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【三井住友FGが解説する海外事業戦略】 カラを破り、第二、第三のSMBCを創る。資本効率改善し、“現地化”を進める!

生産年齢人口の増加や、経済成長が続く海外の資金需要をどう取り込むか。三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)は、米国・東南アジアを中心に海外事業を積極的に展開する。海外38カ国・140拠点、従業員5万人超、業務純益全体に占める割合が3割にまで高まったグローバル部門の戦略を解説してもらった。(金融ジャーナル編集部。2024年2月号「銀行×成長」掲載分を一部再編集。数字等は掲載時点)



海外事業の規模

海外部門の業務純益が4部門中で最多。質や収益面に目を向けた資本効率改善のフェーズに入った。

三井住友フィナンシャルグループは、事業部門としてリテール、ホールセール、グローバル、市場の4部門がある。2023年度上期の業務純益でみるとグローバルは3,113億円で、リテールの984億円、ホールセールの2,986億円、市場の2,225億円と比べて最も多く、業務純益全体の3割を占めるまで比重が高まっている

SMBCグループの部門別業務純益(2023年度上期)

海外拠点数も38カ国・140拠点に拡大し、グローバル部門だけで5万人超の従業員が働いている。業務純益に占める割合は、2000年代前半は5~6%程度だったことを考えると、SMBCグループにとって海外事業のプレゼンスは飛躍的に高まっていると言える。

この間に、リーマン・ショックなどの金融危機が複数発生した。市況変動で損失を被った海外金融機関がビジネス縮小を余儀なくされるなかで、我々もその都度、海外戦略を練って買収攻勢をかけたり、日本企業のグローバル進出をご支援してきた。

業務純益が増えたのはその結果と言えるが、その分、RWA(=Risk-Weighted Asset、リスクアセット)も増えている。直近2023年度上期のRWAは48兆1,000億円と事業部門の中で最も大きくなった(ホールセールは35兆4,000億円、リテールは13兆6,000億円など)。

一方で、収益性を示すグローバル部門のROCET1(普通株式等Tier1比率)は、

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