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バンコクで財布をスられた私がわらしべ長者になった不思議な話

憧れの旅人の聖地・バンコク

バンコクって旅好きにとってすごく居心地が良いんです。刺激たっぷりの美味しいタイ料理屋、日本ではお高い南国フルーツもゴロゴロあって、歩き疲れた時にはコンビニ感覚でマッサージ屋へ。

日本が恋しくなったら日本食料理屋だってあるし、マーケットがその辺にバンバンあって買い物だって楽しい。思わず女子がプルメリアの花を頭に付けたくなっちゃいますよね。

私だってひとりで海外旅行に行ってる自分に酔ってたし、ずっと来てみたかったバンコクの地を踏みしめてたことに感動し過ぎて、土の写真まで撮ってましたから。

そんな浮足立って油断していた女の盗難トラブル話始めます。いや、実際数センチくらい浮いてたかも👣

タイ最大のマーケットで路頭に迷った一人旅浮かれ女

タイと言ったらマーケット、マーケットと言ったらタイ。それくらいオリジナルの方程式が出来上がっていた私は、15000店以上のお店がひしめき合う国内最大のウィークエンドマーケットへと向かっていました。

(Youtube:ナンプラーお兄さんの冒険より)

ここが何とまあ広いなんてもんじゃありません。東京ドーム2個分くらいの敷地にマッサージ店からタイ料理の屋台、お土産屋、花屋、服屋などビッッシリ詰まってます。

「あ、この店結構良いけど、もっと他の店も見てから決めよう☆」とかいうショッピングスタイルだと二度と同じ店に戻って来れません。もしあなたが悪い組織に追われていたら、このマーケットの中なら逃げ切れるかもしれません。それくらい観光客を惑わせるマンモスマーケットです。

さて、そんな迷宮に足を踏み入れてしまった私…

あ…無い。1時間で一文無しになった日

初めてチャットチャックマーケットに遊びに来た4月の某日、今でも忘れませんその瞬間。早速色鮮やかな服やお土産に目を奪われてしまいました。

このタイの服、日本じゃ絶対みつからないデザインで可愛いなぁ、あの店の手書きのポストカードも買って帰りたい、へー!あっちの店にあるやつ、見た目果物そっくりだけど石鹸なんだ。オっシャレー!

なんつってね。目移りしちゃうとはこういうことですよ。しかも初めての東南アジア一人旅、張り切って持ってきたデジカメで30秒に1回はシャッター押してました。

地図も見ずに気になった店を片っ端から見て回り、気の向くままにマーケットを歩き回る。「あーひとり旅って最高…」と幸せを噛みしめつつズンズン進むと、あるぶどうジュース屋が目に留まりました。

この日の天気は結構暑い。お昼にはまだ早いから…ぶどうジュースでも飲んで休憩にするか。

そして斜めがけにしていたウエストバッグの横ファスナーに手をかけた。

あれ…空いてる…?

あれ…奥に入れておいた財布が…ねえええぇええ!( д)゜゜

確かに今日マーケットに来るまでは見覚えがあった、名刺サイズの小さな財布。まだ一度も買い物をしてないので、他に心当たりはありません。

来た道を戻るか?こんな全方向に店があるマーケットの細い道、どこをどう歩いて来たのかも覚えていません。戻ったとしても見つかるのか?落ちていたら盗まれてる確率の方が高い。

カメラで写真を撮るのに夢中で気付きませんでした。こんな時ばっかり、中学の部活で脇が甘いって先生から言われたことを思い出します…斜めがけバックを体の前にかけて油断し、両脇が完全にカメラでふさがっていたのが悪かったのかなぁ。

もうぶどうジュースなんか飲んでられるか!盗まれた財布の中にはクレジットカードと現金500バーツが…あー分けておくべきだった。宿にお金は残してきたけど、宿に帰るお金が無い。こんなにたくさんの可愛いタイ雑貨が目の前に並んでるのに…一バーツもないなんて。ウインドウショッピングは楽しくないよ😢

もう一気に凹みました。海より深く落ち込み、近くのベンチに座り無になる。これからどうしたらいいんだろう…とりあえず、警察にいくか。

マーケットの真ん中にて…不思議なおじさん現る

今自分がマーケットのどこにいるかも不明だったので、お店の人に聞いて回りながらある場所までたどり着いた私。

マーケットの真ん中にある小さな建物の中に入ると、太陽の日差しがギラギラ照り付ける暑い外とは打って変わり、クーラーが聞いて涼しい風が心地よい。

あーココ涼しい~あ…でも私お金全部盗まれたんだった…」一文無しの事実を思い出してまた落ち込む。

そして奥の部屋から現れたのは、スーツを着て眼鏡をかけたタイ人のおじさん。タイ語と英語が話せます。事情を説明し、日本のクレジットカード会社に連絡するため電話を借りました。

5分後、とりあえずカードは止めた。やれやれ…。すると私の様子を観察していたおじさんがペラペラ話しかけてきました。どうやら今いる場所は警察じゃなくて、ここは観光客案内所らしい。そしておじさんはタイ航空の人で、語学を活かしてボランティアとして空いてる時間に勤務しているらしい、ということが判明。

へー…何でもいいけど、私金盗まれて落ち込んでるんだってば。宿に帰るにもバス代無いし、歩いて帰るには遠すぎるし、お金無いから買い物出来ないし、外は暑いし、友達もいないし(悲)…しばらくココにいてもいいですか?ということでクーラーの効いた部屋で涼ませてもらうことに。

1時間くらい落ち込んだでしょうか、ふと入口に目が行きました。15人くらいの観光客が道を聞いたり、私と同じように盗難に合ったと怒鳴り込んで来たり、タイ語の通訳頼んで来たり…てんやわんや。一生懸命対応していたのはおじさん一人。

「私もやります✋」

財布が無くなり、今日の予定が全部消えた私。お金が無いから明日からの予定もどうなるか分からないけど…時間はある!ということで、マーケットの簡単な観光案内(地図上)と出入り口の道案内を勝手に始めた私。

道を聞きたい人はこっち、紛失・盗難の人はあっちにどうぞ!後から後から来る観光客を右へ左へ誘導し…12時頃に始めて14時には観光客も落ち着いてきたところで、おじさんが屋台でお昼ご飯を買ってきてくれました。

何だ、ただの良い人か…おじさんがブッダのように神々しく光り輝いていました(気がする) これが後に人生で一番心に染みたガパオです。

こんなことホントにあるの?地獄から救われた1本の電話

お腹が満たされ落ち込んでいた少し気分も落ち着いてきました。おじさんの他にも優しいタイ人のお姉さんも出勤し、暇なのでみんなで折り鶴を折りながら過ごす昼下がり…とても財布を盗まれた日とは思えませんね。

「他に何かできることはありますか?」

お昼ご飯やら、水やらマンゴーまで買ってくれたおじさんにお礼をしたくなり、まだ出来ることがあるか聞いてみました。そしておもむろに奥の部屋から戻ってきた手の中には…見覚えが。

え…日本のパスポート!?

どうやら、日本の観光客がチャットチャックマーケットに訪れてパスポートを落としてしまったようです。心の優しい人が拾って案内所まで届けてくれたのですが、おじさん達は日本語が話せないからどうしようか困っていたらしい。

安心してください、日本人がココにいますよ!

パスポートの裏面には日本の電話番号と名前がちゃーんと書いてあり、案内所の電話から国際電話をかけてみることに。

プルルルル…

「はい…」

「あっ!あの、すいません。ワタクシ、怪しいものではございません。」

怪しさしかない。第一声でさらに相手に思わぬ不安を与えてしまいました。電話口に出たのは、パスポート所有者のお母さん。ひじょーーに怪しまれましたが…バンコクでパスポートを拾ったこと、誰かが届けてくれたこと、案内所まで来てくれればすぐに手渡せることなどを説明したら、喜んで本人に伝えてくれるということに。

でも本人が大使館に再申請の手続きしてるということもあり得ます。電話を切って30分程経った頃、入口に日本人っぽい女性がやってきました。

女「あの…パスポートがあったと聞いたんですが…」

「はい、こちらです!良かったですね!!」

私が拾ったわけではないですが、めっちゃドヤ顔で渡しました。超喜ばれましたよ。めでたいことなので、おじさんも一緒にみんなで円陣組んで喜びの舞。

この方、学生で友達と一緒にバンコクに旅行に来たはいいものの、パスポートを無くしたので日本に帰れず滞在を延長大使館に再申請するために一人残ったのは良いものの、土日で大使館は開いてないので仕方なくまたマーケットに戻って、探していたそうです。

そこに私が親御さんに電話をかけ、Lineで本人に伝えてもらったのでした。全てタイミングが良く、みんなハッピーに!あ、私は財布盗まれたままだった…😢

女「ありがとうございます!!何かお礼をしたいのですが!!何か欲しいものなどあれば何でもおっしゃってください!!!」

「あの…お金ください。」

同情するなら金をくれ、を地でいきました。いやだって、今欲しいものは宿まで帰るバス代かタクシー代です。それ以外思い付かず、2秒で即答しました。そして財布が盗まれたことも説明しました。

女「もちろん良いですよ!!最終日にパスポート無くしちゃって、タイバーツも余ってるので!!再申請する手間を考えたら全然良いです!!母からもよくお礼しておくようにと言われてます!」

そう言うと財布を取り出した女性。中に入ってるお札のお金をガッと掴んで私の手の上に。その額なんと…

ごごご、5000バーツ!?( д)゜゜

2023年日本円に換算して2万円くらいです。盗まれた財布に入ってた額(2000円くらい)よりありますけど…。もらっていいのコレ?

想像以上の額に一瞬ひるみ、「こんなにもらえません」「いやいや、どうぞ」「いやいや、ダメですよ」「いやいや」とバンコクまで来て新橋の飲み屋のレジ前みたいなやり取りをする日本人二人。おじさんたちが不思議そうな顔で見ています。

結局もらっちゃいました。この女性は今日の飛行機を速攻で予約して帰国するとのこと。私も宿まで無事帰れることになり歓喜。再度、みんなで円陣を組んで解散になりました。(謎)

とりあえず、ちょっと良いマンゴースムージーを買いにいこう。

タイでこんな1日になるなんて、予想も予定もしてませんでした。今でも忘れられない不思議な体験です。

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