〈スペシャルティコーヒー入門 12〉コーヒーの評価技法『カッピング』について
コーヒーの風味を総合的に評価判断するカッピング。言葉自体は良く目にするものの、実際は何をどう評価しているかご存知でしょうか?
■『カッピング』とは?なんのために行なうのか?
コーヒーにおける”カッピング”は、コーヒーの香りや味を評価するために行ないます。
ワインで言う”テイスティング”にあたり、コーヒーの品質の善し悪しを、同じ条件下において判断するというものです。
カッピングは、原産国でバイヤーがコーヒー豆を買い付けする際や、自家焙煎のコーヒー店が仕入れる生豆を選ぶ際、また自店で焙煎した豆を販売する際など、さまざまなタイミングで行われます。
実は、同じカッピングでも、それぞれ目的が少しずつ異なります。
まず、原産国でコーヒーのバイヤーが行うカッピングに求められることは、生豆の品質の総合的な判断です。これから消費国へ輸入されさまざまな焙煎事業者のもとへ渡る上で、価格と品質のバランスをチェックし買い付けるロットを選定します。
対して、自家焙煎のコーヒー店が仕入れる生豆を選ぶ際のカッピングでは、その生豆のポテンシャルと自店の目指すべき味への合致を確認します。
前回のnote『コーヒー店としての自家焙煎の意味』でも触れましたが、コーヒー店では個性表現を魅力として打ち出すことができます。
そもそもポテンシャルとして持っていない要素は、どれだけ上手に焙煎したとしても引き出すことはできないので、それを備えているかどうか、自分たちの焙煎メソッドを当てたら”どんなコーヒーになるか”を、想定しながらカッピングを行うのです。
そして、自店で商品として焙煎したコーヒー豆をカッピングする際。このときの目的は、きちんと狙った通りの味が出ているか、焙煎の良し悪しの判断のためにカッピングを行います。商品としてお客様に販売する前のクオリティチェックの意味合いですね。
以上のように、ただカッピングをすると言っても、実はその時々によって目的が異なります。
共通するのは、どのタイミングでもそのコーヒーの行く先をイメージしながらカッピングするということ。
自分で焙煎したらどうなるのか?お客様にどんな風に飲んでほしいか?など、コーヒーのプロは常に行く先を想像しながら、カップをとっているのです。
■なぜカッピングで味の評価を行うのか?
「そもそもなぜ “カッピング” という方法で評価するのか」というと、例えばハンドドリップで抽出したコーヒーでは、抽出時間などの変数によって、味が毎回均一になりづらいからです。
カッピングであれば、耐熱グラスに決まった量の豆とお湯を入れて一定時間抽出する方法を取るため、淹れる人による味の差が少なくなり、比較評価が正確に、かつ1度に多くの量を評価できるのです。
■アロマをチェックするタイミングは3回『ドライ・クラスト・ブレイク』
カッピングでチェックしているのは、”香り”と”味”ですが、特にコーヒーから立ち上ってくる香りを”アロマ”といい、コーヒーを口にふくむ前に3回チェックします。
コーヒー豆が挽かれた粉のタイミングで1回、お湯を注いだタイミングで1回、撹拌するタイミングで1回の、合計3回です。
■コーヒーの品質をテイスティングしていく
ブレイクまでのアロマ評価を終えたら、次は”テイスティング”です!
テイスティングには、”カッピングスプーン”という、専用のスプーンを用います。
カッピングについてある程度ご存知の方は、ヒュッと吸い込むように口の中に運ぶのを見たことがあるかもしれません。飲むのではなく吸い込むように口に入れるのは、液体を霧状にすることで香り成分を気化しやすくするため。
鼻から香りを抜くことで、舌だけで感じた味ではなくもっと立体的な風味として”フレーバー”を捉えるためです。先ほど、コーヒーから立ち上る香りを”アロマ”と言いましたが、”フレーバー”は香りと味の総称を指します。
ただし、30分以上をかけて行うカッピングのうちでは、霧状にせず普通にゆっくりと口にふくむときもあります。これは主に質感を捉えるときで、舌の上に乗せるように口に運んだ方が、より質感を感じ易くなるからです。
このように、カッピングをする際には、一口ごとにコーヒーの品質のうちどの項目を捉えるのか?を意識して啜ることが大切です。
それによって啜り方や感覚の研ぎ澄ませ方を変え、できるだけ正確に品質を判断するのです。
そのためには、一口ごとにすくう量を毎回同じ量にするのも重要ですね。
■まとめ
今回のnoteでは、「なぜカッピングという方法で評価するのか」「カッピングのポイントについて」ご紹介しました。
次回は、ご自宅で出来るカッピング手順を写真で分かりやすくご紹介します。
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