと悩んでいたので、お仕事の話をふってみた。
彼女はお花の先生をやっているとのこと。
なぜお花の先生になったのか?と尋ねると、
「お花に向き合っていると心が穏やかになるでしょう。きれいだな~、もっときれいに見せるにはどうしようかな~とか。自分がおばあちゃんになったときに、そういう穏やかな気持ちを持って生きていたいなって、中学生くらいの時思ったの。」と。
15歳とかで、おばあちゃんになったときの自分を想像して仕事を選ぶってスゴ!その着眼点全然なかった…と大きな衝撃を受けました。

余談ですが、私は先々のことを考えたり、長期目標を立てるのは本当に苦手です。短期間やその日の「やること」を洗い出して、つぶしていくのは大好きなのですが。世の中の何割の人は、目標立てるの得意(好き)なんでしょうか。
面接や面談とかの「10年後どうしてたい?」系質問は、本当、困ります。

彼女の言葉は私にとって呪いとも言えるし、指針とも言える、その後の生活(主に職業観)に影響を与えた一言となって残っています。

1社目から2社目に転職するときも、1社目にこのまま居続けたら心が荒んでいくと思ったし、2社目から今の3社目に転職するときも、この業界や会社に居続けても、心穏やかになる時間は1秒も生まれないと思ったし。

心穏やかな状態、たまには心躍る状態も。緩急ある仕事や習慣を、日々に取り入れていきたいと今も思っているので、もしかすると、彼女が発した言葉は、私の求めるものや状態を言語化してくれた瞬間だったのかもしれません。

機内食を食べ終え、機内も暗くなったのでさて寝るか、、となった頃、名刺をくれた女性。
「なんだか娘みたいでお話長くなっちゃったわ。きっとこれもご縁ね。きっとお手紙書くわね。」と。
私も住所をざざっと名刺に書き、手渡しました。ほぼ他人の何者でもない私に手紙なんてくれるのだろうかと正直半信半疑でした。

その時は11月。

その後彼女は、約束通り元旦に届くよう達筆な文字で一言添えて、年賀状を送ってくれました。
年賀状文化を高校生で失っていた私は、急いでコンビニに年賀状を買いに行き、お返事年賀状を送りました。

ご縁をものにできる人って、こういう人なんだろうなぁなんて思いながら。

あれから10年近く経った今も、彼女は毎年年賀状を送ってくれます。
私も3枚1セットの年賀状の1枚を彼女に送って、近況報告をしています。
住んでいる場所が離れているので、あれから一度も会っていませんが、彼女はまたお会いしたいと思っている人の中の一人です。

忘れられない一言、大事にしている言葉、ありますか?

今日も読んでいただきありがとうございました。

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