認知症介護のスキマ時間 「おせっかいだったかもしれない。何かを感じとった夏の昼間」
8月19日の昼間、僕は前日の昼から駅前のパーキングに停めていた愛車を無事回収し、ガソリンを入れ、市の図書館に向かっていた。
基本的に僕は地元ではパーキングは利用しないタイプだ。
18日は女王様と福岡市に行き、ホークスの試合に行くことが決まっていたのだが、基本的に福岡市に行くときは駅までバスまたは親友の車で行くことが多い。
ただ今回は親友が東京に旅行中、そして朝一番で祖母を脳神経外科に連れて行かなければならず、デイに送った時には乗る予定だった電車の時間が迫っていたので、渋々駅前のパーキングを利用することにしたのだ。
今回球場ではお酒を飲む予定ではなかったのだが、この日の試合はホークスの歴史に残るレベルのすごい試合、テンションが上がった僕はパーキングに車を停めたことを忘れ、ついビールを飲んでしまった。
ビールを飲んでしまったことで父には迷惑をかけ、駐車料金のことを考えると、飲まなかった方が良かった、と後悔したが、結果的には飲んで正解だったかもしれない。
話は19日に戻る。
図書館に向かうため、僕は市街方面に向かっていたのだが、某ホームセンターの前を通過する時、僕はあるものを目撃した。
交通量が多い道の歩道のど真ん中でなぜか高齢女性がうんこ座り(正式名称がわからない)をしており、こちら側の方向を向いている。
以前なら「この婆さん何をしているんだろう?危ないな。」と思うだけで通りすぎていたかもしれない。でも今の僕は見過ごすことができなかった。
「あれ、もしかして、このおばあちゃん認知症…?」
断定はできないが、その姿はまさに祖母が徘徊して疲れた時の姿に似ている。
運よく僕の番で信号が赤になったので、左ウィンカーを出し、青信号に変わった後ホームセンターのパーキングに車を停めた。
正直なところ、僕は一瞬声をかけるのをためらった。
でも交通量が多い道路では誰も声をかけるような様子はない。
これまで祖母が徘徊した時に地域の人が助けてくれたように、今度は当事者として僕が助けないといけないと思った。
高齢女性に声をかけると、笑顔で一言「連れを待ってるの。」と反応があった。
その後会話の中で僕は、その女性がその場所で20分待っていること、携帯電話を所持していないことが分かった。
歩道の真ん中で居座られ続けたら歩行者や自転車が来た際に迷惑がかかるので、僕がその連れの方に電話し、歩道ではなくクーラーが効いているホームセンターで待ち合わせることを提案したが、電話番号を知らないと言われて断念するしかなかった。
さらに真夏の昼間というのに、祖母ばりに厚めの長袖の上着を着ている。
「暑いから、飲み物買ってこよういね。お水がいい?お茶がいい?」と提案するも、水分を取るとトイレに行きたくなるから、と断られてしまった。
図書館に行く予定があったが、このまま一緒に連れの人を待つことも考えた。
しかし高齢女性が言っていることが本当かわからないし、またこのまま一緒にいると高齢女性にストレスがかかってしまうも考えてしまう。
そこで僕は「さようなら、すぐ迎えが来るといいね。」と別れの挨拶をした後、ホームセンターに向かい、外の園芸コーナーの担当者に事情を伝えることにした。
女性が座っているところを遠くから一緒に確認して、迷惑を承知で数分おきに様子を確認してほしい、と伝えた後僕は現場を離れた。
今回の僕の一連の行動は正直単なるおせっかいだったかもしれない。
おせっかいだったかも?と未だに思うが、僕は認知症介護当事者としてやることはしたと思う。
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