「とにかくオンライン化」の次に、採用担当者はなにを考えるべきなのか?
Thinkingsグループのイグナイトアイでは、採用担当のみなさまに向けた無料セミナーを実施しています。今回は、2020年4月20日に実施したセミナーについて一部抜粋し各アジェンダのポイントを共有いたします。
【テーマ】
「とにかくオンライン化」の次に、採用担当者はなにを考えるべきなのか?
【パネラー】
増渕 知行:20年以上採用市場に関わる、JUMP株式会社代表取締役。
森田 徹:マーケティング&セールス部門統括、当社取締役。
22卒採用検討状況(参加者アンケート)
まずはじめに、参加者のみなさまにアンケートを実施しました。
質問:22卒採用に関しての変更を検討しているもので、当てはまるものを選んでください。(複数選択可)
↓ 回答結果は画像の通りです
参加者の多くの方が変更を検討している上位3つの内容は以下でした。
(回答数:約90名)
1)採用手法を見直す:54%
2)採用スケジュールを後ろ倒しにする:28%
3)採用する人材を見直す:26%
社会環境が変化している今このタイミングで、採用する人材を見直す企業も増えてきているのが現状です。
採用のオンライン化は一過性か?
増渕さんは、今回の新型コロナウィルスの影響から、採用マーケットの今後の変化を予測する記事を先日公開されました。第一部では、その内容も踏まえ、より詳細に「とにかくオンライン化」の次に採用担当者がなにを考えるべきかについて、お話しして頂きました。
増渕:今回の採用オンライン化が加速するターニングポイントとなったのは、リクナビの合同企業説明会の中止決定(2月20日)から。多くの企業が自社で出来る対処を迫られました。
ただし過去をさかのぼると、リーマンショック時には厳選採用のトレンドが進み、「脱ナビ採用」と「チャネルの多様化」が起こりその後定着しました。今回のオンライン化も、一次的な対処に留まらず不可逆的な変化だと考えています。
変わらない採用の本質とは
増渕:不可逆的な変化はあるものの、オンライン化しても変わらない採用の本質があります。まず採用コミュニケーションは「情報提供」と「情報収集」の組み合わせということです。その方法がオンライン化して変わることになりますが、コミュニケーションの本質は変わりません。
増渕:また、もう一つ変わらない本質は、企業と求職者の両者に選択肢は複数あり、企業と求職者は「条件」と「共感」で相対比較しているということ。
例えば、企業と求職者がそれぞれ見ている「条件」(青色)と「共感」(オレンジ色)例は下記図の通りです。
↓ 企業が見ている「条件」と「共感」
↓ 求職者が見ている「条件」と「共感」
採用のオンライン化で変わるものは?
増渕:オンライン化によって変わるものは、採用マーケットにおける力関係ではないかと考えます。まず最初から第一志望ではない企業が、志望度の「逆転現象」を起こしにくくなると考えます。
新卒採用では特に、求職者は企業選定に「社風」や社員の「人柄」などを重視します。選考のプロセスでそういった要素で勝負していた企業は、オンライン化でこれまで通りの訴求は難しくなり、工夫が必要になります。
新型コロナウィルスの影響で採用をストップする企業も増える中、採用倍率は下がると予測されますが、逆転現象を起こしてどの企業からも求められるような引く手あまたな求職者に"選ばれるため"には、引き続き企業側の工夫が必要です。
企業側が出来ること
増渕:企業が求職者に選ばれるために出来ることは3つです。
1)条件面の強化
2)共感形成の工夫
3)(そもそも初期から志望度を上げるために)企業ブランドを高める
増渕:加えて、想定しておくべき採用市場のテクノロジーの「進化」が2つあります。
1)「クチコミサイト」がデジタルマッチングのインフラとなること
「クチコミサイト」により、社風などふわっとした要素のデジタル化や、企業と求職者の適合度をデジタルでマッチングする方向性も進むと考えます。
2)「ピープルアナリティクス」の進化
『自社にはどんな人が合うのか?』という情報がデジタル化されたり、既存の活躍人材情報のデジタル化などが進むことで、面接の重要度が相対的に下がるようなことも起こる可能性があります。
増渕:また、社会環境の大きな変化に伴い事業環境が変化することで、事業戦略を見直すことになるでしょう。それに伴い、理想の組織の見直しが起こった場合には、採用のありかたそのものを見直す必要が出てくるはずです。
【第一部まとめ】今こそ採用担当者が考えるべきこと
増渕:今こそ採用担当者が考えるべきことは、以下の3つです。
1)採用ポートフォリオの再定義
事業の変化にあわせて採用目標を再設定すること。これまでのハイパフォーマーだけでなくこれまでの自社にはいない異能な人材も意図的に採用する必要があると考えます。
2)企業ブランド、条件面強化の可能性模索
変えにくいけど変えられる可能性のあるものについて検討すること。ただし採用担当者だけでは決められないことも多いため、経営陣と議論が必要です。アジェンダとして問題提起することは、このタイミングだからこそ出来る事かもしれません。
3)オンラインならではの共感形成コンテンツ
とりあえずオンラインに置き換えるのではなく、オンラインだからこそできる共感形成のコンテンツを模索し、魅力付けを行うことです。ライブ感とオウンドメディア運用の重要度は更に高まると考えますが、更に現場社員がどれだけ主体的に関わってくれるかが重要になります。
セミナー内では、これらを実践している具体的な企業事例などもご紹介しました。
増渕:また、具体的な実践方法については汎用的なフレームワークがありますが、自社がそもそも何をすべきかは個社ごとに異なります。今は無料のざっくばらんなオンラインカウンセリングも対応しているため、ぜひお問合せください。
オンライン採用の動き
第二部では当社マーケティング&セールス部門統括の森田から、「これからの採用市場を見据えたHRテック活用」というテーマでお話しました。
採用管理システムSONAR ATSは、現在採用のプラットフォームを目指し多数のHRサービスと連携を進めています。680社以上の導入実績から、ユーザー動向も含めた具体的なお話をいたしました。
森田:オンライン採用は2020卒採用から拡大傾向にありましたが、新型コロナウィルスの影響で一般化しつつあります。特に、会社説明会は「録画配信型」から「ライブ配信型」に寄り戻しが起きている印象があり、適性検査、面接のオンライン化も一般化してきています。
↓ 新型コロナウィルスの影響以前の状態
↓ 新型コロナウィルスの影響以降の状態
森田:ユーザー企業のみなさまに関しては、SONAR ATSと連携する採用に特化したオンライン面接ツール導入企業はこの3カ月で11%→20%へ倍増しました。また、ほぼ100%近いユーザー企業のみなさまがオンラインツールを利用して面接を実施しています。
まだ検討中のみなさまも、当社でまとめた「オンライン面接ツールまとめ」も参考にご活用ください。
オンライン採用がもたらすもの
森田:一つ目は、テクノロジーの利用により情報が”蓄積”されるようになってきています。(応募者の「属性情報」、エントリーシート/適性検査結果などの「選考情報」、選考結果/面接評価などの「評価情報」など)
そして二つ目は、ブラックボックスだった選考(特に面接)が可視化され"活用"可能になってきていることです。
森田:実際に面接官が何を伝えたか、応募者が何を言ったかが正確に分かるようになることで、①「フォローの質を向上」させることができます。
そして、それらをシェア出来るようになることで、面接官の育成にもつながり②「面接の質の向上」に繋げられます。
さらに、どのようなコミュニケーションに対して応募者の反応が良かったか確認できるようになり、これまで気付かなかった③「自社の魅力の再発見」が出来ます。
オンライン採用のその先へ
森田:これから経営戦略・人材戦略の見直しが進んでいく中で、どのような人どのように採用し、どう育成するかまでも含めて再定義するタイミングになってきています。
これまでのように、ハイパフォーマーモデルに基づいて画一的な人を採用するよりも、いくつかのタイプの人を、それぞれに合わせたポートフォリオで採用していく必要があると考えます。
そして採用を実行するフェーズでは、それぞれに合わせたフロー設計やリソースの配分を考えることが必要になってきます。
テクノロジーの活用による応募者体験の向上
ポートフォリオ採用では、テクノロジーを活用することで可視化して手間を増やさず最適に実行しながら、応募者体験を向上することが可能になります。
森田:テクノロジーの活用により、ポートフォリオごとに最適なフロー設計を行ったり、適性検査の結果や属性などのデータを用いて応募者と面接官のマッチングを行うことなどによって、応募者体験を向上することにもつながります。
森田:また、応募者の属性やパーソナリティタイプ、面接で取得した情報などを、テクノロジーを活用して発見・収集することにより、応募者に合わせた最適な情報を最適なタイミングで渡すことが出来るようになり、企業理解をより促すことも出来るようになります。
【第二部まとめ】HRテック活用を含め、今出来ること
森田:改めて、これから自社の採用を見直す際には、ロジック設計に時間とコストを投資し、オペレーション実行フェーズは、テクノロジーを活用して効果を最大化するためのアクションが大事です。
まずは自社の採用情報を蓄積することが今出来ることだと考えます。
Q&A
当日の質疑応答の内容を一部ご紹介します!
Q:社風や人柄をオンラインにて伝える良い方法があれば、教えていただきたいです。
増渕:画面共有機能をうまく使うことでしょうね。SNSの投稿写真をパッと見せたりするのはオススメです。
森田:イグナイトアイでもnoteなどで社内情報をタイムリーに掲載していますが、文章も意外と読んでくれています。
増渕:オンラインではさくっとコミュニケーションしやすいので、接触回数を重ねて理解を深めてもらうことも大事です。
Q:WEB説明会後の面接をストップしています。説明会後、1ヶ月以上間が空いてしまいますが、学生にどんなアクションをしたら面接に来てもらえるか知りたいです。
増渕:シンプルな解ですが、オンライン面接の導入だと思います。
森田:出来る環境が無い場合は、いつはじまるか確定していないとしても、必ず「いつ確定する」という情報提供をする、もしくはその時に決まらなくても必ず状況を連絡するなど、情報提供が大事だと考えます。
Q:企業ブランドの向上、条件面の強化は中小企業にとってはなかなかハードルが高いのですが、効果的な条件面の強化とは具体的にどのようなものになりますか?
増渕:中小企業が勝てるのは、給与など高い低いなどの軸で測れるものではなく、自由度の高さだと思っています。優秀な方には、働き方など選択肢を渡せることが理想です。
森田:加えて、従業員の満足度を公開することが大事だと思います。良い制度があっても活用していなかったりするので、社員がちゃんと活用して満足度が高いかが大事だと感じます。
その他、当日は以下のようなご質問に回答し、当日回答しきれなかったご質問には後日回答を送付いたしました。
Q:内定者向けのオンラインワークショップの成功事例があれば教えていただきたいです。
Q:いますぐにできる「共感形成コンテンツ」などは、何かありますでしょうか?
Q:Web面接後、コロナが落ち着くまで内定を出せない状況です。オンラインでできるフォローや繋ぎ止め方法があれば、教えていただきたいです。
最後に
増渕・森田:
答えのない時代に、私たちは解を提供するというより、
情報共有しながら皆様と一緒に考えていきたいと思っています。
解が見つからない時代だからこそ、考え、企画する力が大事です。
また、自分たちに向き合ってみることも大事です。将来の自社の仮説や、"らしさ"について改めて考える時間に費やすのもおすすめです。
一緒に考えましょう!
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レポート・広報PR担当Minako
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