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比喩は文字に限る

夜ごと小さく死んで、毎朝、新しく生まれかわってきた。この思いもよらない荒業に、眠ることを知らない世界は面食らっているんじゃないか。

吉田篤弘 それでも世界は回っている3

眠ることについて書かれていて。

なんだかよく分からないけれど、こんなふうに眠りを表現した文章を見た事がなく。

だって、対世界ですからね。

世界が面食らってるって、なんか良い表現じゃないですか。

ちっぽけな存在の人間が、一泡吹かすみたいな。

世界は回り続け、人を疲弊させ。

その対策が、夜ごとに小さく死ぬだなんて。

圧倒的強者の鼻を明かす方法が、眠るだなんて。

連日、本から引用をしていますが、やっぱり本だと思う今日この頃。

引用した部分を他のメディアで表現しようとしたら、きっと鼻白むと思うんです。

もしこれが映画での会話だとしたら、あまりにも不自然だし、良い事言ってる感が出過ぎてしまうでしょう。

音楽とかカメラワークが煩くなりそうだし、役者の顔もなんなら邪魔だな。

イケメンがこんな事を言ってたら「ケッ」と思うのが人間だ。

(ひねくれすぎ?)

もしこれが対談での発言だとしたら、それこそ寒い。

そもそもこんな抽象的な比喩を口頭で伝えようとしてくる所にイラッとする。

頭が良いでしょと言ってるようなものだ。

聞き手も「うん?」と、きっと理解は出来ない。

口頭での比喩表現は、解像度が高くないとただの自己満足になってしまうのです。

過度な比喩表現が許されるのは小説ぐらいなんじゃなかろうか。

文字だから止まれて、文字だから繰り返し読む事が出来る。

きちんと腹落ちした時の幸福感は他では味わえない。

鳥肌が立つ時もあるぐらいだし。

だから、本を読んだ時の満足度は高いのか。

僕は比喩が好きだから。

もう書く事が無くなってしまいました。

たまには短く終わるのもいいか。

では、また明日。


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