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若き日の埴谷雄高が影響を受けた雑誌

 最近、『共同研究 転向 2―戦前篇 下』(東洋文庫818, 2012年)を読んでいる。この「共同研究 転向」は、鶴見俊輔を中心に思想の科学内で行われていた。数年前、鶴見の書いた部分のみ『鶴見俊輔集』で読んでいたが、他の部分は未読であったため読み返している。

 この本では、作家・埴谷雄高も「転向者」として取り上げられており、分析や執筆は鶴見が担当している。この部分は前述の通りに、私は数年前に読んでいるはずだが、この中に若き日の埴谷がアナキストである石川三四郎の発行していた雑誌『ディナミック』を読んで影響を受けたということを読んだ当時見落としていた。『ディナミック』は復刻されているが、その序文を埴谷が書いている。石川は今日ではあまり知られていないが、埴谷だけでなく埴谷の章を執筆している鶴見にも影響を与えたことが知られている。アナーキズム関係者への石川への影響を検討するのはおもしろいかもしれない。

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