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GEN-1を使って架空のCMを作ってみた

Think & Craft 映像ディレクターの曽根です。普段はTVCMの監督やテクノロジーを使った施策の企画などをしています。

GEN-1とはRunway社が公開している映像生成AIで、元の映像に任意の画像やプロンプトを適用することで新しい動画を生成できる技術のことです。

業務でも活用の余地がありそう!何より楽しそう!
ということでR&Dの一環として色々触ってみることにしました。
せっかくなので生成動画だけで仮想CMを作ってみることにします。


とりあえず触ってみる

実際の業務で未来っぽい会議室フッテージを探していたのですが、イメージしたカメラワークがなく困っていました。
そこでGEN-1を使って思い通りのシチュエーションを作ってみます。

わたしが思い描いていたカメラワークはこんな感じ。
キッチンが汚くてすみません、、思いついた直後にiPhoneで撮影した結果です。それぐらい適当に撮影した素材と、未来の会議室っぽいイメージ画像を合成します。

すると、

サイバーな会議室が僕のカメラワークで再現されました。
よく見るとコンロがデスクになっていたり冷蔵庫がモニターになっていたりします。
これはおもしろいぞ。。

架空クライアントを設定する

さっそくCMを作っていきます。
架空のクライアントは「ガソリンスタンド会社のYAMADA」にしました。
特定のプロダクトを登場させずに、いろんなシチュエーションを使った広告ができそうだと思ったからです。
ざっくりこんなコンテを書いてみました。

こんな適当なコンテ見たことありませんが一旦良しとします。
このコンテを元にGEN-1で必要な動画を作っていきましょう。

絵コンテに沿って映像を生成する

1コマ目は車が走り抜けるカットです。
手元にあったマウスを車に見立てて、カメラワークを作ってみます。

こんなので車になるのか、、?
前方やや上空から走行中の車体後ろに回り込むようなカメラワークです。
ちなみにこれを実際に撮影するとなると、車の用意、場所の選定、空撮もしくはクレーンの許可・費用、道路交通法などなど、いろんな障害があってとても苦労します。

車のイメージ素材は権利的にこちらには載せませんが、車の写真を合成しました。
出来上がったのがこちら。

かなり元のマウスの要素が残ってしまいましたが、沿道に草が生えていたり、頑張った感じが滲み出ています。何より僕のイメージするカメラアングル、ライティングの雰囲気、場所の設定、尺感などは再現できています。

続いて2コマ目、街の道路を撮影してみます。
ノってきたので色々組み合わせてみます。

会社のテーブルに延長コードで道路を作り、空き箱でビルを作って、コーヒーミルクの車を配置しました。

車が茂みになってしまいましたが、かなり再現度高く表現できました。
このような街中での空撮はとてもハードルが高く、ハリウッド映画並みの規模でしか再現できない、とてもリッチな映像と言えます。
完成度が高いので、別のアングルで夜の街を再現してみます。

こちらもかなりうまくいきました。LAあたりの夜の街が再現され、ちゃんとミルクも車になっています。

他のカットもこんな感じで出力していきます。
いずれも社内で撮影した素材を元にしています。

4コマ目、奇妙な表情でドライブしているのはわたしです。車内からの画像を合成したのですが、これはうまくいきませんでした。晴れてる感じだけは表現できています。

5コマ目はオフィスのプリンタの前で車を降りる演技をしているわたしです。キャンプ場の画像を合成したのですが、天井が空にならずにテントになってしまいました。デスクがたくさん並んでいたので、車が渋滞しているような映像になっています。

全ての素材をつなげる

映像素材をつなげる前に、ナレーションをChatGPTに書いてもらうことにします。
こんなプロンプトで書いています。

一旦こちらを少し短くして人工音声に読み上げてもらいます。
音楽もAIで生成できると良かったのですが、今回は時間優先でフリー音源を使用しています。

これで全ての素材が揃いました。
Premiereで繋ぎ合わせてみます。

おお、、CMっぽい。
広告としての機能や映像のクオリティなど、つっこみどころは多々あるものの、身の回りで適当に撮影した素材でロードムービーのようなCMを作れるのは単純にすごいです。
他にもあんなことできるかも?と、触ってみて新しく発想できたのもよかったです。

まとめ

今回は架空CMを作ってみましたが、これはVコンとして使えるな、と思いました。

Vコンとは、CM制作における資料の一つで、ビデオ(Video)コンテと呼ばれる”動くコンテ”のことです。Vコンがあることで、スタッフやクライアントに監督の考えている世界観を共有することができるので、撮影に向けての準備がスムーズになりますし、監督の頭の整理という意味でもすごく重要な資料です。

実作業でVコンを作る際にGEN-1を使用して、よりイメージに近い動画を効率的に出力することで、最終的なアウトプットのクオリティを上げることができそうです。それくらいの使用であれば、これからの動画制作でも取り入れやすいのではないでしょうか。
これはTVCMに限った話ではなく、ミュージックビデオや映画、アニメの現場でも応用できると思います。

今回色々と触ってみて新しく発想できることもたくさんあったので、これからも映像生成AIを上手に遊びながら実務として使っていければと思います。Think & Craft では今後もこのようにR&Dを続けていきます。




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