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悩みごとにはこう考えよう。悩みや問題の改善モデル

こんにちは、僧侶の神崎修生です。

本日は、「悩みごとにはこう考えよう。悩みや問題の改善モデル」と題して、お話をさせていただきます。

今回の内容は、自分が抱える悩みや問題を改善するために、知っておくとよい考え方をご紹介致します。悩みや問題の原因を特定し、どのようにアプローチして、どのような方法で悩みや問題を改善していくとよいかについて、改善のモデルと思考の流れを示しています。

この改善モデルを知っておくことで、悩みや問題に直面した時に、どのように考え、どのように改善すれば良いかを考える手助けになればと思います。


悩みがあるという方や、悩んでいてモンモンとするばかりですっきりしない、改善しないという方などにお勧めの内容です。

また、このコラムは僧侶の方も多くご覧にいただいていますが、僧侶をはじめ悩み相談をよく受ける立場にある方にも、このモデルをご覧いただくことで、相談を受けた立場の人として、相談者の悩みや問題の原因の特定や、どのようにアプローチしていけば良いかの見通しがたつことに役立てればと思います。

ただし、相談においては、相談者の思いへの傾聴と、その思いを尊重する姿勢を大切にしたいものですね。


では、「悩みや問題の改善モデル」について、考えてみましょう。
是非、最後までお読みいただけると嬉しいです。


▷悩みや問題は何かを考える

悩みや問題の改善モデル(根本の問い)

まず、最初の段階でおこなうことは、自分が抱える悩みや問題は何かと考えることです。悩みや問題がいくつかある場合もありますし、悩みが何なのかが分からなくなっていることもあります。

自分はいったい何に悩んでいるんだろうか、不安を感じているんだろうか。そのようなことを明確にする意味があります。

では、実際に考えてみましょう。ご自身が今抱える悩み事や問題を思い浮かべてみてください。どのような悩みや問題があるでしょうか。

まずは一つ、改善したい悩みや問題を書いていただければいいかと思います。そしてできれば、紙などに書き出していただくと良いと思います。言語化することで、何に悩んでいるのかがはっきりしてきます。


▷悩みや問題の原因を特定する

悩みや問題の改善モデル(原因)

次の段階でおこなうことは、悩みや問題の原因を特定することです。原因を特定しないことには、改善の打ち手も見いだせませんし、効果も薄くなります。

悩みや問題の原因を特定するために、まず「内部・自分」と「外部・他者」とに分類します。「内部・自分」に原因があるのか、それ以外に原因があるのかを考えます。

相談を受けている方の場合は、その相談者自身に原因がありそうか、それ以外かで考えていただければ良いかと思います。


ここで一つ注意点があります。我々は、物事を自分中心に見がち、考えがちで、自分に原因があるとは考えにくいものです。ですので、そのことを前提に置きながら、できるだけ客観的に考えてみてください。

また、原因が「内部・自分」とも、「外部・他者」とも、どちらとも考えられる場合があるかと思います。

例えば、病気に関しての原因として、生活習慣といった「内部・自分」のものと捉えることもできますし、気をつけていても自分にはどうしようもできない「外部」のものと捉えることもできます。

原因は、様々考えられる場合がほとんどですので、それで構いません。


次に、もう少し詳しい原因を考えてみましょう。原因は、一つだけということはあまりなく、多数の原因が重なって悩みや問題となっていることが多いかと思います。まずは、できるだけ多く出してみることが良いかと思います。

原因を色々と考えてみることで、今まで気づかなかった原因も見えてくる可能性があります。ですので、まずはできるだけ多く、客観的に原因を洗いだしてみてください。


そして、できるだけ頭の中だけで考えるのではなく、紙などに書き出してみてください。

頭の中に混然とあった悩みを、頭の外に出して、整理分類し、客観的に眺めるだけでも、とても楽になることがあります。


では次に、多く出した原因の中から、悩みや問題になっていることに大きな影響を及ぼしていそうな原因を、「内部・自分」「外部・他者」ともそれぞれ3つずつ決めてください。

3つという数字にこだわる必要はありません。1つ2つしかないという方は、それでも構いません。

4つ以上になっても構いません。ただ、あまり多すぎると、この後の具体的な方法を考え、実行していく段階で、混乱する場合がありますので、3つ程度で構わないかと思います。


▷悩みや問題の原因の傾向を見る

悩みや問題の改善モデル(傾向)

次に、整理分類した悩みや問題の原因について、傾向を見ていきます。

それぞれの原因を、「解決型」か「受容型」かを考えてみます。

悩みや問題には、「解決型」のアプローチが有効なものと、「受容型」のアプローチが有効なものとがあります。ここでは、そのどちらの傾向が強いかを考える段階です。

もう少し解説すると、「解決型」とは、その悩みや問題の原因自体が解決される傾向にあるものです。「受容型」とは、その悩みや問題の原因自体が解決しづらく、受け容れていくアプローチのほうが有効なものです。


例えば、「受容型」のアプローチのほうが有効なものとして、不治の病の悩みなどがあります。病気に対して、できる限りの治療をしても、治らないことがあります。そのような時には、時間をかけながら受容していく(受け容れていく)アプローチが重要になります。

このように、問題は必ずしも「解決型」のアプローチだけではなく、「受容型」のアプローチが有効なものもあります。


今回、「悩みや問題の改善モデル」として、改善という言葉をあえて使っているのは、物事には解決ができないものもあるからです。そのため、解決よりも、改善を上位の目的として位置づけ、その改善の中に、解決と受容のアプローチがあるという捉え方をしています。


「解決型」の例も考えると、人に対して怒ってしまう自分が嫌だとか、仕事によく遅刻してしまうので改善したいといったものは、どちらかというと「解決型」のアプローチが有効そうです。

この傾向を考えることで、解決を目指す方法をとる必要があるのか、それとも解決は難しいので、受容していく方法をとる必要があるのかといったことを理解でき、悩みや問題への打ち手や対応の姿勢が変わってきます。


ただし、「解決型」とも「受容型」とも取れるものもあります。

例えば、お金がないという悩みの原因を自分に求め、それを改善しようとする場合、収入を増やしたり、支出を減らすといった「解決型」のアプローチがあります。また、収入や支出は変化せずとも、人と比較するのをやめるといった「受容型」のアプローチも考えられます。

それで構いません。理由を以下に解説します。


▷多方向からのアプローチが有効

悩みや問題の改善モデル(多方向)

これまで見てきたように、同じ悩みや問題でも、複数の原因や傾向が考えられ、様々な見方ができます。それは、悩みや問題というものは、もともと複数の原因が複雑に絡み合っているという種類のものだからです。

ですので、この「悩みや問題の改善モデル」のように、多方向から考え、アプローチすることが大切だと考えます。

漠然と悩んでいる間は、頭の中で色々な悩みや不安が、混然一体となってあり、何をどうしたらよいのか分からず、手の打ちようがない状態にあることも多いです。

また、悩んでいることは苦しい状態ですので、どうしても見方が偏ったり、客観的に見れなくなったりします。場合によっては、何に悩んでいるのかも分からなくなることもあります。

ですので、このモデルの順序で書き出していくことで、根本的な原因も見えてきますし、頭の中が整理されてきます。そして、感情が落ち着いてくることもあります。

ただし、このモデルは、ここで終わりではありません。ここから、悩みや問題を改善するための具体的な方法を考えていく段階に入ります。


▷悩みや問題を改善する具体的な方法を考える

悩みや問題の改善モデル(方法)

次に、悩みや問題を改善するための具体的な方法について考えていきます。

ここまでおこなってきたのは、このあとの具体的な方法を考えるための準備段階でした。ここまで、悩みや問題の原因を特定し、解決のアプローチが良いのか、受容のアプローチが良いのか、そこまでを考えました。

そして、ここから具体的な方法について考えていく段階に入ります。


悩みや問題に対する具体的な方法については、別の機会にお話ししたいと思います。というのも、ここから個別具体的な内容になるためです。

悩みや問題に応じて、取る方法も様々ですので、その悩みや問題に応じて方法を考えていったほうが、分かりやすいかと思います。

個別の悩みや問題について取り上げ、その原因や傾向を考えた上で、それに対して仏教ではどのように考えるか、どのような改善の方法があるのかといったお話を別の機会にさせていただきたいと思います。


▷悩みや問題の改善モデル

いずれにせよ、このような思考のプロセスで、私は悩みや問題を抱えた時に考えるようにしています。そうすることで、悩みや問題の原因を多方向から、できるだけ抜け漏れなく考え、そして有効な可能性の高い方法を考え、対応することが可能になるからです。


前述のように、悩みや問題というものは、もともと複数の原因が複雑に絡み合っているという種類のものです。

一つの打ち手で、悩みや問題が、劇的に改善されれば良いですが、そういうことは少なく、本来的には、悩みや問題の原因を一つずつ紐解き、その原因に対する改善に有効な傾向と方法を考え、実行していくことが大切だと考えます。

「悩みや問題の改善モデル」は、このような複数の原因があり、複雑に絡み合った悩みや問題に対して、原因をいくつか特定し、改善へ有効だと思われる打ち手の傾向や具体策を、多方向から考える上で役立つものだと思います。

私自身も、自分が悩んだり問題を抱えている時にも使いますし、悩み相談を受けた際にも、原因の特定や問題がどの段階にあるのか、どのような方法が対応方法として有効かなどを考える際に活用できます。

ただし、相談の場合は、傾聴の姿勢が重要であり、相談者ご本人の意志を尊重するという姿勢は大事にしたいものです。

アドバイスによって、その方の人生を左右してしまうこともあります。そのこともふまえながら、ご活用いただければと思います。


▷悩みと仏教

ここまで、読まれた方で、このモデルと仏教とは、どのようにあるのだろうと感じられた方もおられるかもしれません。

まず、仏教を知っていると、原因の見え方が変わってくることがあります。先述したように、我々は物事を自分中心に見がちで、悩みや問題の原因を自分あるとは中々思えない生き物です。仏教ではそのように考えます。

ですので、できるだけ客観的に原因を考えることをお勧めしました。そうすることで、自分の原因についても見えてくるからです。自分の見方や考え方を変えることで、景色や世界が違って見えることがあります。悩みや問題も、自分が作り出しているものもあります。

そのようなことを理解しておくことで、悩みや問題が改善することがあります。これが一つです。


また、悩みや問題を改善するための方法として、仏教の考え方や行(ぎょう)などが役立ちます。

仏教はもともと、抜苦与楽(ばっくよらく)ということを大切にしています。悩みや苦しみなどを和らげ、より良く幸せに生きていこうとするものが仏教です。ですので、悩みがあるから仏教があるともいえるんですね。

この「悩みや問題の改善モデル」は、仏教的な視点も取り入れて、悩みや問題の原因を特定し、その後、仏教的な考え方や行(ぎょう)などを用いて、改善の対応をとっていくものです。

また、一切皆苦(いっさいかいく)というように、物事は自分の思い通りになるものばかりではないというのが、仏教の考え方です。ですので、解決ということだけではない、受容というアプローチもこのモデルの中に取り入れています。

このように、多分に仏教のエッセンスが入ったモデルになっています。そして、仏教に論理的思考を加えてモデルをつくりました。

原因の特定の段階で、なるべく抜けもれなく洗い出し、そして整理分類して優先順位を決めるといったことは、論理的思考を活用しています。

改善のための具体的な方法については、悩みや問題ごとに、このモデルを活用しながら、別の動画で解説していきたいと思います。


▷まとめ

さて、いかがだったでしょうか。

今回は、「悩みごとにはこう考えよう。悩みや問題の改善モデル」と題して、お話をさせていただきました。

悩みや問題に直面した時、少しでも悩みや問題が改善されるように、どのような流れで考えると良いかについて、モデル化してみたので、その内容を紹介させていただきました。

まず、悩みや問題の原因について、なるべく客観的に考え、洗い出しを行います。

悩みや問題の原因を書き出してみるというだけで、すっきりすることもありますので、是非やってみてください。

そして、「解決型」か「受容型」かの傾向を考え、それぞれの具体的な方法について考えていくという流れになります。

悩みや問題の原因は多数あり、複雑に絡み合っておこっているものがほとんどですので、原因を整理したり、多方向からアプローチする場合に、このモデルが役立つかと思います。

是非、ご活用いただけると嬉しいです。


最後まで、お読みいただき、ありがとうございます。

合掌


浄土真宗本願寺派 教證山信行寺

神崎修生

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