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「アタッチメントがわかる本『愛着』が心の力を育む」を読んで(読書感想文#46)

愛着形成に関する本は、岡田先生の愛着障害の本を読んで以来な気がするので久々です。

▼アタッチメントがわかる本「愛着」が心の力を育む/遠藤利彦監修

この本は、すごく分かりやすいし、裏付けもしっかりしているのでおすすめです。子を育てる親はもちろん、アタッチメントとは何かを知りたい人や、幼稚園の先生、保育所の先生方にも参考になると思います。

アタッチメントの役割は「安心感の輪」

発達の観点では割と当たり前のようなのですが、幼児にとって「アタッチメントの対象となる大人は基地のようなもの」という考え方が、私は初めて知ったのでとても興味深かったです。

・安心感の輪(安全感の輪)は、特定の大人がいてはじめて形成される。
・くっついては出かけ、またくっつきに戻ることが「心の力」になる。

アタッチメントは「くっついて安心感を得るという不安解消のシステムである」ということ。いわれてみれば、人間として基本的な欲求や行動ですが、「くっつきたい、くっつける」ということがそんなに重要なものとは認識していなかったので学びになりました。

そして、「人は信じられる存在」「自分は愛される自分」と思えるために必要ということ。これって、人生でかなり重要な考え方ですよね。こう思い込めたら、無条件に生きやすいように思う。

子どものアタッチメント傾向のタイプ

これは岡田先生の本のおさらい的な部分。

◆安定型:くっつけばすぐに安心できる
◆回避型:くっつくと離れるからくっつかない
◆アンビヴァレント型:くっついても不安だからしがみつく

回避型とアンビヴァレント型は、なんとか安心感を得るために子ども側が関わりを調整している状態。なるほど・・・!

気持ちの「映し出し」をしてから、「立て直す」のが大事

ここは、かなりタメになる部分でした。

子どもの気持ちを代弁する、気持ちを言葉でラベリングする(映し出し)
→自分の状態に気づけるようになる
→自分で感情調整したり、人に相談しやすくなる、
 泣いたりモノに当たらず言葉で説明しやすくなる

私は感情に大人がラベリングするのは何となく悪いことのように感じていたんです。勝手に決めつけて、制限をかけてしまうんじゃないかと。でも確かに教えてもらわないとわからないですよね。私自身、感情を表す語彙が少ないし、感情を捉えづらいのは、「映し出し」をしてもらったことがあまりないのかもしれないと思いました。

小中学生になったら

親が安全基地であることに変わりはないが、感情が崩れた時の「立て直し」役として重要になるとのこと。先回りは禁物で、あくまで基地なんですね。

大人のアタッチメントタイプ

アダルト・アタッチメント・インタビュー(AAI)で、子どもの頃の養育者との関係を話してもらい、語りから分類します。

◆安定自律型
 肯定的・否定的、首尾一貫しバランスよく語る
 *人と親密になることが容易。誰かを頼りにしたり、
  頼りにされることに心地よさを感じる

◆回避型→アタッチメント軽視型
 養育者を理想化して語るが、具体的なエピソードに乏しく、
 むしろ理想にはほど遠いエピソードを語ったりする
 *自分のことを隠す、他者と距離を保つ

◆アンビヴァレント型→とらわれ型
 話にまとまりがなく、特につらかった出来事を語り、
 強い怒りや怖れを表す
 *不安が強い:
  パートナーの親密性を求め、相手も同じでないと不安になる

◆無秩序・無方向型→未解決型 
 それなりに一貫性があるが、トラウマ体験について語る時、
 非現実的な解釈や思い込みが見られる
 *不安+回避:
  親密な関係を求めるが、近すぎると傷つく恐れや不安があり、
  相手を完全に信頼したり頼ったりするのが難しい

ちょっと難しいけれど、自分が安定型ではないことは再認識。ただ、安定型ではないからといって、愛着障害ではないという説明もあって、ちゃんと理解できてよかったと思いました。

安定化を促すために、どうしたらいいか

●内省機能の強化をしていく。
 自分のアタッチメント傾向を理解して、思い込みを解釈しなおしていく。
●メタ認知の発達
 客観的に捉える練習

世代間伝達が怖かったけれど、自分のアタッチメント傾向を自覚して、子どもに対しては安定的で一貫した関わり方をしていくことが大切だと分かりました。

アタッチメントタイプも、その型だからこそのメリットもある訳で、精神疾患に繋がったりしていなければ、個々の背景として掴んでおけばいいんだなと理解できました。

少しずつ安定化への取り組みもしていきながら、安定的な関わりや感情の「映し出し」「立て直し」など、日々実践していきたいと思います。
活かせそうなポイントが多く、面白かったです。
ここまでお読みいただきまして、どうもありがとうございました。

▼愛着障害の本の感想です


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