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何度目の正直もあてにならない

会社の先輩に話しかけた、
先輩はカード認証でドアを開けるところで、
私の声に驚き、持っていた空のペットボトルを落とした。

「も〜脅かさないでよ」
「ドア閉まっちゃったじゃん〜」


それがスイッチだった。
本当に些細なことだった。

なんでもない日常風景なのに、だったのに。
この日のわたしの視界は一気にグレーがかって、
湧き上がる怒りと悲しみに焦って急いで退勤した。

(どうしよう、どうしよう)

心で大丈夫だよと呟こうとも、わたしに迫り来る真っ黒なそいつを遠ざけることができなかった。(まずい、真っ黒になってしまう)と、鏡越しに映るわたしに「今日も生きたね、がんばったね、えらい、大丈夫、大丈夫」と励まそうとも無駄で。
(冷静に変な人でうける①)

7月は久しぶりに元気で、真っ黒が深くなくて楽しかったのに、
(なんで?なんで?)とどんどん真っ黒に染まっていく。
どんどん涙が溢れて、悲しみが心を支配してくる。


満足するまで泣いて眠った。


翌日は体が軽かった。
目覚めもよくて、体の毒素が抜けたようだった。

やっぱり何をしてもどう足掻いても、真っ黒いやつはわたしの一部で
適切なタイミングでわたしの心を浄化していくんだろう。

真っ暗闇だと思っていたけど、明るい明日を継続して生きていけるように下準備をしてくれているんだと思ったな、今回で。
敵視していたけど本当はわたしのためにわたしが準備した浄化剤なのかも
(冷静に変な人でうける②)

受け入れるとか抗うとか、そんなんじゃなくて
それはもう、それも毎日の一部、日常のことなんだと思った。
変わらぬ周期で定期的にやってくる、ただの1日にすぎない。

はあ、あとどのくらい自分と向き合えば自分のことを知れるだろうか。


おわり

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