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疾走感あふれる、忘れられた『平家物語』の物語 [平家物語 犬王の巻/古川日出男]

大好きなアヴちゃんが映画の主演やるらしい!うれしい!!原作小説があるらしいから買って金曜読もう!!!って思ったんですが、我慢できずに木曜に読んじゃいました。途中からすごい楽しくて、一緒に駆け抜けられる、そんな本でした。

あらすじ

平家の宝を探して生きるイオの者である友魚。友魚はある事件で失明してしまい、紆余曲折を経て、琵琶の音とともに平家物語を語る琵琶法師となる。
時を同じくして、猿楽の家の産まれたのちの犬王。彼は父にかけられた呪詛によって、この世のものとは思えない醜い姿で産まれ出る。
しかし、犬王の醜い姿は盲目の友魚には見えない。犬王は自分の産んだ作品を『琵琶の曲にしろよ』と友魚に頼む。犬王の演じた作は、友魚の琵琶の音にのって、世に轟いていくが…。


ネタバレあるよ


感想(ネタバレ有)

あーーたのしかった!!!と読んだ後に言える作品。

まず文の構成がすごい好き!
1章がかなり短く、ハイスピードに臨場感ある場面が展開されていく構成が、琵琶法師の興行を実際に聞いているような気持ちにさせてくれる!全く飽きがこず、ねえねえ次のお話は?とせがみたくなる、また明日も聴きに来たくなる、なるほど琵琶法師というのはこういう語りをしていたから人が集まったのだなと、この本を通して納得することができる、そんな文の構成。

そしてその構成で次々と展開されていく、友魚と犬王の産まれてから死ぬまでの一生。一生ってところがいい。2人は交わり、並行となり、最後に交わる、その流れも最高に良い。友魚はただ話をきいて、語ってくれた、わりと淡白な関係の印象だったのだが、最後は犬王が友魚を迎えにいくところがとてもいい。2人のかけあいはそんなに多くないのだが、おそらくお互いに、お互いの噂をいろんなところで聞いていたのだろうと思う。

犬王の呪いは父に殺され呪詛となった琵琶法師たちを成仏させることで解けるのだが、犬王は最後まで琵琶法師(友魚)を成仏させにいく、というのもなんだか、縁の深さみたいなものを感じて面白い。


映画犬王をめちゃ楽しみにしてる話

というわけで小説としてはとても好きなので、これがどう映画になるのかすごく楽しみにしている!
作中の演目が動きで見れて、友魚の語りも声で聞けるわけだよね?楽しみしかない!!

そしてサントラのタイトルに小説の中のめちゃ盛り上がり場面である『鯨』と『竜中将』があるの楽しみでしかない…!サントラの曲タイトルだけですごい楽しみになったのはじめてかもしれない!!
しかも作詞アヴちゃんなんですよね、つまり映画犬王においては犬王はアヴちゃんでありアヴちゃんは犬王なんですよね…素敵すぎる…。


犬姫MVもいいぞ

この本読んだ後に犬姫のMVも見に行ったんですが、こちらも能と呪いをテーマにした良MVで全力推しです。アヴちゃんの演技がすごすぎて最後の狂気が怖い。

ちなみに多分犬王とは関係ないです。でもこれ聞くとサントラの犬王の曲もめちゃ楽しみになりますね!


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