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2023年にフィラメントが挑んだ新規事業・取組み 8選

※最初に言っときますがこの記事は「太字のとこだけ読んでも話が通じる」ので、忙しい人は太字だけ読んでくださいね。
2023年が終わり、2024年が始まりましたね。でも僕にとっては2023年はホント長かった。体感的には2年くらいありました。2024年始まったばかりですが、「まだ2024年なのかよ」って感じです。
なぜそんなに長く感じたかというと、2023年はフィラメントで大規模な新しい取り組みをいくつもやっていたからです。
そのうちの主だったもの8つに絞って以下にご紹介したいと思います。


①新規事業の実践教育講座のローンチ

新規事業分野では、例えば"PMF"(プロダクトマーケットフィット/めちゃ簡単に言うと「その事業の価値が確かめられた状態」を指す)のように色々と専門用語もあるわけですが、フィラメントではそうした難しい用語を使わずに新規事業のつくり方を解説する合計20時間くらいの新規事業講座をつくりました

「なぜ専門用語を使わないか」というと新規事業人材にしか通じないような専門用語を覚えるとそれだけで「自分は専門家になった」と勘違いして急に学ばなくなる人が少なくないためです。

特に大企業の社員は「世の中に決まった答えがある」と思っている人が多数派なので「正しいやり方を学んだから自分でもできる」と勘違いする人が多いし、専門用語の多用はその心理傾向を助長します。

その結果、何の実績もないのに偉そうぶる「新規事業の口だけ番長」みたいな人を増やしてしまいます。

はっきりいってそんな人はなにもできない。人材開発部門のアリバイづくりにしかならない。

これが、新規事業をつくるための仕組みや構造を平易な言葉で丁寧に教える連続講座を作った理由です。この講座のキースライドのいくつかはこちらの
note
ご覧いただけます。

講座の各回の終わりには「記述式の課題」を出して、それを提出してもらい、僕を含むメンター陣でそれに対するフィードバックを書くという「赤ペン先生方式」で個別に指導するという徹底ぶりです。手厚い指導を受けながら実際にビジネスプランを考えるという実践研修になっています。

また、大企業の社員の場合は特に、学習内容の充実だけでは成果が出ないため、学習態度そのものに介入して取り組み姿勢を変質させる必要があるので体験学習型のワークショップも新たに設計して実践しました。

この事業は、商品としてめちゃくちゃコストがかかるだけあって教育効果も上々で、今年の新規事業ですが受講者の方々が最初とは全然違う顔付きになるだけでなく、受講者が考案した新規事業も素晴らしいものばかりでした

②ChatGPT活用型新規事業創出ワークショップ

フィラメント独自のスタイルでの新規事業創出ワークショップはもともと存在していました。3~4時間かけてその会社のアセット(会社の様々な「強み」のうち主に無形資産の部分。商流上のポジション、知財やノウハウ、顧客との関係性など)を活かした新規事業のアイデアを考えるというものです。

会社のアセットを起点とすることである程度納得感があるビジネスアイデアには仕上がるものの、半日程度でできることには限界があります。現場の情報を丁寧にリサーチしてみたら「そんな課題はなかった」となることもありますし「ステークホルダーとの関係性から実現は不可能」となることもあります。にもかかわらず受講者は最初のアイデアに固執してピボットできずに時間と情熱を浪費する…ということにも陥りやすい

これをフィラメント的には「死んだ猿をかわいがり続ける現象」と呼んでいます。


母猿は自分のこどもが死んでもそれに気づかずにかわいがり続けると言いますが、新規事業でもダメなアイデアを捨てられないというパターンはあるある。別名「無精卵を温め続ける現象」

ここから離れるためにつくったのがChatGPTを使った新規事業アイデア創出ワークショップです。

フィラメントで初のアプリ開発案件でして、ChatGPTのAPIを使ったウェブアプリをつくりました
それにめちゃくちゃ凝ったプロンプトをセットしておいて、受講者の方には自分たちが使いたい会社のアセットを入力してもらいます。これを起点としてそのアセットが活かしやすい業界や顧客、その顧客がまだ気づいていない課題などをAIが複数パターン提案してくるので、そのパターンをチョイスしてビジネスを組み立てていくというものです。

このプログラムの最大のメリットは、AIと対話をしながらビジネス仮説を組み立てていくため受講者の知的能力を超えたビジネスアイデアを短時間で何個でも作り出すことができることにあります。しかも、その会社のアセットを起点としているため会社が取り組む意義や理由も容易に説明できるものとなります。

一方でデメリットもあります。それはその人本人が作ったという手触り感がない、本人が作ったものではないのでそのプランの価値を理解しにくいということ。ゆえにそのプランを自分ゴト化しにくい、情熱を抱きにくい。
もっというと、AIが作ったビジネスプランがいかに優れたものであっても、人間がその意義や可能性を理解できなければ意味がないということです。
フィラメントのメンバーから見ると「お、これすごくいいな」と思えるアイデアが割と出るのですが、その価値を受講者には認識してもらえない。その場合はいくら解説しても(そのひとに基礎的なビジネス知識がなければ)理解に至らない。これは「お笑いのネタを解説する」のが難しく、むなしいのと似たツラさがあります。

このプログラムを作ったので「ある程度精度の高いビジネスアイデアをその会社のために複数案生み出す」というのはフィラメント的には割と簡単なことではあるものの、それだけだと我々が望む成果にはつながりにくい。この学びをもとに来年はさらに色々な仕事を積み上げていけそうです。

③ミッション・ビジョン・バリュー/パーパスの策定支援

この事業は組織運営・経営の根幹に当たる部分であり、知的格闘能力の結晶のような仕事です。

企業理念とかパーパス、ミッションやビジョンのようなものって昔から多くの企業にありますよね。でも実効的機能をもつパーパスやミッション・ビジョンを作れている企業ってほとんどないと思います。

多くの企業では自分達のやっていることをちゃんと全部言えているか「包摂できているか」という点のみに注目して作っています。社員全員に当てはまっているか、ステークホルダーみんなが納得するかという点だけに重きを置いて考える。だから出来上がったミッション・ビジョンが「お客様の笑顔を大事にします」レベルの「それ何も言ってないよね感」の強いものになってしまう

フィラメントでもミッションやビジョンを掲げていますが、それは僕の心の師である 村上 臣さんに色々教えてもらいながら作ったものです。

フィラメントのビジョン
「未来と今を誰もが面白がりながら成長できる社会」

https://thefilament.jp/company/about

フィラメントのミッション
「未来志向で人と組織を勇気づけ、新たな価値を創出する」

https://thefilament.jp/company/about

ミッションにもビジョンにも「フィラメントらしさ」や「フィラメントの強み」が入っていて、フィラメントのことを知っている人が読んだら「確かにフィラメントのことを思い浮かべる」ものになっているはずです。

そして、このミッションとビジョンがあるからこそ「フィラメントらしさ」や「フィラメントの強み」がより一層強化されていく。そういうポジティブなループをもたらすものになっています。

この仕事をお客さんに対して提供する中で、ミッション・ビジョン・バリューの意義をより強く理解できるようになりましたし、多くの日本企業ではミッション・ビジョンをつくるためのノウハウが必要とされているんだなということもよくわかりました。

自分の会社のパーパスや企業理念・ミッション・ビジョンを見ながら次の問いを頭に思い浮かべてみてください。

「自分たちの会社以外にも、このパーパスに当てはまる会社はあるか?」

もし思い浮かぶようであれば、それは御社のミッションとして適切ではないと思いますよ。

※フィラメントのミッション・ビジョンについては↓のページ参照

④ChatGPTプロンプトマネジメント講座

プロンプトマネジメントというのは僕の作った造語。
生成AIは指示文(プロンプト)の書き方の工夫1つで全く違った回答精度になります。そのために生成AIというのはどういうものでどういう手順で回答を生成するのか、その際に汲むべき情報要素や手順はどういうものか。またすべてを一度にAIに理解させるのは大変なので相手の回答内容を見ながら適切な方向に誘導する必要があることなどをわかりやすいプレゼンテーションに落とし込んだ講義スライドを作成しました。

この講義はZアカデミア(現在はLINEヤフーアカデミアに改組)で初披露し、その際には受講者2100人以上、アンケート回答も1100人以上という破格の大好評を記録。

その余勢をかってCNETでの連載も開始しました。連載タイトルは「ChatGPT、70点の回答を100点に育てあげるプロンプトマネジメント講座」です。

CNET:一度得たプロンプトマネジメントの成果を一発で再現する方法↓

さらにこの延長で11月には 橋本 大也先生、 石塚 清香さんにもゲストでお越しいただいたパネルディスカッションのモデレーターも務めました。

パネルディスカッションの内容紹介記事↓

このパネルでも話しましたが、ChatGPTは自治体の仕事とめちゃくちゃ相性が良いので生成AIで社会が変わっていく起点になるのは実は自治体なのかもという期待もあります。

この軸でも来年以降、さらに色々なことがチャレンジできると思っています。

⑤フィラメント新規事業お悩み相談室(YouTubeコンテンツ)

今年からフィラメントの顧問に就任していただいた 蛯原健 さんと 村上 臣さんと僕とで始めたフィラメントの公式YouTubeチャンネルでの新規事業に関するお悩み相談企画。「相談くるのかな?ドキドキ」という感じで、最初のころは「お悩みあったらぜひ投稿してください!!」とメッセで呼びかけたりもしていたのですが、どうにか30回を超える回数を続けることができています。

とはいえそんなにすごく視聴回数が伸びるわけでもないので「見てる人いるのかなあ」という不安もあったのですが、最近は「毎回見てますよ」と言われることも増えてきてやりがいも感じています。

そしてこの仕事の一番のメリットは僕の学びが増えること。臣さん、蛯原さん、お二人の視点は「なるほど、そういう見方もあるか」と驚くこともありますし、「僕はこう思うんですけど」と視点を追加したくなることもあります。同じ悩みについてもいろいろな視点を持って考えることの重要性に気づく機会になっています。初期のころはひたすらお二人の意見を引き出すファシリテーター役に徹していましたが、最近は自分の見解や意見を加えつつ相談をまとめることができるようになっていて、これは本業のメンタリングやテレビ出演時のトレーニングにもなっています。

こちら↓ですので、ぜひご登録お願いいたします。

新規事業のお悩み相談も絶賛受付中です(ほぼ100%採用されます。匿名ですので、ぜひ恥ずかしがらずにぜひご相談ください)


⑥モバイルモニタースタンド"WING BINDER"のクラファン販売

コロナ禍に入って、セカンドディスプレイを使ったリモートミーティングが一般化したことで、モバイルモニターを出張先で使う機会が増えました。そういう自分の課題解決を図るために2年半越しで開発したのがパソコンとモバイルモニターを縦置き設置できるWING BINDERでした。

NECパーソナルコンピュータさんとの協業のもと、machi-yaというプラットフォームで実行したクラファンでしたが、50万円の目標金額を大きく上回る約630万円を集め、達成率1,260%と大成功を収めることができました。

フィラメントのメイン事業の一つとして大企業内新規事業創出のサポートをしているのですが、他社のサポートだけしかやってないのですか?(自分達では新規事業作らないの?)という意地悪な質問をしてくる人もたまにおられます(実際には他社の支援も立派な事業なわけですが)。

そういう人に対しても、「弊社が主体的に関わった共創案件としてこういうのがありますよ」と説明できるわかりやすい事例ができたという点でもよかった。

この件は、クラファン終了後も「どうしても欲しいから売ってくれ」というメールもいまだに来るのでNECPCさんとも一緒に今後の継続販売や第2弾も考えているところです。

またしかるべきタイミングが来たら発表したいと思っています。

クラファンページはこちら↓(もう終了してますが)

⑦オープンイノベーション型社内ビジネスコンテスト

これはまだ詳しくは言えないけど、今までの社内ビジネスコンテストの経験を活かして「オープンイノベーション型」の社内ビジネスコンテストの裏方をやっています。そもそも社内ビジネスコンテストのいいところは大量生産・大量消費型の組織構造の中で「言われたことだけやる」ことに最適化した役割分担に慣れきって「自分のやりたいこと」を考える能力をなくした社員の中に「自分で考える」ことへの情熱や楽しさを呼び覚まし、そこからチャレンジしていく経験を積ませることにあると思っています。そしてそこから成功体験に繋げることが大事。ですが社内のメンバーだけでやっててもそんな楽しさを味わえない場合もあります。特に受託体質の会社だと社内ビジコンでも「やらされ感」あふれるものになる場合は多い。社外の文化や考え方に触れる機会をどう作るのか、その答えを求めたチャレンジでもあります。3月に向けてこれから全力で成果を作っていきます。

⑧フィラメント社内のビジネスコンテスト「Uplift」開催

他社のビジネスコンテストのサポートばっかりではなく自社内でもビジネスコンテストをやってみよう、自分たちがお客さんの立場になることによってわかることもあるはず…という田中 悠さんの提案で開催したのがフィラメント社内ビジコン、その名も「Uplift」です。開催にあたっては平松 葉月さんにも大変お世話になりました。

僕含めて社員全員参加で、優勝の副賞は50万円相当の福利厚生サポート(賞金だとややこしいのでそういう言い方してますが実質的には賞金)としました。

優勝は言い出しっぺの田中悠さん、次席は 永井 公成さんという結果になり、僕は何にも引っかかりませんでしたw

社長が賞もらってしまったらしらけるなと思ってたのですが全くの杞憂でしたw。良い結果だったと言えますね。

このUpliftのエントリーシートはAmazonの事業提案プロトコルであるPRFAQ(A4用紙一枚のプレスリリースと想定問答集で提案内容を説明する仕組み)で行ったのですが、このPRFAQにガチで取り組む経験ができたのもよかった。来年以降もまたやりたいと思ってます。

以上が、2023年フィラメントの主な新規事業・取り組みです。細かいのも入れると東京都の宮坂副知事の勉強会用の講演資料作成が自分的にはよい振り返りになっていたりとか、もっといろいろあるのですが、きりがないのでこの辺にしておきます。
2024年も、「フィラメントコーポ―レートサイトリニューアル」なども控えているのでまた忙しい年になりそうです。

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最後までお読みいただきありがとうございます。 ここまで読んでいただいた方には僕の会社フィラメントのサイトの「新規事業ノウハウ」のコーナーも楽しんでいただけるかもしれません。
リンクを貼っておきますのでぜひどうぞお越しください!!

また、フィラメントでは「世の中をよりよくしていきたい人たちが集う場」をコンセプトにQUMZINEというメディアを運営しています。

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