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映画『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』

また人生最高の映画が1つ増えた。『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』。1997年上映の作品である。ここから軽くネタバレを挟むが、物語の内容は、過去のトラウマから他者に心を許せない天才少年が、同じく心に深い傷を負っている精神分析学教授との対話を通じて、自身のトラウマと向き合っていくという内容になっている。今から5分前にこの映画を見終わり、感動そのままにこの記事を書いている。
教授との対話のシーンは、カウンセリングを受けているような感覚に陥った。映画を見ながら、僕は身近な大事な人に心を開けているか、蓋をし続けているトラウマはないか、目を背け続けているが心の底から渇望している欲求はないか、そんなことを自問自答してしまった。
心の底から渇望している欲求はある。10年ほど前からやりたいと思っていることで、でもまだ足を踏み出せずにいること。なぜ踏み出せないのかというと、怖いからだ。失うのが怖いから。安定した今の生活。身近な大事な人からの失望。いや、実際には彼らは誰一人として僕の挑戦を笑わないはずだ。皆応援してくれるだろう。挑戦して失敗したらしたで、慰めてくれる人もいれば、笑い飛ばしてくれる人もいるだろう。どちらも僕にとっては嬉しい反応だ。ただ、1%でも今の生活、大事な人たちを失うのが怖いのである。安定した今の生活に至っては、失う可能性は1%どころではなく、20%くらいはあるだろうか。でも、もしこれから先家庭をもつことになったり、仕事でより大きな責任をもつことになったりすれば、いよいよ踏み出せなくなる。巻き込む人数が多くなるからだ。それならば挑戦するのは今のうちか。こうやってわかりきったことを、あと何度自分の中で反芻すれば、僕は足を踏み出すことができるのだろうか。
映画の話に戻ろう。『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』、非常に良い映画だった。主要登場人物全員が心に闇のようなものを抱えており、時折それが垣間見える。人間そのものに興味がある僕にとっては、人間性を描き出す作品は、人間という生き物の輪郭をよりクリアにしてくれるから好きだ。たとえそれがフィクションだとしても、そのフィクションを描いた人が人間というものをどう見るかが多分に反映されていると思う。
癒えない孤独を抱える全ての人におすすめの作品であった。

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