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ファシリテーションの教科書の補習4(問題解決のステップ:その2)

前回の続き(問題解決のステップ:その1)

ファシリテーションの教科書のChapter2~3あたり
・ 具体的に実行可能な「仕込み」チェックリストを作る目的で整理
・ 「さばき」の前の「仕込み」にフォーカス


問題解決のステップの理解は、本書だけでなくグロービス学び放題のクリティカル・シンキング2(問題解決編)を参照


「問題解決」と「合意形成」のステップ

合意形成のステップの中には「問題解決のステップ」がビルトインされてる

Step1 「場の目的共有」
  - 問題解決のステップの「前段」にあたるもの

Step2 「アクションの理由の共有・合意」
  - 問題解決のステップのWhat、Where、Whyの3つのステップを含む

Step3 「アクションの選択と合意」
  - 問題解決のステップのHowにあたる

Step4 「実行プラン・コミットの確認・共有」
  - 問題解決のステップのHowにあたる
「場の目的共有」の詳細論点
    - 議論の場の「目的」はそもそも何だっけ?
    - 合意のための手続きは妥当か?
    - 参加者への期待役割は何か?
「目的」とは
    - 「この議論は何を実現・確定するために行うのか?」
    - 「この議論のゴールは何か?」

補足

議論全体の目的は自明なことが多い。ただし、それぞれの会議は合意形成のステップのどの段階にあるのかを丁寧に考慮して、設定することが重要

最終的な目的は「アクションに向けての合意形成」、つまり「Aという問題について考え、対策を立案する」というものであっても、そこに至るには以下のように、いろいろなステップがある。

・ Aという問題が存在することについて、関係者の合意を得る」
・ Aという問題を優先順位が高く検討すべきものであるという合意を得る
・ Aという問題について分析し、対策を立案する

「合意のための手続きは妥当か?」

以下のようなものがある
- 組織の中で、その議論の場(会議)は何をどこまで決める権限があるか?
- その場には、意思決定に加わるべきメンバーが参加しているか?
- その場における、意思決定の方法
- ルールは妥当か?
- 今回は何をどこまで決めるのか、何は議論して、何を議論しないのか?
- 議論にあたって必要な情報は揃っているか?
- 意思決定に必要な時間は確保できているか?
- 参加者は適切な議論・判断・決定ができる準備ができているか?
    - 会議前の検討時間や、会議参加者以外の関係者との調整など

こうした点を確認して適切に共有しておかないと以下のような混乱を招く

- 「そもそもこの問題はこの会議で議論すべきものではない」
- 「ここで議論した結果はどうなるか?」
- 「いきなりここで結論を出せと言われても準備ができていない」
- 「持ち帰って検討させてもらわないと何とも言えない」
- 「いろいろ意見が出たけれど、結局どうやって決める?」

「参加者への期待役割」

参加者への期待役割を明確にしておくことで
  - 参加者に議論に臨むうえで必要な事前準備を行ってもらえる
  - その上で大事な論点を参加者にも意識してもらいつつ議論を実施できる
- 誰に、何のために議論に参加してもらうのか?
- どんな狙いで議論に参加し、どういう役割を果たしてもらいたいか?

実際の議論の場において、最初にこれを確認し、合意を取るようにしておくと良い。

最後に

ここまでで議論の下準備である「仕込み」が完了し、適切な議論と問題解決のステップへ進むことが可能になります。

ただし一方で「言うは易く行うは難しの極み」と言っても過言でないくらいファシリテーションは難しいです(実体験からも、この書籍からもそう感じます)。

ファシリテーションの教科書では「仕込み」と「さばき」を取り上げていて、「さばき」は何度も重要な議論・会議をファシリテートする経験を得ないと身につかないとも本書で補足されています。

今回「仕込み」部分にフォーカスした背景は以下。

- 誰でも実施できること(必要なのは時間のみ)
- チェックリスト化することで仕込みの分散が可能になる(仮定)

1人1人のファシリテーションスキルが小さくても、全体としては議論が充実して、まとまりが強くなるような期待もあって、このファシリテーションの勉強会を提案しました。

この教科書を通じて実施した勉強会が実りのある議論に貢献できれば幸いです。

参考


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