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副反応が案外きつかった話

二回目のワクチン接種を済ませた。ファイザーのだ。

国民の6割が二回目の接種を終えたそうだけれど、正直、私はご年配の方なんかに「あら、まだ打ってなかったの?」的なことを数回言われている。

これ、結構腹立たしかった。

割かし多くの日本人が、仕事の都合上だったり年齢の都合上、ワクチン接種に思いのほか時間がかかったんじゃあないかと思うのだ。私だって自治体の予約枠に合わせた結果、仕事のスケジュールとのすり合わせがこのタイミングにしか当てはめられなかったのだ。

なのに「まだ打っていない」扱いを、最優先枠だったご年配の方から受けることは気分が悪かった。…まあ、愚痴はさておき。

うちの夫や従兄はまったく副反応の出ないタイプの人たちで、とはいえ私は「なんとなく自分は副反応が出そう」という、動物のカン的なものを抱いていたので覚悟はしていた。しかし一度目は腕の痛みだけで済んだのもあって、正直、だいぶ油断してしまっていたのだ。

二回目の接種の翌朝にあたる時間帯—3時とか4時頃だ。なんとなく目が覚めて、自分の体に関節痛の様な痛みを感じた。そこまで強い痛みでは無いものの、どちらかというと「違和感」に近いそれが気になってしまって、二度寝に就けなくなってしまったのだ。

熱を測ってみても上がっていない。だからこそ、脳が睡眠という形でのシャットダウンをしようとしてくれない。

そのままぐずぐずとして、6時に帰ってくる夫を出迎えた後にやっと寝られた—その後、午後8時半頃に起床して午後1時頃までは、多少だるいけれど全然活動できる!という塩梅だった。だからすっかり安心しきっていたのだ。

午後1時を過ぎた頃、急激に頭が痛くなり、倦怠感のレベルががくんと上がった。ああもうこれは寝転がるしかない、と諦めるほか無かった。

ベッドの上でごろごろしていると、妙に心が不安になる。「副反応」というものの恐ろしさを目の当たりにしてしまったのだ。パーセンテージだけ追っていると、世の中、副反応の無い人の方が多そうな雰囲気だ。けれども着実に、自分の体は重く、だるくなってゆく。

熱が上がらないことが逆に災いした—というか、夫に「具合が悪い」と伝えても、まして副反応ゼロ体質の彼だったので余計に、いまいち実感が伴わないらしかった。これで体温計が高熱を示してくれていた方が、目に見える分ちゃんと「伝わった」んじゃあなかろうか。

なんだかむしょうに寂しい様な心地に苛まれた頃、やっと体がスリープモードに入った。二、三時間くらい寝ただろうか。起きてみると、動けはするものの、今度は軽めの胃痛と「なんとなく気持ち悪い」程度の吐き気が付き纏った。頭痛は緩和されたものの、注射をした腕は、一回目とは比べ物にならないほど痛んでいる。なんだこれ—正直、反ワクチンの人(の一部)の気持ちが一瞬、わからないでもない様な心地になった。効果があるとわかっていても、怖かった。ごく稀に起きるとされるワクチン接種のち—という「ごく稀」のことが、自分にも起きるんじゃあないかという不安が沸いてくるのだ、どうしても。

不安になりすぎだ、とわかっていても、どうしても不安になって「明日、私が死んだらごめんね」と、夫に告げた。「死にゃあしないよ、」と夫は言葉だけ返して中身については無視を決め込む。ああ、そういえばこの人は、家族や同級生が早すぎる死を迎えた経験も無いのだった、とふっと納得する。だからこそ、これを機に断捨離というか、要らないものはちゃんと処分しておいたり、エンディングノートとか用意しておくべきなのかも知れないなあ、と、私はそっと覚悟を決めたのだった。

考えすぎだとはわかっていた。けれどもやっぱり、接種の翌々日でも頭痛が続いていたり、まあイケるだろ、と思って庭で草抜きなんかをしていたら、普段じゃあありえない程の急激な疲労感に襲われて頭痛も激しくなったり、そういうのを実感してしまうと—否、夫にも「それって本当に副反応?」とは訊かれたし、単なる体調不良なのかも知れないけれど、それにしたってやっぱり不安になる。

自分の中で、あまりにも「生きている」ことが普通になりすぎていたのだと思い知らされたのだ、このワクチン接種によって。

だいぶ昔、何がきっかけだったかは忘れたけれど、SNS上の友達に「そんな刹那的な生き方はやめなよ!」と叱られたことがあった。当時は当時でなんやかんや反発した記憶があるけれど、今となっては「今この瞬間に生きていること自体がすげえんだから、この瞬間を大切にすることはけっして悪いことじゃあ無いんじゃない?」と返すくらいはできるかな、そう思う。

これからは叶うことならば、一日の終わりに「明日の朝に目覚めることができなかったとしてもまあ満足かな」と思える生き方をしたい、そんな風に思ってみたり—極端すぎ?

ワクチン…打てて良かったけれど、これ三回目以降がすごく怖い。こんなに具合悪くなるの、正直しんどいっす。だからどうかどうか、副反応が穏やかに済む方法も出てきます様に。

ちなみに。

十一月十四日にバンドの新譜が出ます。トレーラー動画を作ったので、良かったら聴いてみてくださいね!


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