寛容で、多様性を認めることのできる文化を醸成するには? ~インクルーシブ教育システムの実現を軸に~

寛容な社会を醸成するには?ということで、以前記事を書いた。

そのポイントの1つは次のような内容であった。

1つ目のポイントは体験的に学ぶことである。幼少期から多様な文化、多様な価値観に触れることが重要である。幼少期から、障害者、人種、民族、宗教の人々と触れ合うことで醸成されていくものなのだ。そういった意味でも、インクルーシブ教育を実現することで、寛容な社会を醸成し、全ての人間が生きやすい社会を醸成するだろう。

日本も、構成する人民が多国籍化、多民族化していき、多様な価値観に幼少期から触れる環境になっていく可能性が高い。この点については、自然の流れに任せる他ないように感じる。

操作可能であるのは、インクルーシブ教育システムの構築である。政治、行政により、インクルーシブ教育システムを推進することが可能であるし、実際、推進されている。

しかし、そこには課題もある。インクルーシブ教育システムは、本来、障害があってもなくても学びの場を共有することを追求している。簡単に言うと、通常学級で様々な障害種の子供たちが学習している状態である。でも、実際のところ日本においては、子供の実態に応じた多様な学びの場を選択できるようにしている。一見すると良さそうに見えるのだが、インクルージョン本来の理念からすると、手放しに喜べない状況になっている。

私が理想的と考えるのは、通常学級でも、障害種に応じた知識と技能を有した教員が配置される状況である。ただ、現在の日本ではそれが難しい。そこまで専門性のある教員を確保することができないからだ。

特別支援学校で、障害種や実態がある程度近い子供を集めて、教育活動を行う方がより効率的なのだろう。教職員間で学び合い、専門性を高めやすいのも特別支援学校の方だろう。

そう考えると、日本において、より良いインクルーシブ教育システムを構築できるのはもう少し先のことになるかもしれない。教職員の専門性の向上を含めて、子供たちの学びと成長をしっかりと保障できる環境を整えることが先決である。


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