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『嫌われる勇気』を読んで「禅」を思い出す

読んだ本

囚われないことの大切さ

本書はアドラー心理学についての本で、『「いま、ここ」を真剣に生きる』という章があります。

「禅」にも同じように、この瞬間に向き合って生きる、というような考え方があります。

過去にも未来にも囚われず、今を大切にする。

アドラー心理学では過去が今を決定する原因論を否定し、今の目的のために過去を利用しているという目的論を用います。たとえば、過去のトラウマがあり働けなくなった、とは考えず、働きたくないから過去のトラウマを引っ張り出している、と考える。

禅も同じで、こんな話を読んだことがあります。細部は私の記憶で補っています。

師匠と弟子2人が街を歩いていて、うなぎの香りが漂っていた。少し歩くと3人の前に七輪でうなぎを焼いているうなぎ屋が見えてくる。
「ああ、うまそうなうなぎだ」と師匠はつぶやく。
弟子たちは「うなぎという贅沢品に心を奪われるなどけしからん!」と心のなかで考える。
お店の前を通り過ぎて寺に到着すると、弟子たちは「しかし、あのうなぎは良い香りだった。まだ香りが漂っているように思える」と話す。それを聞いた師匠は「何を言うか。うなぎの香りなど、店の前に置いてきた」と弟子に言う。

禅の教えとは今を生きること。うなぎの香りに心惹かれることは良い。ただ、いつまでも囚われてはいけない。店の前に置いていく、そして前を歩く。それが大切なのだと、この話から教えられました。

課題の分離

他者の課題を切り捨てるのも、他者に囚われないという考え方に通ずるものがあります。

他者が何をしようとも、結局他者の決めたことで自分には変えられない。変えられないことに囚われるのではなく、捨ててしまう。

それで壊れる関係性なら、最初から必要ないとバッサリ考える。気持ちの良い考え方だなと思います。

「自分の機嫌は自分で取る」「生殺与奪の権利を相手に与えない」などと一緒で、自分の面倒は自分で見れば良いということでしょう。
相手からどう思われるかは関係ない。それは相手が決めることだから。

世界は自分の見方で変わる

アドラー心理学のなかでライフスタイルという概念が登場します。世界観とも言えて、要するに自分が世界をどう捉えるか、です。

世界の見方は自分しか変えられない。翻ると、自分が見方を変えるだけで世界は変る。

変えられないことに囚われず、世界の捉え方を変える。それだけで人生はシンプルになり幸せになるのだと、本書は教えてくれました。

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