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【考察】グランド√見ました。七七とヒロインたちの行動を再確認してみる【サイコロサイコ】

はじめに

この記事はフリーゲーム【サイコロサイコ】のネタバレを大いに含みます。

プレイしていない人は下記リンクから、ダウンロードしてください。

ぜっっったい楽しいので!

挨拶

こんばんは。鮎です。
12月から投稿し始めた【サイコロサイコ】。

現在、五人目の災子ちゃんの実況動画がyoutubeにて公開されています。録画はすでに終わっていて、後は投稿日を待つのみ、といった感じなのですが……

グランド√を見てから、
考察が頭から離れません笑
というのも、

ざっとですが、
こんなことを思ったからなのです。

グランド√

さて、いままで見てきた物語は、グランド√で七七の夢であったことが判明いたしました。

『夢』と聞いたときに、みなさんはどういった印象や言葉を思い浮かべるでしょうか。儚さ、虚構、理想、願い……。

実際考えてみると、『夢』という言葉には、いろんな意味が含まれていると思います。私は、その中でも『理想』『願い』について着目してみました。

本作のヒロインたちは、基本的には主人公である「めたろー」に接触します。彼女らはそれぞれ願いを持っており、それを叶えようと奔走します。

最初、このゲームをプレイしたときはそんな個性的なヒロインとの出会いにハラハラドキドキするシナリオだ(意訳)と捉えていましたが、それが『七七の夢』であるのなら、話は違くなっていきます。つまり、

ヒロインたちの願いや在り方は七七の願いではないか。

そう思ったのです。

本編

というわけで、早速考察を始めていきましょう。
スタイルとしては
・ヒロインの願い
・七七はそのヒロインにどう行動したか
を主に考えていきましょう。

第一の出目-斉子

まず最初は、『斉子』ちゃんです。
斉子ちゃんが対応する願いは【独占して/したい】でしょう。

もう少し言葉を崩すなら、【いちゃらぶしたかった】でしょうか。

愛し、愛される斉子とめたろーの関係は正統派なカップル模様ですから、望みとして持っていてもおかしくはありません。

その斉子にとった七七の行動は【拒否】でしたね。

自分の知っているめたろーを取られたり、部屋に入られていたり。ここを七七の心象風景とすると、中から蝕まれていくような印象でした。

斉子は若干メタなとこがあるので、願いというよりは七七の分身に近い存在だと思われます。

少しえっちな描写があったこと考えると、本心と理性くらいの関係かなと思います。どんどん本心(我)が溢れてしまい、理性が追いやれていくような、そんな感じ。

で。いま動画を見直しているのですが……
これEndの絆創膏を貼るシーン……
幼少期の七七にも当てはまりますよねぇ!?
やば……。

第二の出目-才子

2番目は『才子』お姉ちゃん/先生です。
才子お姉ちゃんが対応する願いは【勉強を教えたい】でしょうか。

これだけだとちょっとわかりづらいですね。
グランド√での七七はランドセルを背負っていました。めたろーの隣の部屋に住んでいるならば、同じ学校に通っているはずです。

実際そのときの七七の学力は、恐らくめたろー以下だったでしょう。そのため、先生になる=教えられるくらい頭が良くなったら、という願望が才子を生み出していると考えられます。

また作品では唯一の年上です。
夢での七七の性格からして、【姉役として振舞いたい】という気持ちもあったのではないでしょうか。

そんな才子お姉ちゃんですが、七七は直接行動はしていません。

というよりは、先に口封じされちゃってるんですよね。
めたろーがいなくなった原因が、先生だと知ったとき、七七はどんな行動を起こすのか……。

恐らくは【反発】なのでしょうが……
ここはうまく考察には組み込めなさそうです。

第三の出目-骰子

3番目は『骰子』ちゃんです。
対応する願いは【子供時代の2人だけの時間】でしょうか。

もしくは【平和でしあわせな時間】。

グランド√に準拠すると、本来平和でしあわせな時間と空間は家庭に存在します。しかし、七七の家は真反対の状態でした。絆創膏や傷の数からしても、暴力が常にあるような、そんな家庭。未来を見る前に、いまを見なければ生きていけないような地獄のような環境でした。何度も死にたいと思ったはずです。

そんな七七が、平和で未来の話を出来たのが『めたろーとの時間』だったのではないでしょうか。「また明日会おう」だとかそんな短い約束でも、七七にとっては眩しい明日が見えるような大切な約束になっていたに違いありません。

IFルートにおいても、骰子は「当然の、どこにでもある日常」を望んでいたので、間違いないと思います。

そんな骰子にとった七七の行動は【めたろーの目を開けること】でした。

これはいろんな解釈があると思うんですが、骰子ちゃんが「めたろ自身」と言っているので、幼少期の七七を殺しかけてしまっためたろーへの償いのように思えるんですよね。

脱獄した直後に、行く場所が七七の病室の時点で、めたろーはだいぶそのことを気にしていたはずです。殺してほしいといったのは七七本人ですが、その責任をめたろーに背負わせてしまったことに、後悔の念があったのではないでしょうか。

第四の出目-祭子

4番目は『祭子』ちゃんです。
対応する願いは【親友のように過ごしたかった】でしょうか。

もともと、七七とめたろーは幼馴染ですし、七七が自殺する直前も七七はめたろーの名前を知っています。仲がいい方ではあるのですが、恐らく、お互いのことを深く知り合っているというほどではなかったと思います。

傷だらけの七七や毎晩聞こえる隣部屋の悲惨さを見たり聞いたりしても、めたろーは(小学生なのだから)絆創膏を貼ってあげることくらいしか出来なかっただろうし、七七もわざわざ言うわけでもないでしょう。

通じ合っている。そう信じたいけれど、言葉に出してしまったら問題が現実に山積みになって直面してしまう。だからきっとわかっているはず。そのような信頼関係だったのだと思います。

一方で祭子は、自分の核である復讐について話すなど本心を曝け出していますし、傍観者であっためたろーに釘をさしたりしています。また両親への反発だったり、自分で切り開いた道があったり、結構七七の願望が出ているようなキャラ造形してますよね。

祭子に七七が取った行動なのですが、
【憧れを持ってついていく】
なんですよね。

また面白いのが洞窟のシーンです。

実況では【トンネル】や【洞窟】は祭子の人生の比喩だ。絶対望んだものが存在するってことはそうでしょ。
という話をしたのですが、七七がついてきた洞窟でのお宝さがし……

七七は途中で引き返しちゃうんです。

この表現、結構残酷で。
仮に祭子のような人生を歩んだとしても、その先に望んだものがあったとしても、七七は見つけることができないんですよね。

辿り着く前に、諦めてしまいます。

これはグランド√にあった

"生きていればいつかいいことがある"
"いまを乗り越えたら幸せな未来が待っている"

そんな言葉を仮に言ったとしても、死んでしまう七七を表現しているんじゃないかと。そう思うんです。

第五の出目-災子

5番目は『災子』ちゃんです。
対応する願いは【不幸だと思ってほしい/同情してほしい】でしょうか。

簡易的に言えば、【たすけてほしい】。

これも大分がっつりキャラ造形で見せてきてると思います。

先ほど言ったように、めたろーは、七七が死のうと思い詰めていたことは知りませんでした。ということは、七七に心底同情したり、目に見えて心配の素振りをすることはなかったのではないかと思います。

災子ちゃん自身、
"死にたいと思っているひとはね、ほんとは誰かに、助けてほしいんだよね"
と言っているので、一度でもいいから「助けてやる」の一言を聞きたかった、もしくは言ってくれる人に出会いたかった願望が災子ちゃんを生み出している気がします。

もしくは不幸だと哀れんでくれれば、私は【そういう人間】として存在できたかもしれないのに。明らかに人と違うのに、普通でいることが難しいのに、【普通の人間】として接されることがつらい。

自分が【普通でない】ことを認められなかった七七の苦悩が見えてきます。

その災子に対して、七七は【めたろーと離れるように説得】します。

"私を不幸な人間として扱ってほしい(だからいつかはたすけてくれるよね?)"

という七七の切ない願いと

"私(七七)といると、めたろーまで不幸になってしまう。それだけはダメ。"

という七七のめたろーへの気持ちが出ているシーンだと思います。

葛藤ものですよね。
愛されたい。
けれど、愛してくれる人のことを一番に考えるなら、愛されてはいけないのですから。

切なすぎる。

災子ちゃんが一番好きなシナリオだったのは、こういうのが感じられたからなのかもしれないですね。

第六の出目-罪子

最後は『罪子』ちゃんです。
対応する願いは……
……たぶん、ここに願いはないです。

あるとするなら【破滅】。

正直に言いますと、グランド√読む前は

"七七の精神世界に入り込んでいるし、同一人物ってどういうこと……?"

とか謎が多かったのですが、この話が七七の夢ということがわかり、急に解像度が上がったんですよね。

というより、この記事を書こうと思ったのがこの思考からなんです。罪子が七七と同一人物なら、他も七七の何かを象ったものではないかと。

実際そんな感じでしたよね。

さて、罪子は恐らく。
恐らくですが、『幼少期の七七』に限りなく近いのではないでしょうか。荒んだ家庭環境だったり、毒親、自傷行為などが重なっている気がします。

そして、その考えなら、なぜあそこまで七七に執着していたのかも説明できます。この世界線では、めたろーと七七は付き合っています。それはもう、らぶらぶのらっっぶらぶです。

そんな姿を、幼少期の七七が見たらどう思うでしょうか。自分に限りなく似ているが、存在するはずのない私がめたろーと付き合っているのです。しかもとっても仲良く。

自分は実況中に、ドッペルゲンガー?といった発言もしましたが、罪子(幼少期の七七)からしたら、おぞましい光景ではないでしょうか。幸せな未来を別人に掠めとられているのですから。そりゃ、殺してでも成り代わりたいと思ってしまうのではないでしょうか。

で、これ。
成長した七七から見てもなかなかに面白いです。何せ、死なないで成長したのに、子供時代の自分が殺しに来るのです。

想像してみてください。

仮に今がとても幸せだったとして、子供時代にされた不幸が消えるわけではありません。いままでのヒロインたちが経験したことを、もし七七が幼少期に経験している(リスカ、性器破壊…)のなら、どんなに幸せでも、その不幸がいついかなるときも邪魔をしてくるでしょう。

これはフラッシュバックです。
ふいに黒歴史とか、変な対応をしたときの出来事がふっと頭をよぎることありませんか?

それのひどいVerです。
暴力とか暴言を受けていたのならなおさら。

これをうまく作中に落とし込んでいるのが、
罪子のシナリオなのだと思います。

七七の行動は【殺害】です。

七七が罪子の行動によりおかしくなってしまい、罪子を殺して笑う姿は『子供時代の不幸を消去できたこと』を示していますし、

罪子が殺されて、「うれしい…」と言っている姿は、『幸せな未来によって、殺されること=消去されること』を望んでいたから。

まさに『過去との決別』を夢見ていたのでしょう。

まとめ

いかがだったでしょうか(まとめ掲示板恒例の挨拶)。

私が触れてきた作品の中で、こうも夢というオチをこんなに素敵に使ったのは見たことがなかったので、プレイし終わったあとの感動が止まりませんでした。(だからまぁ、4000文字強のnoteを書いているわけですが)

最初は、個性的なヒロインとの出会いを。
最後に七七の夢ということにすることで、あまり作中では掘り下げなかった七七の心境や願望を各ルートが補強していく姿は、鳥肌ものです。

花言葉も花弁の数も、かつ1と6といった関係性の対比。これらを複合したうえで、この演出をやってくるの……

ずるいっす……天才……!!!!!!!!!!!

先ほど、活動を再開したとの朗報があったので、今後も長く生きて、作りたいものを作ってください……。ついていきます、ねこふじかおる先生……。

最後に

とても、とっっっても素晴らしい作品をありがとうございました!!!
だいすき!!!!!

ここまで、怪文書じみたものを読んでいただきありがとうございました。

ぜひプレイしてくれ!!!


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