キャプテンとは

現在、TMG Athletes 代表で Break fast club も運営されている中山さんを知ったのは、大学生時代に見た Cleveland Cavs の WOWOW の取材番組でした。そこから中山さんが発する情報をずっと拝見させていただいています。

今回、LATD のブログでキャプテンに関することを発信されていたので、

私が選手として経験したこと、

そしてその当時の顧問の先生(県選抜チームの監督を3年連続経験された)と最近飲んだ時に感じたこと、

そして私がミニバスチームを指導した時の話

の3つ構成で、アプトプットを含めて、ここに記したいと思います。


まず、私は中学2年生の夏から3年生の夏休みに引退するまでの1年間にキャプテンを務めさせてもらいました。

顧問の先生からの指名でした。

今でも覚えていますが、 先輩が引退して、新しい代が始まる初日の練習前でした。体育館の鍵を同級生と二人で取りに行って、今年もキャプテンを決める話し合いを練習前にしますか?と聞いたところ、『トシキがやれよ。一番向いていると思う。異論も他の選手はないと思うよ。』と言われやることになりました。

みんなで話合うときに、勇気を出して僕がやりたいと言おう。できなくてもいいから最初は遠慮しないで言おう、と少し緊張していたのが拍子抜けしてしまいましたが、嬉しかった。

前の代は一週間以上、先輩たち5人で話し合っていました。先生は自分たちでキャプテンを誰がやるか決めるまで待ち続けました。

僕の代は速攻僕に決まりました。そして僕はそう言う役割を担うことが好きでした。

この先生は人のことをよく見ていました。

僕を周りのチームメイトが助けてくれる。そう言った集団の構図もよく見ていた人でした。

中山さんの記事の中で、リーダーとしての役割の中、僕が果たしていたのは2つか3つくらいです。

あとは同級生のチームメイトと、下級生で試合に出ていた子たちが、下級生をまとめることをしてくれました。

これができたのは仲の良さです。僕らは小さい頃からずっと遊んできていました。小学生の頃から中学3年までお泊まりするほど仲がよかった。夜な夜な恋愛の話をしたり、そこからすっ飛んでバスケの話をしたり、下級生の頃、誰が尊敬できたとか、いろんな話をしてたくさんの時間を過ごしてきていました。

そうした仲の良さがあり、そして僕の今考えていることとか、チームとしてこうしたいとか、そうしたことを「共有」できたチームで、重荷はありませんでした。なのでキャプテンが苦しいという子の気持ちをわかってあげられません。


現実にキャプテンはあります。ただその形は人それぞれでいいと思います。

ただ、指導者も、そしてチームメイトも、保護者も、キャプテンだからとかそうした言葉を吐くのは厳禁だと思います。

私はチームメイトからも、顧問の先生からも、そして自分の親を含めた保護者からも、1回としてお前がキャプテンなんだからと言うようなことを言われた覚えはありません。

キャプテンがいる、部長がいる=集団でありチームです。チームワークがないと、何事もチームで前に進むことはできないとこのときに強く感じました。



次は、この当時のことを振り返った時の飲み会での顧問の先生の言葉と、同級生と後輩たちの当時の印象の話です。

僕たちの代は、同級生同士でのコミュニケーション能力がダントツだったとおっしゃっていました。僕たちのような集団は、今までになかったと。

この顧問の先生は20年ほど、バスケの指導されました。

その中で冗談でもなく、僕たちほどコミュニケーションがよかった集団はなかったと言うのです。

ぼくがここで感じたことは、自分がキャプテンとして過ごした概念をそのまま当てはめることなど、到底出来ないと言うことです。

ぼくがキャプテンとして苦労しなかったのは当たり前です。

だって「稀に見る」コミュニケーションがうまくいった集団なのだから。

それは僕たちが入ってきて半年くらい経ってからもう感じていたそうです。

先生は本当に僕らのことを見ていて、よく覚えていてくれました。

僕らの代は遠征に行くと、空いた時間はすぐに遊んでいました。笑

1年の時には他の学校の先生にしこたま叱られました。

なので騒がずに集団で遊ぶことを追求したりしていました。

こうして空いている時間をみんなで楽しく過ごそうとする集団は、そうたくさんいないと。

結果的にこうした時間がコミュニケーションを円滑にしてくれました。そしてこの顧問の先生は遊ぶことを禁止しませんでした。

これが悪い方向に働く集団もあるでしょう。

この顧問の先生は僕らの「人」をよく「観て」、判断してくれていたと思います。

なので僕らは惨敗した後も、腹を割って強い口調になりながらも言い合い、どうして欲しかった、じゃあ次はこうしたい、こうして行こうと言う話し合いができる間柄で、春の大会では県大会ベスト8でダブルスコアで惨敗しましたが、夏の大会ではブロック大会に進めましたし、こうした友人とバスケができたことが、一生の財産だと思います。

なのでコーチ自身の経験は、あくまでその人個人の経験やコーチになってからの学び、

悪く言ってしまうと偏見が入っていることを忘れてはいけません。

コーチ自身はもちろんのこと、保護者の方も選手の子もそれを頭の片隅に入れておきましょう。そのコーチの言うことが「全てではない」

だから選手も保護者の方も読解力が必要です。

そのコーチが言う『この方がいい』や『こうしなさい』が

『なんでいいのか』をしっかり聴きましょう。それがしっかりと説明されなかったり、理由になってなかったりします。


例えを一つあげます。

僕のシュートフォームは中学時代からフォロースルーがない、打った後に手を下ろします。これは中学時代に顧問の先生に教わりました。

このフォロースルーを残さない理由は、僕はその方が肩が適度に脱力できるからです。力まずに打てるから。

これを高校に入るとフォロースルーを残せと言われましたが、納得いく理由は説明されませんでした。

はじいてる、安定しない、焦って投げてる

と言ったことを言われましたが、トップレベルの選手も毎回フォロースルーをしっかり残していません。そこに本質はないと感じていたため、直しませんでした。

その後、直さないフォームのまま試合でシュートも入ったのでこのフォームを認めてもらい、フォロースルーを残せとは言われなくなりました。

はじくシュートが悪いわけではありません。それで距離感と方向が安定するなら、私はいいと思います。カリーなんかはその典型ではないかと思います。リズムに乗るとカリーはシュートを軽く打ちます。でバンバン入れます。

僕はフォロースルーを残そうと考えていると、それだけで肩が力みます。その方がシュートが安定しなくなるので、フォロースルーを残さない方がいいと思いました。

こんな感じで自分の中に言われたことを落とし込んで、検討することが大事です。

ただ高校時代にはディフェンスの基本姿勢や速攻の考え方など学びました。納得したことはすぐに取り入れる。

それは何で?(Why?)→なぜなら(Because)がしっかり関連づいた答えになっているか考えながら答えを聞いてみましょう。

そのコーチの言うことに全て従おうとすると、指導を受けてる時間が辛くなったりもすると思うので、この読解力がつくと、より楽に、楽しくバスケットの指導を受けられると思います。



最後に指導する側になってのキャプテンです。

先ほども書きましたが、指導する側になった時に、自分が所属していた集団の概念を持ち運ぶなど、できるはずがありません。論外の考え方です。

代が変われば集団の特性も変わる。指導者が変わるだけでも変わる。

自分が現役の時に経験しているはずです。でも指導するとなると忘れる。


結局一人一人と向き合うことしかないのです。

僕がとった具体的策としては、一人がキャプテンになる代と、全員で日毎にキャプテン、リーダーを変えるという2つです。

一人がキャプテンの時は集団の仲がいい、協力的なメンバーが集団の6割から7割以上です。

集団があまり協力的でない時は、一人一人にリーダーの役割を経験させて、当事者意識を持ってもらうことをさせました。

当事者意識を持つと、協力的になります。集団は協力しないと、動かすのが大変だと経験するからであり、自分が協力的でないと、相手にも協力してもらえないと学ぶのです。

たった1年半のミニバス指導でしたが、両極端の集団を同じチームで経験しました。

協力的でないチームの方も、3ヶ月で30点ほど上位のチームと点差を縮めました。ぼろ負けしたチームに、勝つんじゃないかとなるまで上手になりました。


また、試合に同席していて思ったことは、チームリーダーに長々説教している指導者のなんと多いこと。

嫌われても言い切ります。お互いに時間の無駄です。

特に貴重な子供の成長時間の無駄です。


そんなことするくらいなら、さっさと帰って、試合のビデオを見て、何が自分の理想としているプレーと違うか、何に差があって負けたのか、今後の目標として何を伸ばし、何を克服するか決めた方がいい。


それを子供達ととことん話あうと、子供成長スピードには驚かされます。脱帽です。

この瞬間が指導者にとって本当に楽しい瞬間であるのは間違いありません。

ただ、これはパターン化できません。子供は人それぞれ違うからです。

一人一人を観る、これに尽きると思います。


選手、保護者の方はコーチの言動をしっかり観察しましょう。

選手もコーチを選んでいいのです。特に育成世代はチームが勝ち上がることよりも選手の成長が優先です。チームが勝ち上がるとより高いレベルで試合ができ、選手の成長につながります。

選手の成長よりも、チームの勝利を優先していたり、

選手の成長につながらない声かけ(馬鹿か、何やってんだ!)をする

そうした指導なのか


敗戦した後に、すぐに次はどうしていくかを指導者側が一方的に言わずにしっかり子供たちと一緒に考えてるのか


少し観察すると明確に見えてくるものなので、よく観察し見ましょう。



最後にまとめとして、指導者の方と保護者の方、選手の方にメッセージを書きます。

まず指導者の方にぼくがしていることを一つ伝えます。

私はバスケットボール指導をする時に、ビデオを撮ります。

理由は子供の反応と、集団の空気感を後で見直すためです。

ビデオを撮ると、自分の話し方が分かるし、

組んだ練習が、全くあってなくてやめた方がいいのか、

またはもう少し分解した方がいいのかがよくわかりますし、コミュニケーションの取り方を変えた方がいいかもよくわかります。

自分が選手の立場に立った時にこの練習で本当にいいのか?

をよく理解できるようになると思います。私もまだまだですが、参考にしていただければと思います。


そして部活やチームの選手たちに。

僕は選抜チームに選んでいただいていたので、中学生の頃から、コミュニティ、自分が所属できる集団は一つじゃないと言うことを肌で感じていました。

だから部活とかチーム所属だけが全てではない。チームのコーチの言っていることが本当に自分の成長につながるのか、信頼に値することなのか、早くから分析する、比較する機会を得ていました。

まずこうした他のコーチから指導を受ける機会を得ると、冷静に今の苦しい状況が、成長につながるのか、ただの理不尽なのか分析できるのではないでしょうか。

今のチームで苦しくて、でもここを乗り越えたら必ず成長した自分が待っていると、「自分の心のそこから」感じられない環境ならば、止めることも一つだと思います。

自分の心に従いましょう。


そしてバスケットだけが全てではありません。

たくさんの経験をして、色々なことにのめり込む、もう日が暮れたの?と言うような遊びをたくさんしましょう。

時間を忘れる経験をたくさんしているような子ほど、練習中の集中力は高いのではないかと感じています。

そして遊んでいる仲間との時間の共有が、大人になる前に大事だと思います。


これを読んでくださる保護者の方

子供に大きい目標を「持たせる」ことを焦らないでください。

成長が早い子は、そのスポーツに熱中することができます。

保護者の焦りはその熱中する能力を奪うと私は考えます。

動体視力がよく、自分の体の感覚(自分の体の部位が今どこにあるか感じられ、コントロールできる)が優れているかどうかも関係しますが、それは少しずつ指導できます。

指導者が感じさせるように練習を組めばいいのです。


しかし熱中して、アドバイスを貪欲に受けるようになるかどうかは、指導者としては待つ、または介入していくこともできますが、非常に時間がかかるし、集団指導に属している場合はそこに時間を裂けません。

練習の前後や代が変わる時に、個人面談するくらいしかできないでしょう。

子供が熱中しているなら、何も言わずに見守っていてあげてください。

勝つ負けるに一喜一憂せずに、子供がうまくいかなくて悩んでいるなら、自分を分析することを手伝ってあげてください。

そしてたまには、鬼ごっことか、ボードゲームとか、普通の子供たちがやる遊びをさせてあげてください。競技から離れ、ストレスを0にする時間は、大人だけではなく子供にも必要です。

焦らないでください。子供をあなたが一番信じていると思います。それを体現してくだい。あなたの子供です。大丈夫です。焦る必要などありません。


最後まで読んでいただいてありがとうございました。

僕の経験が何かのヒントになるならば、これほど嬉しいことはありません。

子供の未来が明るいことを願う者同士、これからも暖かく、子供を見守っていきましょう。






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