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グローバル・ベストアルバム・プレイリスト(4)スカンジナビア(北欧)5か国から100枚

どうも。

では、グローバル・ベストアルバム、第4弾、いきましょう。

今度は国でなく、地域いきましょう。

それはズバリ、スカンジナビア、北欧です!

対象となる国は、スウェーデン、デンマーク、アイスランド、ノルウェー、フィンランドの5カ国。この順番にスウェーデンが50作、デンマークが20作、アイスランド、ノルウェー、フィンランドが10作ずつの合計100枚です。

このようになりました!

Jazz På Svenska/Jan Johansson (1963)
Waltz For Debby/Monica Zerrelund & Bill Evans (1964)
We And Our Cadillac/Hep Stars (1964)
Grimascher Och Telegram/Cornelis Vreeswijk (1965)
Lime Light/Ola & The Janglers (1966)
Studio/Tages (1967)
Du År Den Ende/Lill Lindfors (1967)
Agnetha Faltskog/Agnetha Faltskog (1968)
Ja  Dä Ä Dä/Pugh Rogefeltd (1969)
Lucka/Björn Ulvaeus & Benny Andersson (1970)

まず、スウェーデンの50枚の最初ですけど、この国はやはり芸術方面に関しては早くから発達してましたね。この頃に映画の巨匠イングマール・ベルイマンが活躍してましたし、音楽でものっけからスウェーデン・ジャズ・シーンがあって強く、そこでヤン・ヨハンソンやモニカ・ゼッターランドが一つの時代を築いてました。モニカなんてビル・エヴァンスと共演してたんですからね。

あと、ビートルズのブリティッシュ・ビートに最も反応が速かったのもスウェーデン。ビートルズがアメリカでシングルのトップ5を独占した年に国産のバンドブームがいち早く起こったのもスウェーデンです。ヘップスターズ、オラ&ザ・ジャングラーズ、ターゲスがそうなんですけど、

ヘップスターズのメインソングライターが

ベニー・アンデルセン。のちのABBAのベニーです。

この段で選んだABBAは彼だけじゃなくて

アグネッタ、さらに男性デュオ時代のビヨルン&ベニーも選んでます。ビヨルンとベニーに関しては日本独自の「木枯らしの少女」というヒットがあるんですけど、それが入ったアルバム選んでます。アグネッタはダスティ・スプリングフィールドとかのイギリスのビートガールっぽいアイドルだったんですよね。そういうタイプのアーティストでは

リル・リンドフォルスという人のアルバム、これがすごく完成度高いんですけど、これ個人的にオススメです。

Två Tungor/Fred Åkerström (1972)
Vem Kan Man Lita På?/Hoola Bandola Band (1972)
Ted/Ted Gärdestad (1973)
Liver Är En Fest/Nationalteatern (1974)
Vá Ska Man Ta  Livet Av Sig För När Man Ända Inte Får Höra Snacket Efreråt/Magnus Uggla (1976)
Arrival/ABBA (1976)
The Album/ABBA (1977)
Pojkar,Pojkar, Pojkar/Eldkvarn (1979)
Super Trooper/ABBA (1980)
Kärlek Och Uppror/Ebba Grön (1981)

この時代のスウェーデンはフォークか、もしくはプログレ・バンドのッジダイですね。

フォークはこのテッド・ゴールデシュタットですね。このアルバムはかなり一般浸透してまして、未だにSpotifyのチャートでも上にくるんですよね。プログレはフーラ・バンドーラやナショナルテアテルンとかですね。

でもやはり、

圧倒的にABBAの時代。当時、北欧で世界的なアーティストなんて彼らしかいないところを、夫婦2組デュオ、さらにディスコのイメージを利用して、他ウェルメイドで大衆的な曲を短期間で大量生産。70sの世界中の人々の思い出に刻み込まれ、その普遍性の高さから50年近く経った今でも愛され続けています。

そして

このエバ・グローンという、スウェーデンで最初に成功したパンクロック・バンド。このバンドの影響力が後々まで強いですね。フロントマンが真ん中にイケメンくんで、テストレムという人なんですが、この後も彼がこのバンドの解散後に組んだインペリエというバンドや、彼自身のソロもここでは入れてます。

Puls/Gyllene Tider (1982)
Kår Och Galen/Ulf Lundell (1982)
The Final Countdown/Europe (1986)
Mauro Scocco/Mauro Scocco (1988)
Blå Himlen Blues/Imperiet (1988)
…Och Stora Havet/Jakob Hellman (1989)
Left Hand Path/Emtombed (1990)
And She Closed Her Eyes/Stina Nordenstam (1994)
Välkommen Till Fòrorten/The Latin Kings (1994)
Be A Girl/The Wannadies (1994)

ここもバラエティに富んでますね。

まずはジレーヌ・ティーダー。この国で一世を風靡したニュー・ウェイヴ・アイドルなんですけど、ここのヴォーカルだった人がペール・ゲッスル。後のロクセットの男の片割れの方です。

後、国際的にはこの80年代、ヨーロッパが「ファイナル・カウントダウン」のヒットで北欧メタルをアピールするんですけど、かなり多様化してまして、ポップなヨーロッパに対してデスメタルのエントゥームドまで出てきて、この先、どちらかというと後者の方が国内の影響力は強くなりますね。

後、ヤコブ・ヘルマンのこのアルバムもカルト化してますよね。エルヴィス・コステロを思わせる、甘酸っぱいんだけど芯のあるシンガーソングライターですね。彼はこれを出した後、30年くらい沈黙してカルト化して、2021年に復活して話題になりました。

あと、ヒップホップのラテン・キングスだったり、儚げさと透明感でカリスマ性強烈な女性SSWのスティーナ・ノルデスタムとか、元祖渋谷系、元祖スウェディッシュ・ギターポップのワナダイズの名前が並んでます。


First Band On The Moon/The Cardigans (1996)
Welcome To The Infant Freebase/Soundtrack Of Our Lives (1996)
Isola/Kent (1997)
Broken Promise Land/Weeping Willows (1997)
Jag Rear Ut Min Själ/Bob Hund (1998)
Broder Daniel Forever/Broder Daniel (1998)
I Centrum/Bo Kasper Orkester (1998)
The Shape Of Punk To Come/Refused (1998)
Veni Vidi Vicious/The Hives (2000)
Kånn Ingen Sorg För Mig Göteborg/Håkan Hellström (2000)

90年代でスウェーデンといえば、もう当然カーディガンズですよね。ここで選んだ前のアルバムから「カーニバル」が日本では渋谷系とリンクしてはやりましたけど、国際的にもここで選んだアルバムからの「Lovefool」が全世界ヒットしましたからね。

スウェディッシュというとイメージとしてトーレ・ヨハンソンがプロデュースした洗練されたギター・ポップのイメージあるんですけど、この頃、スウェーデン国内、UKロック並みにすごくバンド盛んだったんですけど、多様ですよ。サウンドトラック・オブ・アワ・ライヴス、ケント、ボブ・フンド、ブローダー・ダニエルはもっとストレートにブリットポップに近いUKロック寄りだし、ウィーピング・ウィロウズはストリングス・メインのフォークロック、ボー・キャスパーズ・オーケストラはスタイル・カウンシルみたいなタイプのジャズやソウルの影響が強いし。

そうかと思えば、リフューズドは早すぎたポスト・ハードコア・サウンドでエモ界隈で国際的なカルトバンドになるし、ハイヴスはロックンロール・リバイバルの時代にフックアップされ、ストロークスの時代に同時に売り出され、アークティック・モンキーズに影響を与えたことで近年再評価も進んでますね。


Veneer/José Gonzalez (2003)
Deep Cuts/The Knife (2003)
Skebokvarnsv 209/Thåström (2005)
Robyn/Robyn (2005)
Doomsday Machine/Arch Enemy (2005)
Ghost Reveries/Opeth (2005)
Body Talk/Robyn (2010)
Satan I Gatan/Veronica Maggio (2011)
Infruset/Mando Diao (2012)
Impera/Ghost (2023)

21世紀以降ですが、この時期になるとインディよりはエレクトロとメタルですね。

やはりエレクトロ・クイーンとしてのRobynって、世界的に実際のセールスより影響力でかいですしね。あとザ・ナイフも。このユニットからフィーヴァー・レイが派生してることも含めて。

あと、メタルは、強かったのむしろデスメタル系というかオーペスとかアーク・エネミーとか、選んでないですけど、メシュガーとか、そういうイメージだったのに、美味しいとこ持っていくように成功したのが変わりダネ中の変わりダネのゴーストだったとこもいいですね。なんか見かけがこれなのに、曲がGSとボン・ジョヴィ足して2で割らない感じみたいなね。

あと、補足しておくと、ここで選んだマンドゥ・ディアオ、あの初期のロックンロール・リバイバル風でなく、スウェーデン語で歌うようになった近年のものを選んでます。日本で知られなくなって、彼ら、本国で大物になっています。サブスクの資料って、そういうことわかるから面白いんですよね。

続いてデンマーク、行きましょう。

Hip/Steppeulvene (1967)
Gasolin'/Gasolin' (1971)
Wild Child/The Savage Rose (1973)
Storbyens Små Oaser/C.V.Jorgenssen (1977)
Gas 5/Gasolin' (1975)
Under En Sort Sol/Sort Sol (1980)
De Samlede Klichéer/Kliché (1980)
Midt Om Natten/Kim Larsen (1983)
Kysser Himlen Farvel/Lars H.U.G (1987)
Abigail/King Diamond (1987)

20枚しかないので、1段で60sから80s後半まで一気にいきます。

デンマークはブリティッシュ・ビートみたいなもの、あったとは言うんですけど、そこまで大きくなかった感じです。それよりはむしろサイケで、ステッペウルベーネというヒッピー系のバンドとか、サヴェージ・ローズという、この国のジェファーソン・エアプレインみたいな紅一点バンドがパイオニアです。

ただビッグになったのは

このガソリンっていうバンドですね。70sの。名前が正直いけてないんですけど(笑)、この写真の通り、ハードロックとグラムロックの間くらいのロックンロールで、5枚目のアルバムの頃にはイギリス進出目指してクイーンを手がけたロイ・トーマス・ベイカーのプロデュース仰いでます。ここのフロントマンだったキム・ラーセンも80s以降、ソロでも成功してます。

あと、この国はニュー・ウェイヴもハードロックも同じくらいに強い国です。ニュー・ウェイヴではクリシェっていうバンドとソート・ソルというバンドが人気で。前者のフロントマンはラーズHUGとしてソロで人気でもありました。

あとメタルではブラック・メタルのパイオニアのキング・ダイアモンドが出たところでもあります。メタルだと日本でもそこそこ人気あったDADとか、選んでないですけどホワイト・ライオンのフロントマンだったマイク・トランプとか、この国では長く人気あるんですよね。


No Fuel Left For The Pilgrims/D.A.D (1989)
Dizzy Mizz Lizzy/Dizzy Mizz Lizzy (1994)
D-D-Don't Don't Stop The Beat/Junior Senior (2002)
Zitilites/Kashmir (2003)
Frangers/Mew (2003)
Usadsb/Nephew (2004)
Pretty In Black/The Raveonettes (2005)
Guitar, Gangsters & Cadillac Blood/Volbeat (2008)
Lukas Graham/Lukas Graham (2016)
Homeless/The Savage Rose (2019)

90年代のこの国は日本でも人気のあったディジー・ミス・リジーがこの国では国民的人気だったんですけど、00sはものすごくインディ・ロック・シーンが強かったんですよね。ジュニア・シニア、MEW、カシミール、Nephew、レヴォネッツ。当時、みんな日本盤も同じ時期、2004年くらいに出てて。この国のシーンが一番盛り上がった時期なんじゃなかったかな。

そのあとに、ロカビリー・ハードロックのヴォルビートとか、アメリカで「7 Years」のビッグヒット放ったルーカス・グレアムとか出てますね。

ただ僕としては

サヴェージ・ロースですね。彼女はアニゼッテ・コッペルと言って、最初は
バンドにフィーチャーされた女性シンガーなイメージだったんですけど、バンドメンバーが抜けていくうちに、ある時期からは彼女のソロ・プロジェクトになったんですよね。そこからキャリア積み重ねること50年以上。今でも国内でアルバム出せばトップ10入るような人気もキープしています。デビューの時期がジャニス・ジョプリンとほぼ同じような女性がまだ現役のロックバンドで歌い続けている。これはもっと世間、注目した方がいいと思うんですよね。

続いてはアイスランド、行きましょう。

HIjómar/HIjómar (1967)
Brot Af Bvi Besta/Trubrot (1970)
Life's Too Good/The Sugarcubes (1988)
Post/Björk (1995)
Homogenic/Bjork (1997)
Ágætis Byrjun/Sigur Rós (1999)
Finally We Are No One/Múm (2002)
Takk…/Sigur Rós (2005)
My Heas Is An Animal/Of Monsters And Men (2012)
A/B/Kaleo (2016)

アイスランドと言うのは人口が30万もいないくらいの小さな国ですけど、60sの頃からブリティッシュ・ビートにタイプしたバンドがいたり、70s初頭にはプログレ・バンドが存在したように、小さいながらロックの伝統はあったようなんですよね。

そういうところだからこそ

こういう少女も出てきたわけです。シュガーキューブス入る5年くらい前のパンク少女だった頃のビヨークですけどね。まあ、この国を牽引したのは実質彼女、そしてシガーロスですよね。10s入るとオブ・モンスターズ・アンド・マンとかキャレオが英語で国際デビューして、アメリカ市場でもそこそこ成功しましたけど、そこから続かなかったですね。でも、すごくポテンシャルのある国です。

続いてノルウェー行きましょう。

Hunting High And Low/a-ha (1985)
Suser Avgårde/deLillos (1986)
Splitter Pine/Dumdum Boys (1990)
De Mysteriis Dom Sathanas/Mayhem (1994)
Melody A.M./Röyksopp (2001)
Riot On An Empty Street/Kings Of Convenience (2004)
Caught In A Life/Donkeyboy (2009)
If I Could Make It Go Quiet/Girl In Red (2021)
The God We Can Touch/Aurora (2022)
How To Let Go/Sigrid (2022)

始まりは他の国よりダントツに遅いノルウェー。1985年のahaの世界的ブーム。本当に「Take On Me」、流行りましたからね。あのファースト・アルバムにはそれ以外もヒット目白押しなものでした。

ただ、本当にそれ以前のノルウェーって、どんなに調べてもよくわかんないんですよ。どんな音楽が前にあったのか。ただ、彼らが世界的にはやったことによって自信がついたのか、ここからシーンっぽいものはでき始めるんですよね。デリーロとか、ダムダムボーイズは、この当時のシーンの「四天王」と言われたバンドの2つです。

00sになるとエレクトロでロイクソップがとりわけヨーロッパ全土で成功します。そこでギターポップ・バンドのキングス・オブ・コンヴィニエンスのアーランド・オイエをフィーチャーしたりして。その関係はあの当時、フランスにおけるダフト・パンクとフェニックスのそれと比較されたりしました。

そして現在は、オーロラ、そしてシグリッドの、同じ学校出身のコンビ、さらにガール・イン・レッド。息のいい女性SSWが立て続けて登場していますよね。

ラストはフィンランド行きましょう。

Nuclear Nightclub/Wigwam (1975)
Bangkok Rocks, Saigon Shakes, Hanoi Rocks/Hanoi Rocks (1981)
Varietee/Yö (1983)
Nimeni On Dingo/Dingo (1984)
L'Amourha/Sielun Veljet (1985)
Kahdeksas Ihme/Eppu Normaali (1985)
Greatest Love Songs Vol.666/HIM (1997)
Hate Crew Deathroll/Children Of Bodom (2004)
Once/Nightwish (2004)
From Hell With Love/Beast In Black (2019)


ここも遅いですね。世界的に有名になった最初のアーティスト、ハノイ・ロックスなので。日本で80s初頭、すごく人気ありましたけどね。アメリカでもガンズ&ローゼズに影響与えたほどだから、ポテンシャルはすごくあったんですよね。

この後、フィンランド、バンドブームになるんですけど、サウンドはニュー・ウェイヴなのに、なんかファッション・センスがハノイみたいなグラムっぽいバンドが多いんですよね。なんか不思議なんですけど。

そうかと思ったら、90sから00sに入る頃がHIMとかラスマスみたいな歌謡ゴス・メタルになって、そこからは話に入ってくるのはメタルがメインになりますね。インディとかヒップホップの話とかはほとんど聞かないというか。
 
まあ、この国に限らず、北欧全体がメタルの細分化エリアになってる気がしますけどね。

プレイリストはこちらになります。


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