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国会図書館デジコレの個人配信の恩恵

 今さらながら国会図書館デジコレの個人配信について、ある程度使った中で考えたことを述べていきたい。今年5月に国会図書館デジコレの配信範囲が拡大されて今まで図書館配信限定であった資料が個人宅から閲覧できるようになった。今まで閲覧できなかった資料が閲覧できるようになったわけではないが、これはかなり大きな恩恵があったと私は考えている。

 この恩恵を一言で言うと、多くの資料が時間の制約を気にせずにいつでもアクセスできるようになり、じっくりと調べられるようになったという点であろう。私の場合、図書館に行った時にデジコレを使用して調べることをメモしておいて、図書館へ行きまとめて調べるようにしていたが、ちょっとしたことはメモをせずに放置、もしくは忘れてしまうことも多かった。そのため、気になったことを気になった時ににいつでも調べることができるようになったという点が非常に大きい。また、図書館で閲覧すると利用時間に制限があることも多いので、ひとつの資料をじっくり調べることが難しかった。自宅で閲覧できるようになってからは時間的な制約を気にすることなく、ひとつの資料を時間をかけて調べることができるようになった。

 さらに、これは私だけかもしれないが、時間的な制約がなくなったことで脱線できるようになったという点も大きい。私の場合、資料を読んでいると別のことに興味を持って本来調べたかったことから脱線してしまうことがよくある。何かを調べている方々なら理解できるかもしれないが、この脱線が実は結構重要でしばしば予想外の発見につながることがある。時間的な制約があると、調べたいことだけ調べるということにどうしてもなってしまうので、この脱線が難しくなってしまう。時間的な制約がなくなることで、この脱線が行えるようになったことも個人的には恩恵のひとつだ。

 私の場合、このようにいつでも好きなだけ調べられる範囲が拡大したことで、以下のような発見があった。以下の記事で調べた橘正一の発行していた雑誌『方言と土俗』は今までも図書館に行けば閲覧することができたが、今回の発見はこの雑誌の編集後記に記載されていたため、雑誌をじっくり調べなければ分からなかったであろう。また、今回の発見は別のことを調べていて脱線したことによる副産物でもあるので、脱線したい時に脱線できる環境があったからこそとも言える。

このように今まで閲覧できた資料でもじっくり調べることができるようになったことで新しく発見できることもまだまだあるだろう。デジコレで調査できる範囲が広がったことで、自宅にいながら今まで知られていなかった新たな発見ができる可能性も高くなっている。デジコレを積極的に使ってこなかった方々は今回の個人配信範囲の拡大をきっかけにデジコレを使って気になっていることを調べてもよいのではないだろうか。

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