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「若作り」によって若返る


「エイジズム」
という単語に触れてドキッとしました。年齢に対するネガティブな印象のことを指します。「老害」なんて言葉はよく耳にしますが、いずれにしても現代社会特有の「高齢者=弱者」といったイメージ。そんな空気にさらされる本人たちも次第に、自尊心が毀損されます。「どうせ私なんて年だし」という自己卑下。

逆に、年齢をものともせず、いつまでも若々しくかっこいい人もいます。サッカーの三浦知良選手は54歳にしていまだ現役バリバリ。「サッカー選手」という領域に限って言えば、ベテランの域を超えた“高齢者”と称されることもあるでしょう。プレーの質はよくわかりませんが、ぱっと見の印象年齢は実年齢よりかなり若く、おしゃれなスーツを身にまとって、白髪もなんだかかっこいい。

イェール大学の研究では、老化に対する考え方がポジティブな人は、認知症のリスクが49.8%も下がると結論づけました。ポジティブな思考はストレスをやわらげる効果があり、これは食習慣や運動の改善効果に匹敵する数字。ネガティブな考え方をする人より、7.5年も長生きするというデータもあります。

イタリアのサルディーニャ島は、セレブのあいだで人気のリゾート地。同時に、100歳以上の高齢者数世界一ということでも有名です。一般的な先進国の10倍もの百寿者がいらっしゃって、朝から元気いっぱい外を歩きまわって、キツめの労働なんかもお手の物。寝たきりの方はゼロで、仕事が終われば飲んで食べて踊って、家族といっしょに楽しい宴を過ごします。

そしてここサルディーニャ島には、エイジズムという概念が存在しません。厄介者どころか、貴重な知識を伝えてくれる大切な存在。コミュニティにおける中心的なアセットでもあります。逆に彼らは、積極的に若者と接し、毎日のように笑顔でコミュニケーションをとっているという。いつまでも尊敬され、愛される存在なんですね。

サルディーニャ島の生活はむしろ質素。長寿のDNAが備わっているわけでもなく、高度な医療設備が整っているわけでもありません。特別な衛生環境なわけでもないでしょう。一方で、アンチエイジング作用が認められる地中海食を摂ったり、豊かな自然に恵まれているという環境要因がプラスに働くと同時に、加齢をポジティブに考える文化が高齢者の元気を支えているといえるでしょう。

サルディーニャ島3

人はいつかは老いて土に返ります。ですのですべての人が自分ごとでもある「加齢」 ところが年をとることが社会的なマイナスであるという風潮は、自己肯定感を下げてしまうのでどうにかならないか?多くの人が気になるところです。そしてそんな洗脳を除去する方法、実は身近なところにあるそうで、私も今日から実践しようと決意しました。

●外見チェックを減らす
●SNSを控える

鏡で自分の姿を確かめる行為は、人によって多寡はあれど誰もが行うことです。そして外見チェックが増えれば増えるほど幸福度を下げるという研究があることを知れば、「自分はどうか?」気になり始めました。逆に、外見チェックを制限した途端、自分の体への不満、老化へのマイナスイメージが減って自尊心は増加したという実験結果もありました。

またSNSをのぞくと、あこがれのタレントやサッカー選手のかっこいい姿が毎日目に入ってきます。それが自分の体への不満につながるということも科学的に明らかになっています。劣等感が増加してメンタルが病んでいくわけですね。なんとなく身に覚えがあります。SNS禁止は現実的ではないですが、アンチエイジングの観点からするとマイナス面が多いことは確かなので、使い方は工夫したほうがよさそうです。

若作り」は、「ムリしてる」なんて言われることもあるので、ちょっと勇気がいりますが、髪型を変えたり、流行りの服を着たりすると気分があがりますよね。70~80歳の方々に、20年前のファッションをまとって、当時流行した歌を聞いたり、映画を観たりする実験を1週間続けてみると、脳の処理速度があがって、炎症反応が抑えられ、運動機能の向上も見られたそう。ウソみたいなホントの話です。

同年代のおしゃれ番長のファッションをマネしてみるのもいいかもしれません。やりすぎると周りに違和感を与えてしまいますが、適度に若作りすることはアンチエイジングに有効です。セルフケアに熱心になるだけで、死亡リスクが下がったり、実年齢より5歳若く見えるのです。

エイジズムを根絶することはおそらく難しいでしょう。ですが自分の心境まで操作されるのは避けたいですし、いつまでも若々しく元気に、社会的に必要とされる存在でいたいという気持ちは失いたくありません。周囲に惑わされることなく、ですがあまり無理せず楽しんで、毎日をハツラツと生きていきたいものです。

久保大輔

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